実験としては成功か?

そういうわけで、少なくとも現時点では「成功」ともいえないが、「失敗」でもない。しかし、実験としてみれば、グラスは、一種の成功だったと思われる。

1つには賛否を含め、いろいろな事件が起こり、さまざまな意見が出された点がある。グラスを付けた客が店舗への入店を断られるなどの事件があった。また、利用したユーザーの多くからさまざまな意見がインターネットに流れた。それは、バッテリ時間や使い勝手などについてさまざまなものだった。

様々な議論を巻き起こしたグラス

また、利用者以外から否定的な意見も出された。グラスにはカメラが付いており、スマートフォンを介してインターネットからの情報を表示するが、グラスを装着したユーザーから見られている人には、ユーザーが何を見ているのかがわからないため、ある種の不安を呼び起こしたようだ。グーグルも「顔認識」アプリケーションの開発を禁止するなど、不安の払拭に乗りださざるを得なかった。これまでいろいろな機器が登場したが、非利用者が機器の利用者を見て不安を抱くことはあまりなかった。もちろん、「火器」や「刃物」であれば誰でも不安を感じるが、グラスは電子機器でしかない。

もし、これが製品だとしたら、おそらく大変な問題となっていたと考えられる。その意味では、テスト販売で、いろいろな問題点が出てきたことは、今後の方針を決める上での重要な情報となるだろう。もし次世代のグラスが一般消費者向けに販売されるとしたら、カメラを省略するなどして「不気味感」を低減するか、あるいは、グラスを装着していることがまったくわからないようなものにするといった課題をクリアする必要がある。