東急の鉄軌道事業の会社分割により、10月1日から新生「東急電鉄」が事業を開始。同日に「南町田グランベリーパーク駅」への駅名変更、田園都市線・大井町線のダイヤ改正などが行われた。9月30日の終電後、駅名変更作業等の現場見学会が実施された。
南町田グランベリーパーク駅は、駅南側に広がる鶴間公園と旧グランベリーモール跡地を中心とした約22ヘクタールのエリアを官民連携で一体的に再整備し、11月13日にまちびらきを迎える「南町田グランベリーパーク」に直結する駅。新しいまちの玄関口として駅のリニューアルも進められ、公園や商業施設と融合した駅空間にするとともに、エスカレーターやホームドアも設置し、安全性・利便性の向上を図る。
駅名変更と同じ10月1日、消費税率引上げにともなう運賃改定が行われるほか、田園都市線・大井町線でダイヤ改正も実施。南町田グランベリーパーク駅では土休日に加え、平日もすべての急行が停車する。準急は長津田~中央林間間の各駅に停車。大井町線からの急行は日中時間帯、毎時2本が中央林間駅発着となる。9月30日の終電後に行われた現場見学会では、改札付近に掲出された「現在の時刻表」(改正前の時刻)をはがす作業、自動券売機の上に設置した仮貼りの運賃表を外す作業などが公開された。
続いて駅名変更作業へ。新駅舎の駅名看板を覆っていたカバーが外され、新駅名とともに東急電鉄の新たなロゴマーク(楕円の上に「TOKYU RAILWAYS」と表示)も姿を現した。新駅舎は正面をガラス張りとしたほか、ホームを覆う幅約40m・長さ約60mの大屋根も特徴。明るく広々とした開放的な大空間を演出している。
ホームの駅名標も、作業員によって旧駅名「南町田」のシールがはがされ、新駅名「南町田グランベリーパーク」に変更。なお、新駅名は計12文字となるため、つり下げ用の駅名標は通常より大きい幅約2.5mのものを使用しているとのことだった。
南町田グランベリーパーク駅では、既存跨線橋の地盤などを再利用しつつ、新たに南北自由通路を整備し、跨線橋と南北自由通路を結ぶ人工地盤に中央改札と駅務室、旅客トイレを設置している。南北自由通路の東側(渋谷方)にも人工地盤を設け、「ローソン」「タリーズコーヒー」など計5店舗が入居する店舗エリアとした。
渋谷方面の列車が停車する上り線ホーム、中央林間行の列車が停車する下り線ホームともにエスカレーターが新設され、待合室も建て替えられる予定。下り線ホームから「南町田グランベリーパーク」へとつながる大階段や植栽エリアが整備され、滝のように水が流れるスペースも設置される。これらの設備はまちびらきに合わせて開放される予定。大階段ではLED照明による演出を行い、メインエントランスとしてのにぎわいを創出するという。「南町田グランベリーパーク」側に南口改札が新設され、同駅の改札は計2カ所となる。
現場見学会の後、東急電鉄の代表取締役社長に就任した渡邊功氏が挨拶。「駅名変更、ダイヤ改正、運賃改定、新・東急電鉄の発足と大きな出来事が重なったこの日を南町田グランベリーパーク駅で迎えることができ、うれしく思います」と話し、リニューアル工事の進む同駅を「駅に降り立ったらすぐ公園というイメージでつくっています。環境にも配慮し、国際的な環境認証制度『LEED ND(まちづくり部門)』においても、駅施設を含む空間では日本初となるゴールド予備認証をいただきました」と紹介した。
渡邊社長は11月13日にまちびらきを迎える「南町田グランベリーパーク」について、「ミュージアム、公園、商業施設など多機能に複合化された施設。東急電鉄の新スローガン『人へ、街へ、未来へ。』にも合致しており、1日かけて楽しい時間、幸せな時間を過ごせると思います」と説明。鉄軌道事業を担う新会社の発足にあたり、「安全を第一に、よりお客様に近い東急電鉄としてがんばりたい」と意気込みを語った。