2線式トランスミッタで唯一可能な絶縁トポロジは、図2の入力絶縁型2線式トランスミッタです。入力絶縁型2線式トランスミッタは、ループを電源とした絶縁型のローカル電源を使い、センサ、センサのコンディショニング回路や絶縁型の通信回路に電源を供給します。絶縁障壁を越えてトランスミッタの出力ステージにデータを伝送する方法としては、PWM(パルス幅変調)のデジタル絶縁と1線式やSPI(シリアル・ペリフェラル・インタフェース)信号が一般的に良く使われます。

図2:入力絶縁型2線式4-20mAセンサ・トランスミッタのブロック図

前に述べたように、2線式センサ・トランスミッタが主に受ける制約は、回路全体の消費電流を4mA未満としなければならないことです。このため、使用可能なセンサが制約され、100Ω、120Ωや350Ωなどの低抵抗ブリッジはブリッジ電流の制限なしには使用できず、ブリッジの感度や精度が低下するなどの悪影響を与えます。図3の3線式センサ・トランスミッタ・トポロジは、4mAを超える動作電流のセンサ・トランスミッタの設計をサポートします。

図3:3線式センサ・トランスミッタと3線式アナログ入力モジュールのブロック図

3線式センサ・トランスミッタは、電源とGND接続を3線式アナログ入力モジュールから提供され、センサやコンディショニング回路に電源を供給します。このことで、センサ電源は必要に応じて十分に供給でき、オームの法則の範囲内で、センサの出力範囲が制限されることもありません。このことで、3線式トランスミッタは、その他の主要な出力電流範囲である0-20mAや0-24mAの出力も発生できます。3線式センサ・トランスミッタは、0-10Vや±10Vなどの電圧出力が必要な場合にも使われます。

3線式トランスミッタにも、絶縁トポロジの一例があります。センサと、アナログ入力モジュール電源やGNDの電位との間に絶縁が必要な場合、入力絶縁型3線式トランスミッタを使います。入力絶縁型3線式トランスミッタは入力絶縁型2線式トランスミッタと同様の手法を使います。ローカルの絶縁型電源を使い、センサやセンサ用のコンディショニング回路に電源を供給、データは絶縁障壁を越えて3線式トランスミッタの出力ステージに伝送されます。

図4:入力絶縁型3線式 センサ・トランスミッタのブロック図

まとめ

4-20mAカレントループ・トランスミッタは、これまで何十年にもわたって使われてきましたが、現在も、産業用ファクトリ・オートメーションや制御のアプリケーションに盛んに使用されています。3線式アナログ出力のPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)の市場ではフィールド・レベルの2線式や3線式のセンサ・トランスミッタが多く使われ、4線式センサ・トランスミッタはその他の市場で使用されています。

参考文献

  1. Dataforth Corporation:4-20mA トランスミッタ・アプリケーション・ノート(英語)
  2. TIブログ記事:"Industrial DACs: How to protect 2-wire transmitters" Precision" (英語)
  3. TIブログ記事:"2-Wire 4-20 mA Sensor Transmitters blog series" (英語)

著者紹介

コリン・ウェルズ (Collin Wells)
Texas Instruments
高精度リニア・グループ(産業製品およびアプリケーション)
アプリケーション・エンジニア
テキサス大学卒業(専攻:電気工学)