パナソニックの頑丈モバイルPC「Let's note」(レッツノート)に、新顔の「Let's note FV」(レッツノート エフブイ)シリーズが登場しました。最小構成時で1kgを切る軽さに、アスペクト比3:2の14型液晶ディスプレイを搭載したノートPCです。
テレワークの課題解決を目指した14型ノート
この夏に登場した「Let's note FV1」(以下、FV1)は、オフィスと自宅の両方でPCを使って仕事をするユーザーを想定した14型ノートPCです。
レッツノートには、営業職などPCの持ち運びが多い用途を想定した2in1型のQVシリーズや、小型軽量がコンセプトのSVシリーズなどもラインナップされています。今回のFVシリーズは2拠点で仕事をする、移動が少ないユーザーをメインとしたテレワーク向けのクラムシェル仕様。同じ14型のLVシリーズの後継機にあたり、LVから光学ドライブを省き、体積を28%小型化しました。1kgを切る重さも特徴です。
パナソニックが2021年春に実施した独自調査では、仕事でノートPCを使う男女300人が、テレワークに求めるPC性能として、見やすい画面サイズや高いパフォーマンス、クリアな音声通話といった要素を挙げたとのこと。FVシリーズはこれらの課題解決を目指した製品となります。
レッツノートLV9とレッツノートFV1の主な違い | ||
---|---|---|
LV9 | FV1 | |
プロセッサ | Intel Core i5-10210U~ | Intel Core i5-1135G7~ |
ディスプレイ | 14.0型ワイド(1,920×1,080ドット) | 14.0型(2,160×1,440ドット) |
光学ドライブ | ○ | ― |
本体サイズ | W333×D225.3×H24.5mm | W308.6×D235.3×H18.2mm |
重さ | 約1.27kg~ | 約999g~ |
14型QHD画面を13型クラスの本体に搭載
FV1の14インチ画面(解像度2,160×1,440ドット)はアスペクト比3:2で、本体はA4(W297×H210mm)より若干大きなサイズ。16:9などのワイド画面より縦に長く表示でき、また左右ベゼルに実測約5mmの狭額縁を採用したこともあり、LVシリーズなどと比べスッキリした印象で、コンテンツへの没入感も高まっています。
FV1のカスタマイズモデル/法人モデルでは、レッツノート初の5G通信オプションも用意されます。5G通信はNTTドコモの相互接続性試験(IOT)を完了済み。また、auとソフトバンク、楽天モバイルの5G通信も、パナソニック側で通信テストした範囲ではいずれも利用可能だといいます。
ホイールパッドが大型化、4本指ジェスチャに対応
本体に目を向けると、まず気になるのがホイールパッドの大型化。FV1のホイールパッドは直径64mmと、LVシリーズから約1.5倍、面積にして約2.2倍拡大し、操作性が高まりました。Windows 10の4本指ジェスチャー操作にも対応した高精細ホイールパッドとなり、指紋センサーは、左手前にある電源ボタンからスムーズに触れるよう、左側に配置されています。
このホイールパッドは、四角形タッチパッドを搭載したLXシリーズとは異なり、FV1では丸形のまま大型化しました。これはレッツノートのデザインアイデンティティを引き継ぐため、そして(四角形より)指の当たる部分が下がるためキーを打つ最中に指がパッドに触れにくく、意図せずポインターを動かしてしまう誤操作を防ぐ目的だといいます。
天板は薄いボンネット構造、PD対応のUSB Type-Cポートも
天板はQVシリーズと同じ、フラットに近いボンネット構造を採用し、レッツノートとしては非常に薄い印象を受けます(本体の厚みは18.2mmで実際薄め)。頑丈性を確保するため、左右の狭額縁部分のみ肉厚にし、強度を高めたとのこと。
インタフェースは有線LANやHDMI端子、アナログRGB、USB Type-C×2、USB Type-A×3、SDカードスロット、イヤホン/マイク端子とフル装備。USB Type-CはThunderbolt 4、USB Power Delivery対応です。
標準のAC電源アダプタ用ポートも備えますが、USB Type-Cポートからの本体充電も可能です。USB Type-C経由の場合、本体電源オフ時で最低15Wから充電可能ですが、本体を起動したまま充電したい場合は27W以上の出力が必要。なお、標準ACアダプタは85W出力になります。
前モデルのLVシリーズから本体が薄型化したこと、また第11世代Intel Coreを搭載したことにより、より高い冷却効率が必要となったため、デュアルファンが新開発されました。羽の位置を最適化し、風量をアップしたほか、LVシリーズより薄い放熱フィンを採用しています。
なお、プロセッサはSVシリーズなどと同じく、第11世代Intel Coreを内蔵(パナソニックストア/法人ではvPro版・Evo vPro版も用意)。CPUパフォーマンスを細かく制御し、高負荷の作業で高いパフォーマンスを継続する独自設計の「Maxperformer」にも対応します。
ボックス型スピーカーで声が聞きやすくなった。AIノイズ除去も便利
さて、FVシリーズで新搭載された機能の1つに「COMFORTALK」があります。おそらくCOMFORTABLE(快適)とTALK(話す)をくっつけた造語だと思うのですが、これは「ボックス型スピーカー」「音響効果ソフト(Waves MaxxAudio)」「AIノイズ除去」を組み合わせた、Web会議を快適に進めるためのシステムです。
AIノイズ除去ではタイピング音やサイレンなどのノイズをハードウェアで処理し、相手に利用者の声を聞きやすくします。インテルのAIアクセラレータ「Intel GNA(Intel Gaussian & Neural Accelerator)」を使い、人の声の周波数帯から外れた周波数の音(ノイズ)を低減して相手に届けるものです。
たとえばWeb会議中に外で流れたサイレンや、キーボードを打つタイピング音などが除去され、相手には自分の声のみ届きます。実際にデモンストレーションを聞くと、大きな音で流れたサイレンや、ビデオ会話中に鳴り続けていたタイピング音がほとんど聞こえなくなりました。
また、試用機を使い、自宅で実際にZoom会議をしてみたところ、Webカメラの映りとマイクも良好でした。やや暗い電球色のリビングで使用したにもかかわらず、Web会議先の相手(編集部)に聞いたところでは、昼白色に近い明るさの映像となり、音声はやや高音が際立つものの、声の明瞭度はとても高かったとのこと。周囲を気にせず話してもよい環境であれば、Web会議はこれ1台で十分に務まりそうです。