続いて、「ヨコハマトリエンナーレ2014」もうひとつのメイン会場である新港ピアへ移動する。新港ピアへはひたすらに奥行きの広い、ワンフロア倉庫型施設。期間中、会場間無料バスが運行しているので、これを利用すると便利。場内は天井の高さが開放感を演出し、奥へ奥へと足を進めていくとさまざまな世界が展開していく。

「新港ピア」会場の様子

同会場の入り口で大きく目を引くのがやなぎみわ(YANAGI Miwa)の鮮やかなトラックである。やなぎみわ氏はCGや特殊メイクを駆使した写真によりジェンダー、若さと老いといった女性を取り巻く諸問題への洞察を試みているアーティスト。今回は台湾で製作された舞台「日輪の翼」のための移動舞台車を展示している。閉じるとトラック、開くと舞台。この日、開かれた舞台ではポールダンサーによるショーが行われたが、8月2日、10月11日には本人によるアーティスト・トークも予定されているので、気になる方はチェックしてほしい。

やなぎみわ「演劇公演「日輪の翼」のための移動舞台車」:車体が大きく開放し、大きな舞台へと変形する。壁面の装飾も女性的でとても美しい。

イライアス・ハンセンは、ガラス工芸の盛んなアメリカ北西部のタコマに生まれ、ロサンゼルスの専門学校で吹きガラスの技術を習得した後、作家活動を開始した人物。それぞれにつけられた作品タイトルがとても個性的で興味深い。

イライアス・ハンセン「好きなだけわめくがいい、でもそれではなんともならない」

イライアス・ハンセン「ならばいつか言うことがなくなる」

笠原恵実子の「OFFERING-Collection」は、10年間にわたり世界各地の教会の献金箱を撮影した写真と、そのフィールドリサーチを元に自ら創り出した彫刻作品。まさに「お金をいれてください」と言わんばかりの箱の大きさと穴のサイズになんだかそわそわするのは私だけだろうか。

笠原恵実子「OFFERING-Collection」

まるで散歩をするかのように歩いていくと、一番奥には心地よく食事もできるカフェが併設されている。奥の壁面がすべてガラス張りになっており、その先には真っ青な海が広がる。何とも気持ちのいい、横浜らしい会場だ。カモメのような翼を持ったカフェ「Cafe Oblivion/カフェ・オブリビオン」は建築家 日埜直彦氏によって設計され、ひとつの物語として構成されている。オリジナルパッケージの焼き菓子セット「菓子451」なども販売しているのでお土産にもオススメだ。

大竹伸朗「網膜屋/記憶濾過小屋」:2014今回初展示。たくさんの記憶がぎゅっと濃縮し、濾過されていく

両会場をざっくりと見て回って、だいたい3~4時間コース。ひとつひとつをじっくり見ようとすると、全て見るのに丸1日はかかると思われるので、空いている日を狙うなどの工夫を。

なお、ふたつのメイン会場のほかにも「まちにひろがるトリエンナーレ」として、象の鼻テラスの「ヨコハマ・パラトリエンナーレ 2014」や急な坂スタジオ、初黄・日の出町地区の「黄金町バザール 2014」など主会場周辺でさまざまなアートプログラムが開催されているので、地図を片手に「ヨコハマ」を楽しんでみてほしい。