電子書籍を読むことに最適化された、AmazonのE Ink電子ペーパー端末「Kindle」。読書家にぴったりの製品ということで、心惹かれるところはあるものの、「E Ink」の素性がイマイチよくわからないうえ、画面サイズや容量、広告や4G対応のあるなしなど、選び方が分からない──。それゆえ、購入に踏み切れないままの人も多いのではないでしょうか。
今回は、そんなKindleを選ぶうえで知っておきたいポイントを、日本未発売モデルも含め過去のKindle全製品を一通り使ってきた筆者が、7つに絞って紹介します。
E Inkは液晶と何が違うの?
E Ink電子ペーパーの利点は、紙のような質感で視野角も広いこと、液晶のようにバックライトで画面を照らすわけではないため、長時間利用していても目が疲れにくいことも挙げられます。また、一度充電すると数週間は充電しなくて済む低消費電力仕様や、単行本サイズでありながら200g以下と軽量なことも、KindleのようなE Ink採用端末の大きなメリットです。
一方で、ページをめくった時に次の画面に一瞬で切り替わる液晶と異なり、E Ink電子ペーパーは前の画面と重なりつつヌルリと切り替わるほか、残像を消すために定期的な画面リフレッシュが必要だったりと、挙動には癖があり、それが馴染めない人は少なからずいます。なるべく事前に店頭の実機か、あるいは動画で挙動を確認することをお勧めします。
カラーのE Ink電子ペーパーはないの?
現行のKindleに採用されているE Ink電子ペーパーはすべて白黒で、カラーページもすべてモノクロ(16階調)に変換されて表示されます。最近は、カラーE Ink電子ペーパーを採用した端末もちらほらと登場しつつありますが、発色性能の低さや残像の多さなど課題は多く、まだこなれていない印象です。
将来的には、カラーE Ink電子ペーパーを採用したKindleが登場する可能性は十分にありますが、あまり早期に登場しても、性能的にユーザーが望んでいるレベルの品にはならないため、実際に登場するのは当分先になると考えられます。現時点でKindleを買うか買わないかを検討する時、カラーE Inkを待つことを理由に購入を先送りにするのは、あまり意味がなさそうです。
Kindleは読書以外の用途に使える?
Kindleの用途は、基本的に読書に限定されています。お試し機能としてウェブブラウザも用意されていますが、テキスト中心のサイトですら読み込みに何十秒もかかるほか、そもそも画面が白黒ゆえ、実用的ではありません。最大のネックとなるのは前述の残像で、それゆえ読書以外にウェブ閲覧や動画、ゲームなどの機能を使いたければ、KindleではなくFireのような液晶タブレットがお勧めです。
どうしてもE Ink電子ペーパーにこだわるのであれば、Onyxの「BOOX」シリーズなど、E Ink電子ペーパーを搭載した汎用タブレットを選ぶ方法もあります。動画やゲームに向かないことに変わりはありませんが、Androidベースということで、Kindleストアだけでなく、他の電子書籍ストアを使うことも可能です。
容量はどのくらいあればいい?
Kindleの現行モデルでは「8GB」「32GB」の2種類の容量がラインナップされています。テキストコンテンツを読むだけであれば、8GBあれば数千冊をダウンロードして持ち歩けるため、まず困ることはまずありません。つい数年前までは4GBのモデルが一般的だったくらいで、8GBはむしろ多すぎるくらいです。
一方、コミックや雑誌など、ページ全体が画像になったコンテンツは、1冊あたり数十~100MBとそこそこの容量があるため、全冊をダウンロードしていつでも読める状態にしておきたいシリーズが複数ある場合、容量に余裕のある32GBがおすすめです。直近で読む数冊だけを入れておき、読み終えたらすぐ削除する使い方ならば、8GBでも困らないでしょう。
画面サイズと解像度はどのくらい必要?
現行のKindleは167ppiと300ppi、製品によって2種類の解像度があります。167ppiはルビなどの細かい文字や、コミックなどの細い線を表現するには限界があります。コミックがメインなら、Kindle PaperwhiteやKindle Oasisなど、300ppiのモデルがおすすめです。なかでもKindle Oasisは画面サイズが7型と大きく、コミックを読むのに有利です。
ちなみに、Kindle Oasisはページめくりボタンを搭載しており、タッチスクリーンを使う以外に、物理的にボタンを押してページをめくることができます。冬場に手袋をしていてタッチスクリーンが反応しない場合、ボタンが使えるのは重宝します。なお、このページめくりボタンは、本体の上下をひっくり返すことで、左右どちらの手でも操作できます。
広告ありモデルとなしモデル、どっちを選ぶべき?
Kindleは広告「あり」モデルと「なし」モデルが用意されています。広告ありモデルは、ホーム画面の下段を広告バナーが占有しているため、表示領域が狭くなっています。一画面に表示できる情報量が減るのはマイナスですが、そのぶん本体価格は安く設定されているため、どうしても出費を減らしたい場合は、検討する余地はあるでしょう。
なお、バナー広告が表示されるのはホーム画面など一部の画面のみで、読書画面でバナー広告が表示されたり、あるいは本を読んでいる最中に全画面広告ページがいきなり表示されることはありません。隙あらば広告を差し込んでくるマンガアプリのような目障りさがないのはプラスでしょう。
4G接続モデルのメリットは?
Kindleは、いずれもWi-Fiに接続して使用しますが、一部には4G接続対応モデルもラインナップされています。本体内にあらかじめ4GのSIMモジュールが内蔵されているため、SIMフリースマホのように自分でSIMカードを調達する必要はなく、外出先でKindleストアに接続して本を購入したり、ライブラリから本をダウンロードできます。通信費用はAmazon持ちなので、追加費用も発生しません。
ただし、ダウンロードできるコンテンツはテキストのみで、コミックや雑誌など容量が大きいコンテンツはダウンロードできないため、テキストコンテンツを読まない人にとっては、複数のデバイス間で既読位置を同期するくらいしか使い道がありません。外出先での利用が多くても、あらかじめ本をダウンロードしておき通信を控えたり、またスマホを使ってテザリング接続ができるのならば、あまり4G接続モデルにこだわる必要はないでしょう。