さて、もし本当にiPhoneアプリをMacで動作させることになった場合、問題となるのは、Macがマルチタッチディスプレイではない点だ。

トラックパッドこそ、複数の指での操作や、iPhoneのような感圧タッチをサポートするようになったが、iPhoneで使うような直感性をMacでの動作に求めるのは難しい。例えば、複数の指を活用したり、加速度センサーを利用するゲームは操作が難しいだろう。

この時点で、iPhoneアプリをMacで動作させるアイディアは頓挫しそうになってくる。

その一方で、前述のFacebookメッセンジャーの場合、さほど高度なタッチ操作は必要なく、iPhone/iPadアプリがMac上で単体アプリとして動くメリットが非常に大きいものが存在するのも事実だ。

Dashboardのウィジェット

あるいは、最近宙に浮いた状態になっているMac上の「ウィジェット」の役割を引き継ぐ、という位置づけも考えられる。複数のiPhoneアプリを並べて起動できる環境は、おそらくMacならではの動作風景になり、Macの新たな使い方を提案することもできる。 デバイスのプラットホームは融合しないが、アプリは乗り入れられるようになる。そんなMacの将来像は、iPhoneのユーザーベースを生かしながら発展する一つの道筋と言えるかもしれない。

果たして、どうなるだろうか。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura