日本放送協会(NHK)は、7月1日に会長定例記者会見を開催。この中で、「東京2020オリンピック」の競技中継をインターネット配信サービス「NHKプラス」で同時配信することや、「8K」の現状について説明した。
NHKは、6月に開催した放送総局長の定例記者会見において「東京2020オリンピック」の放送計画を発表しており、総合テレビ、Eテレ、BS1、BS4K、BS8K、ラジオ第1の6つの放送波で競技中継を行うことを公表。「東京2020パラリンピック」についても同様に、6つの放送波で競技を中継する。
スマートフォン/タブレットやPC向けの「NHKプラス」では、総合テレビとEテレで放送する競技の中継をすべて同時配信する。通常、NHKプラスではサービス利用のためにID登録が必要だが、オリンピックとパラリンピックの競技中継においては、ID登録がなくても、受信契約を確認するための情報提供を求めるメッセージを表示せず、すぐに視聴できるようにする(なお、災害発生時も同様に確認メッセージが消える運用となっている)。
この対応について、NHKの正籬副会長は「(五輪中継のNHKプラスでの)同時配信については、メッセージを外してご覧いただける。NHKと受信契約を結んでいる世帯(の数)に比べると、NHKプラスはID登録しているのが百数十万台なので、ケタが違う。我々の努力不足もあると思うが、NHKプラスの存在自体をまだ知らない人が大勢いる。オリンピックをきっかけに多くの人に触れてもらい、いつでもどこでも必要な情報が手に入るということを体感してもらえればと思う。視聴者にとっての利便性を高めていきたい」とコメントした。
NHKプラスのID登録を行うと、競技の途中でも最初から競技映像を“追いかけ再生”したり、見逃した競技を実況・解説付きで好きな時間に視聴したりできるほか、プレイリスト機能を活用してさまざまな関連番組も見られる。ID登録には受信契約情報などの入力が必要で、登録後にログインすると受信契約の確認メッセージが消え、すべての機能が利用可能になる。NHKプラスのサービス内容や使い方については別記事を参照のこと。
このほか、前田会長は会見の中で「8K」の現状にも触れ、「8KはNHKだけが今やっているが、まだ受信機が普及しているわけでもなく、パブリックビューイングもできそうにないという状況。(8Kを)これからどう使っていくかというのはひとつの課題で、もう少し使い勝手を広くするということを研究する必要がある。経営計画の中でも見直すと言ったのは、単純にただ放送だけすればいいということではなく、用途も含めてもう少し使えるようなものにしていきたいという意味だ」と説明。
「(8Kは)放送だけに頼っていると、せっかく開発した技術が生きないので、技研や民間の方と研究している。最先端の8Kで記録した映像は(現状では)受信機がないと見られないわけで、世界中に8Kで放送はできないが、これだけの技術をどう生かすかというのは非常に重要なことだと思っている」(前田会長)。