産経デジタルなど5社で構成されるプロジェクト『Game Wellness Project(ゲーム・ウェルネス・プロジェクト)』は、鹿屋体育大学・萩原悟一研究室による協力のもと、ゲームプレイ時におけるプレイヤーの脳活性やパフォーマンス状態を検証した。
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今回検証したのは、
- ゲームプレイ時間から見たプレイヤーの脳活性とパフォーマンス状態について
- シングルプレイとマルチプレイに見られる「集中」と「リラックス」の関係について
- ゲームジャンルごとで得られる効果について の3点。
「ゲームプレイ時間から見たプレイヤーの脳活性とパフォーマンス状態について」では、ゲームプレイを通じて生じるプレイヤーのパフォーマンス状態を検証すべく、鹿屋体育大学eスポーツ同好会に所属する男子学生4名を対象に脳波を測定。実験は10分間、30分間、90分間、120分間以上の合計で4回行われた。
120分間以上で実施した実験では、最初の約10分間は集中度に変化が見られなかったが、30分を過ぎたあたりから集中度が高まる傾向が見られた。また、集中とリラックスの間にある「ZONE(極集中状態)」に突入する傾向が、30分から60分あたりで見られたという。
さらに、120分を過ぎると集中度が鈍化することから、1回で実施する最適なゲームプレイ時間は、約60分から90分と推測。しかし、プロプレイヤーなどの特殊な能力を有する者はこの通りではない可能性もあるとGame Wellness Projectは補足する。
これらの実験から、Game Wellness Projectは、ゲームを適切な時間プレイすると、集中力の向上や脳の活性化などのいい影響が得られる一方で、連続で一定時間を超えてプレイすると集中力の低下など、脳の疲労につながると結論づけた。
2つ目の検証では、シングル(1人)とマルチ(複数人)のゲームプレイで、パフォーマンスにどの様な違いが生まれるか検証。結果、シングルプレイでは、プレイ前とプレイ中でリラックス度の変化は見られなかったが、集中度は大幅に増加した。一方、マルチプレイでは、集中度が若干下がるものの、リラックス度が増加することが判明した。
3つ目の検証「ゲームジャンルごとで得られる効果について」では、カーレースゲーム、リズム(音楽)ゲーム、サッカーゲームをピックアップして、その違いを検証した。
カーレースでは、瞬時の判断が必要となることから、実行機能が研ぎ澄まされ、反応時間が早くなる傾向になった。野球などの球技スポーツにおいて、バッティング、キャッチ時などの動作に「反応時間」が大きく関係するため、自宅でのリアルスポーツのトレーニングの1つとしてカーレースゲームを取り入れるのは効果的かもしれないと、Game Wellness Projectは考察する。
リズムゲームは、手を使ってプレイするゲームタイトルを使用。音楽と手の動作を一致させることから、スポーツ心理学で用いられる手と目の協応動作を生み、集中を向上させる効果が見られたたほか、音楽を聴くことでリラックスした状態でより集中が高まりZONEが高まる傾向が見られたという。
また、サッカーゲームでは、ボールばかりを見るのではなく、選手の体の動きやパスコースに注意を払うことで、先読みする予測能力と全体をとらえるための俯瞰力が高まる傾向になった。