復興、そして 豊かな未来を目指して

新年を迎え、一言ご挨拶を申し上げます。皆様におかれましては、日頃より格別なるご高配をいただきまして厚く御礼申し上げます。また、東日本大震災によって被災され、今なお不自由な避難生活を送っていらっしゃる方々に、改めてお見舞いを申し上げます。新しい年が全ての皆様にとって、より良い一年となりますことを心からお祈り申し上げます。

2011年は、これまでの延長線上では捉えることのできない、非連続的な変化に満ちた波乱の1年でした。未曾有の被害をもたらした東日本大震災は、エネルギー問題や、高齢化に伴う医療や介護における課題、農業や水産業、そして食糧自給率をめぐる問題等、日本の社会が抱える脆弱性や課題も、改めて浮き彫りにするかたちとなりました。世界全体としても、大規模な自然災害や各地における政情不安、そして人口が70億人を突破したことによる持続可能性への懸念の高まり等、私たちの価値観を大きく変える出来事が相次ぎました。加えて、欧州のソブリン問題、そしてタイの大洪水によるサプライチェーンの混乱等、経済面でも様々なリスクが顕在化した年でありました。長期的な低成長に悩まされてきた日本経済にとっては、歴史的な円高水準も重なり、先行き不透明感が一段と高まった年となりました。

こうした環境の中で迎えた2012年ですが、この閉塞感を打破し、活力を取り戻すことが、企業、そして経済界全体に求められている使命であると考えています。数々の試練を変革の機会として捉え、活力へと変換していくことが求められています。それは、日本がこれから長く続く復興への道のりを力強く歩んでいくために欠かせない要素であると考えています。

私ども富士通は、お客様の変革のパートナーとして、お客様のビジネスのさらなる発展、ひいては日本経済の再生に、ICTを通じて貢献してまいります。

非連続的な変化は、実に様々な分野で起きています。その一つが、経済のグローバル化の進展です。市場における国境の垣根が低くなり、数々のグローバル商品が国内市場を席巻する中で、「国内」「海外」という区別が意味を持たなくなりつつあります。世界で闘えなければ日本でも勝てない、という時代が到来しています。この変化をチャンスとして活かすために、世界に成長を求めることが重要となっています。

ICTの活用においても、非連続的な変化が起きています。ネットワークの進化を背景にクラウドの利用が広がり、ビジネスの機動性と継続性を飛躍的に高め、新たなサービスを生み出す原動力となっています。また、ソーシャルネットワーク等、コミュニケーションの在り方も変化し、人と人のつながりで成り立つ社会の在り方を大きく変えようとしています。それは幾つかの課題をはらんではいますが、非常時における情報共有や支援の土台としても有用であることが証明されました。そして、デジタル世界の拡大とともに生み出される大量のデータは、分析やナビゲーション、意思決定のサポート等を可能にし、新たなビジネス機会を生み出しています。

これらの変化を踏まえ、富士通では、新たな時代に対応するICTインフラ、そしてサービスをお客様にご提供してまいります。

お客様のビジネスの世界展開、そしてグローバル視点での事業継続を支えるため、世界に100ヵ所以上あるデータセンターを起点に、世界共通のサービスをご提供してまいります。加えてサーバ等の製品の開発・製造、品質保証等のグローバルな共通化を進め、世界的な競争力を持つ製品、そして高品質なサービスのご提供に取り組んでまいります。

ICTを活かした新たなサービス領域も切り拓いてまいります。当社の開発した大量データ活用基盤は、非定型テキストや各種センサーからのリアルタイム情報等、多様なデータの高速分析が可能であり、新たな時代のニーズにお応えするサービスの中核と位置付けています。

これらの取り組みを、社会への貢献にも活かしてまいります。暮らしやすく持続可能な地域社会「スマートシティ」の実現に向けて、自治体や関係者の皆様のご協力の下、ICT を活用したエネルギー利用の最適化や在宅医療支援等の取り組みを始めています。こうしたモデルは、日本の復興を後押しするとともに、今後世界が直面する様々な課題の解決にも役立つと考えています。

最先端の技術の開発へも引き続き注力してまいります。なかでも、スーパーコンピュータは、災害予測や創薬、省エネルギーを実現する新素材の開発等、多岐にわたる分野で活用されており、ここでの革新は、ビジネスのみならず、広く社会全体に恩恵をもたらすものと確信しています。

富士通グループは、お客様、そして社会の皆様とともに、豊かな未来の実現を目指してまいります。本年も、どうぞ倍旧のご指導、ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。