バルマー氏の講演後は、日本人開発者に対するQ&Aセッションが開かれた。同セッションでは、「マイクロソフト プラットフォーム戦略について」「開発者の職場環境、開発者が直面している課題」「日本の開発者としてマイクロソフトに期待すること」の3つのテーマに関して開発者から質問が投げかけられ、バルマー氏自らが質問者に向かって直接回答した。

日本人開発者の質問に答えるバルマー氏

技術の進化でユーザー/開発者を救う

マイクロソフト プラットフォーム戦略というテーマでは、ユーザーエクスペリエンスの高いアプリケーションに対する海外のニーズを問う質問や、クラウドサービスの登場により開発者の負担が増えるのではという不安の声などがあげられた。

ユーザーエクスペリエンスへの海外のニーズに関しては、「国内同様、現在はまだそれほど積極的ではない状況」という。ただし、「管理者の立場では不安材料が多く、導入に踏み切れないケースも多いかもしれないが、ユーザーは当然使いやすいほうを望む」と説明し、ユーザーのメリットを考え、ユーザーエクスペリエンスの追求を進めていくべきであることを強調した。

一方、クラウドサービスによる開発者の負担については、「より高いものを求めるのは世の中の常」とコメントし、技術の進化は必然的なものであることを説明。そのうえで、Azureの取り組みにも触れ、既存資産や他人の成果物を再利用していくことで開発者の負担は減らせるとアドバイスした。

ユーザーのフィードバックが得られる環境作りを

開発者の職場環境というテーマでは、「上流工程が重視される傾向にある日本では、開発者のモチベーションを維持するのが難しい。マイクロソフトではどういった取り組みをしているのか」などの質問があがった。

同質問に対しては、「マイクロソフトでは、自分で作ったものが世界中で使われる。そのため、企業向けシステムを構築している開発者とは多少状況が違うかもしれない」と前置きしたうえで、「ユーザーの意見が開発者に伝わる環境を作ることが大切」と回答。ユーザーのフィードバックが開発者のクリエイティビティを刺激することを説明した。

ただし、「クリエイティビティばかりを重視してもダメ。規律がゆるくなりすぎるとプロジェクトは成功しない。両者のバランスを保つことが成功の鍵である」と補足し、「弊社では私の一喝も生産性向上に役立っている」と笑いを誘った。

Azureは中堅・中小企業から

マイクロソフトに期待することでは、.NET FrameworkのLinux/UNIX対応を望む声や、Azureを中堅・中小企業向けに提供してほしいといった要望があがった。

.NET FrameworkのLinux/UNIX対応については、Novelとの提携やオープンソースソフトウェアの提供といった形態でサポートを進めていると説明。さらに、インターオペラビリティの確立に向け15のプロジェクトが存在し、日本でも専任者を置いていることを明かした。

また、Azureを中堅・中小企業向けに提供してほしいという要望には、「大企業向けに提供されるイメージがあるかもしれないが、当初はSLA(Service Level Agreement)を保証できるようになるまで、個人や中堅・中小企業向けに提供することになる」とコメントし、参加した開発者に対して「期待してほしい」とのメッセージを残した。

参加した開発者は

フォーラムの主役に据えられた開発者たちは、今回のセッションについてどのような感想を抱いたのか。質問者数人から話を聞く機会が得られたのが、最後に各人のコメントを紹介しておこう。

米MicrosoftのCEOと直接対話するという貴重な体験をした開発者は、一様に「緊張した」と口にしていたものの、満足した様子を見せていた。

開発の低コスト化/短納期化についての質問を行った大鷲和紀さんは、「丁寧に答えてもらった印象を受けた」とコメント。「CEOと対話する場を設けてもらったことで、会社としての考えがわかった。今後もマイクロソフトの技術を積極的に使っていきたいという気持ちを抱いた」と話した。

また、開発者のモチベーションに関する質問を行った大久保仁さんは、「マイクロソフトが開発者を大事にしていることがわかった」と語った。さらに、バルマー氏の印象について「体も声も大きな人」と話し、「大企業のトップだけあり、説得力があった。普段のニュースでは知ることができないマイクロソフトの姿勢が見てとれて大変参考になった。これからもぜひ続けてほしい」と喜びを表した。