デジタルパブリッシング時代のAdobe CS5.5 Design Premium

同社が近年力を入れているのが「Adobe Digital Publishing Suite」。これは、ターンキーのホスト型サービス、ツール、ビューワ技術を組み合わせ、デジタルコンテンツの制作、出版、販売を行うことができるソリューションである。この制作プラットフォームとして位置づけられるのがAdobe InDesignだ。今回のバージョンアップでは、Adobe InDesignでデジタルマガジンのためのインタラクティブ要素を負荷してEPUBといった専用フォーマットへ書き出し、Adobe Digital Publishing Suiteへの配信までをサポートするようになった。EPUBは待望の縦書きをサポートし、書き出す順番も「アーティクル」としてコントロールできる。クリエイターにとっては、使い慣れたAdobe InDesignという環境で新メディアにチャレンジできるというのが最大のメリット。出版側から見ると、既存の媒体や過去の資産をAdobe Digital Publishing Suiteによって低リスクでビジネス展開できるという点が大きい。

なお、同社ではAdobe Digital Publishing Suiteの参考価格として、月額使用料金5万円(12カ月分の契約が必要)+サービス料金を挙げている。最低導入価格は(初期費用)は、月額使用料金(5万×12カ月=60万円)+サービス利用料金(25円/1ダウンロード×25,000部=62万5,000円)=122万5,000円(出版社や企業毎の料金で、複数のマーケットプレイスとデバイスをまたがってアプリが配信される)。参考コストが提案されたことで、コンテンツホルダーはより具体的な試算をして、電子出版に取り組めるのではないだろうか。