ソニーと村田製作所は10月31日、ソニーグループの電池事業を村田製作所グループが譲り受けることに関し、確定契約を締結した。今後は、2017年4月上旬をめどに、取引の完了を目指す。

取引の対象となるのは、ソニーの100%子会社であるソニーエナジー・デバイスが営む電池事業、中国やシンガポールにおける電池事業の製造拠点、ソニーグループが国内外に有する販売拠点及び研究開発拠点のうち電池事業に関連する資産および人員。取引に伴う譲渡金額は約175億円となる。対象の事業に従事しているソニーグループの社員約8,500名については、取引完了に伴い、村田製作所グループにて雇用を受け入れる予定だ。

なお、ソニーブランドで展開しているUSBポータブル電源やアルカリ乾電池、ボタン・コイン電池、モバイルプロジェクターなどのコンシューマ向け販売事業は対象とならない。

電池事業の譲渡により、コンポーネント分野の営業損失として約330億円を、税金費用として45億円を計上。これにより、2016年度の純利益において約375億円の損失を計上すると見込んでいる。また損失の計上に伴い、2016年7月29日に発表した2016年度の連結営業利益を約300億円、税引前利益および株主に帰属する当期純利益見通しをそれぞれ約200億円下方修正する。

今回の譲渡については、2016年7月28日に意向確認書の締結について公表していた。ソニーと村田製作所は譲渡の背景について、「双方のポートフォリオ戦略上の観点に加え、電池事業の競争力を高め、持続的に成長させていくこと、またそのための適切な投資を実施していくため」と述べている。