ワイヤレスゲートが考える今後の展開

――今後のサービス展開について教えて下さい。

原田氏 まず、基本はWi-Fiインフラをしっかり強化していくことです。Wi-Fiスポットの数が足りていないというご指摘については、エリアを増やして利用できる機会を増やしていきます。これについては特にFONを中心に拡張を進める予定で、居酒屋チェーンなどの飲食店等と提携してエリアを拡充しています。

公衆無線LANを増やすにしても、東京五輪はいい機会です。ロンドン五輪ではエリア内にFONが展開されていましたし、リオ五輪でも同様にFONが展開する予定です。FONは海外ではブリティッシュテレコムやドイツテレコムなどと組んでいるので知名度が高いのですが、日本国内ではまだそれほど高くないので、東京都内でのFONエリアを広げるにあたっては、ユーザーに対して公衆無線LANというものがある、外でもWi-Fiが使えるよ、というプロモーションをもっと展開する必要があるかもしれないとは考えています。

LTEについては、ユーザーからの反応を見て増速を検討していきたいと思っています。

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MVNOは競争が激化しており、単なる料金だけでなく、特徴あるサービスが生き残りのカギとなりつつある。ワイヤレスゲートのサービスは、通信速度こそ限られるものの、使い放題という安心感と、全国4万カ所のWi-Fiスポットという特徴のあるサービスだ。特に後者はLTEの通信速度が上がってきたことで見逃されがちながら、駅や空港、飲食店といったスポットでは安定した高速通信が行える。特にワイヤレスゲートの場合、通信速度が3Mbpsと限られていることから、Wi-Fiの効果が大きそうだ。LTEの通信速度が限られる点についても、フルHD動画を頻繁に見るなどのヘビーな用途でなければさほど問題ないだろう。

また、定額であることの安心感を生かした専用回線としても役立つはずだ。たとえば車載用の専用スマートフォンを作って、カーナビ代わり、あるいはラジオ・CD代わりに音楽配信を流し放題にするといった使い方や、小さい子供やお年寄りなどへ持たせるといった用途にも向く。速度や料金面での派手さはないが、他社とは一線を画したサービスだけに、用途が合致するユーザーにはピンポイントで「刺さる」はず。ぜひ注目したいMVNOのひとつだ。