Appleは、こうした手元資金をどのように使うのだろうか。

直近ではソフトバンクが起ち上げた10兆円の英国拠点の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」への10億ドルの投資を決めている。中国では、タクシー配車大手の滴滴出行に10億ドルを投じ、また5億ドルの研究センターの投資も発表している。

日本では、神奈川県・綱島に新しい研究開発拠点を設置し、またサプライヤーであるイビデンのApple向け製造の再生可能エネルギー化も後押ししている。さらに、今後成長が見込めるインドでも、開発支援や製造拠点への投資を行い、ドバイではApple Storeを開店し、中近東進出のマイルストーンとした。

こうした米国外での活発な投資活動は、冒頭で紹介した手元資金の93%が米国外にあることを象徴している。これらの資金を米国に戻そうとすると、35%の税率が適用されるため、Appleに限らず、世界でビジネスを行う米国企業の多くが、海外の利益を海外にとどめておく措置を取っているという。

Appleも、その地域で得た利益をその地域の投資に回し、世界中でバランスのよい投資を行っていくモデルを、今後も追究していくのではないだろうか。