米FlickrのiPhone用アプリ「Flickr」のバージョン2.0の提供が12日にApp Storeで始まった。デザイン刷新によって使い勝手が向上し、写真がより美しく表示されるようになった。またサポートするFlickr.comの機能が増え、編集機能に15種類のカメラフィルタが加わった。

今年7月にYahoo!のCEOに就任したMarissa Mayer氏は、同社の資産を見直した上で、その強みを伸ばす考えを示していた。特にユーザーから改善・強化の要望が寄せられていたのが写真サービスのFlickrである。Flickrはデスクトップブラウザで使用する写真共有サービスとして人気を博したものの、2005年にYahoo!に買収されてから進化が鈍り、モバイルデバイス時代の潮流に乗り遅れていた。今年8月にUIを大幅に改善したAndroidアプリをリリース(v1.5)したのに続くiPhone向けのバージョン2.0の提供開始は、Mayer体制のYahoo!がユーザーの声に耳を傾けていることを示すものになる。

新版における最大の強化点は、撮影・編集機能だ。アプリのカメラ機能で撮影し、プレビュー画面で編集ボタンをタップすると編集画面(強調、位置調整、切り抜き、明るさ、コントラスト)に切り替わる。また、プレビュー画面でフィルタをかけることが可能。Flickrへのアップロードや共有もわかりやすい。数回のタップで手軽に、撮影、編集・加工、アップロードを完了できる。

撮影から編集・アップロードを素早く完了。フィルタにはPanda (モノクロ)、Mammoth (レトロ調)など、ユニークな名前がつけられている

オンライン写真サービスでは、Facebook傘下のInstagramとTwitterの対立が話題になったばかりだ。InstagramがTwitter Cardのサポートを打ち切ったことで、TwitterにおいてInstagramの写真が正常に表示されなくなり、一方TwitterはInstagramに対抗するようにモバイルアプリにフィルタ加工機能を追加した。iPhone用のFlickrバージョン2で、モバイルデバイスの写真をめぐる争いにFlickrも参戦した形になるが、Flickrは共有機能でFacebook、Twitter、Tumblr、Eメールをサポートしている。中立的だ。

FlickrアプリでFlickr.com内の写真をブラウズする時に、端末を傾けると写真のフルスクリーン表示に切り替わる。ピンチで拡大しても写真の精細さは失われない。また新たに用意されたコンタクト (Contacts)ビューを通じて、友達やおすすめのFlickrユーザーの写真をストリーム表示できるようになった。

Flickr.comをブラウズしながら、端末を傾けるとフルスクリーンに

Flickr.comのGroups機能をフルサポート

Flickrバージョン2のリリースに対するアナリストなどの反応は様々だ。「2年遅れのフィルタ追加」という声もあるが、モバイルアプリの刷新には多くが好感を示している。中でもForbesのEric Jackson氏は、「Kebin Systrom氏とInstagramには残念なことだが、スナップに適したシャッターボタンを備えた(Instagramアプリの)最新アップデートが最新のFlickrでかすんでしまった」と絶賛している。