Microsoftは2018年10月に「Project xCloud」を発表し、翌年2019年11月にはベータテスト、翌々年の2020年9月に正式リリース。そして2021年10月1日、日本でも「Xbox Cloud Gaming」を正式にローンチした。
PlayStation 3および4のゲームタイトルを、クラウド経由のWindows PCでプレイできる「PlayStation Now for PC」を筆頭に、クラウドゲームは一定の認知を得るようになった。筆者はPlayStation 2以降はコンソール機(家庭用ゲーム機)から離れてしまったが、クラウドゲームを認識したのは2012年のNVIDIA GeForce GRID以降だ。GPU仮想化技術の発展と、個人でも潤沢なネットワーク基盤を用意できる環境下で、データセンターのブレードサーバーにCPU・GPU処理を任せ、結果だけをローカルPCへ配信するクラウドゲームが広まるのは当然だ。
Microsoftも2018年10月に「Project xCloud」を発表し、翌年2019年11月にはベータテスト、翌々年の2020年9月に正式リリース。そして2021年10月1日、日本でも「Xbox Cloud Gaming」が正式にローンチした。
「Xbox Game Pass Ultimate」のメンバーシップ特典として提供されるXbox Cloud Gamingは、100以上の日本語化されたXbox Game PassタイトルをWindows 10 PCやAndroidデバイス、iOSデバイスでプレイ可能。
マルチデバイスに対応するのは先行する海外版と同様だが、その理由としてMicrosoftは「Microsoft Researchの調査によれば、80%以上がゲームをPCやモバイルでプレイしている」(Microsoft CVP, Cloud Gaming, Kareem Choudhry氏)、「AndroidおよびiOSに対応することで何十億ものデバイスにリーチできる」(Microsoft VP, Xbox Cloud Gaming Product&Strategy, Catherine Gluckstein氏)と説明した。
ゲーマーが気になるのは接続するクラウドリージョンだ。当然ながらXbox Cloud GamingはMicrosoft Azureのクラウドネットワークを利用するため、海外のゲーマーと対戦するときはネットワークレイテンシー(通信の遅延時間)が重要になる。
その点についてMicrosoftは「日本のAzureデータセンターにXboxサーバーブレードを実装した。最適な接続先を判断する。必要なネットワーク性能も平均的なネットワークゲームと同等。レイテンシーが一定であるほうがゲームプレイは安定する」(Choudhry氏)と述べた。なお、Xbox Cloud Gamingを楽しむには10Mbps以上、快適な動作を望む場合は20Mbps以上が推奨されている。
今回、日本以外にもオーストラリア、ブラジル、メキシコの4カ国で正式ローンチされたXbox Cloud Gamingは、世界26カ国へ市場を拡大させた。ポイントはXbox Game Pass Ultimateメンバーシップ参加者が増加するか否かだろう。料金設定は、初月1カ月は100円、翌月以降は月1,100円(いずれも税込み)と、Netflixに代表されるOTTサービスと比較しても順当な価格設定である。
コロナ禍の巣ごもり需要もあり、各種ネットサービスの盛況が続いている。この状況はXbox Cloud Gamingに取って追い風ではあるものの、Xbox Game Passのゲームタイトルに関心を持つユーザーはすでに同Ultimateを契約済みだろう。だからこそ、魅力的なゲームタイトルのクラウドゲーム化が必要となる。たとえば、自宅のPCは数世代前のノートPCだが「Microsoft Flight Simulator」をプレイしたいユーザー、スマホやタブレットでもXbox Game Passゲームタイトルを楽しみたいユーザーにとって、Xbox Cloud Gamingは魅力的なサービスになりそうだ。