いまやFace IDによる"顔パス"で本人認証を行うiPhoneですが、パスコード/パスワードの入力を促される場面がゼロになったわけではありません。iPhoneを再起動したときにはパスコードを要求されますし、購入直後のiPhoneをセットアップするときには、iCloudへサインインするためにApple IDのパスワードを入力する必要があります。

復旧キーは、2ファクタ認証が有効なApple IDのパスワードを忘れたときに備える手段です。iPhoneがランダムに生成したこの28字の文字列を保管しておけば、Apple IDのパスワードを安全にリセットできます。

ただし、パスコードで保護されている信頼済みのデバイス(ほかのiPhoneやiPad、Macなど)があれば、iCloudの画面から「パスワードの変更」をタップすると、Apple IDのパスワードをリセットできます。家族や友人のiPhoneがiOS 12以降で、「Appleサポート」アプリがインストールされていれば、そこからApple IDのパスワードをリセットすることもできます。

むしろ、復旧キーを利用したApple IDパスワードのリセットは避けるべきでしょう。復旧キーを生成すると、前述した方法でのパスワードのリセットは無効になります。復旧キーでパスワードをリセットする場合には、信頼済みのApple製デバイスと電話番号(Apple ID作成時に登録した電話番号)が必要になるうえ、大文字小文字の違いを含め28字の復旧キーを正確に入力しなければなりません。

もし復旧キーと信頼済みのApple製デバイス・電話番号がわからなくなると、Apple IDのパスワードをリセットする手段が完全に失われます。セキュリティ的にはやや見劣りするものの、いざとなれば家族や友人のiPhoneを使ってパスワードをリセットできるほうが、28字の復旧キーを厳重に保管するより気が休まるはず。復旧キーという存在があるのだな、と認識しておく程度でじゅうぶんではないでしょうか。

  • 「復旧キー」は作成しておくべき?