位置情報ゲームとしての「ポケモンGO」

岡本: 私もかつて位置情報ゲームを作っていたのでよくわかるのですが、位置情報ゲームには二つのパラメータがあり、それらをどう調整するかでゲーム性が変わります。

「たまご」を「ふかそうち」に入れて規定の距離を歩くとたまごがかえる

一つは「場所」です。そこに行けば何かがもらえる、何かが起きるといったように、リアルの場所を強調するとスタンプラリーになります。代表的なタイトルは「ケータイ国盗り合戦」でしょう。ただし、場所を使うとユーザーによって不平等さが生まれます。誰もがそこに行けるわけではないし、ポケモンGOにしても地方にはポケストップが少ないという課題がありますよね。

位置情報ゲームのもう一つのパラメータは「距離」です。これを強調すると「コロプラ」になります。移動距離がポイントに換算され、街を発展させるというゲームデザインです。「距離」のいいところは、場所と違って全プレーヤーに平等だということです。ただし、ただ移動させるだけでは、なかなかユーザーのモチベーションがわきません。

――位置情報ゲームには「場所」と「距離」というパラメータがあり、それらをどう使うかでゲーム性が決まるのですね。ではポケモンGOは?

岡本: ポケモンGOの優れているところは、その両方を絶妙に取り入れていることです。まずポケストップやジム、手に入るポケモンなどで「場所」をうまく活用し、モチベーションを喚起しています。しかし、それだけでは平等ではないので、そこに卵を孵化させるための要素として「距離」を取り入れているというわけです。

いろいろと考察されていますが、どうやら卵から生まれるポケモンの方がステータスが高い傾向があるようです。つまり「場所」の不利を、より平等な要素である「距離」で取り返せるのです。このバランスは非常にうまいですね。