iPhone 13が発表されました。新プロセッサ「A15 Bionic」の性能やカメラ/撮影機能の進化はひとまず置くとして、ご質問のようにシリーズ4製品とも「デュアルeSIM」に対応しました。これは、文字どおり1台のiPhoneにeSIMを2つ登録できるようになったことを意味します。

eSIMとは、スマートフォン内部に埋め込まれたIC(チップSIM)に通信・通話の際必要な情報を記録し、SIM相当の機能を実現するしくみのこと。離れた場所から通信キャリアの情報を書き換えられるため、SIMカードを差し替えることなくキャリアを変更/追加できるメリットがあります。

一方、1台のスマートフォンに2つのSIMを用意し異なるキャリア/契約の2回線を並行して使う「デュアルSIM」も存在します。デュアルeSIMとは、SIMカードではなくeSIMでデュアルSIM環境を実現する、ということになります。

iPhoneでデュアルeSIMが実現されれば、いよいよSIMカードが必要なくなるかもしれません。SIMカードを抜き差しせずに済むだけでなく、解約するときSIMカードを郵送する手間も、破損や紛失のリスクもなくなります。

デュアルeSIMがサポートされても通信機能そのものに変化はなく、キャリアとの契約時には運転免許証など本人確認書類が求められますが、SIMカードという物理的な存在を気にせず済むようになることは確かです。SIMカードをやり取りする必要性が低下するぶん、ナンバーポータビリティー(MNP)に申し込む心理的なハードルも下がるのではないでしょうか。

そして、iPhoneにかぎった話ではありませんが、スマートフォン/携帯電話はキャリアに出向いて購入するもの、という我々一般消費者の意識も徐々に変わっていくのかもしれません。

  • iPhone 13では「デュアルeSIM」がサポートされました