LTE展開の本格化

筆者は主に米国と日本を中心にウォッチしているが、それ以外の地域でもLTEの利用可能エリアが急速に拡大している場面に遭遇したことが印象に残っている。4G LTEがまだポストペイド契約など一部ユーザー限定というケースも多いが(フランスなど)、6月に訪問したロンドンでは携帯キャリア「EE」でプリペイドSIMからLTEを利用できたりと、段階的に利用の敷居が下がっていることがうかがえる。

おそらくは数年内に多くの地域でLTEを含む、ネットワークサービスがプリペイドでも分け隔てなく利用できるようになるだろう。ゆえに、これら海外の各地域で利用可能なLTEバンドに対応した端末を選ぶことが重要になり、SIMロックフリー端末選定におけるポイントの1つになるはずだ。

また、これに合わせるように、国際データ通信ローミングにおいてもLTEの利用可能地域が広がっており、例えばソフトバンクのアメリカ放題ではSprintの4G LTEがローミング料金なしで利用可能になっている。筆者が12月上旬にサンフランシスコ周辺地域を訪れたときは、まだ空港と市内一部限定でしかLTEが利用できなかったが、現在では正式サービスインとなったことでLTEがカバーする全地域で利用可能になったと考えられる。SprintのLTEカバーエリアはこのリンクで参照可能だ。

ソフトバンクのアメリカ放題でiPhone 6をSprintのネットワークにつなげたところ、一部地域でLTE (4G)が利用可能になっている

SprintはLTEカバーエリアをウェブで公開

LTEのカバーエリアが増えることは、CDMA系キャリアにとっては大きな意味を持つ。例えば、全米で最大のカバーエリアを誇るCDMA系キャリアのVerizon WirelessはLTEのカバーエリアを広げることで、近い将来的に通話も含めすべての通信をLTEへと移行し、CDMAを一般契約回線から排除する方向へと向かうと考えられている。ただ、現在はLTEのカバーエリアが3GであるCDMAよりも狭く、SRVCCによるLTEからCDMAへの回線ハンドオーバーで音声通話を実現しているという側面もある。

日本ではすでにCDMAに接続できない4G LTEのみに対応したVoLTE端末をauがリリースしているが、これと同じ取り組みを2015年中にもVerizon Wirelessが開始し、CDMAユーザーの"巻き取り"を始めるのではと予想している。Verizon Wirelessは11月にAT&Tと共同でVoLTE HD Voiceの相互互換性に関する取り組みを発表するなど、VoLTEに対する取り組みを本格化している。この流れは2015年にGSM系キャリアも巻き込んで加速していくだろう。