既報の通り、ウィルコムは14日、ウルトラモバイルPC(UMPC)の「WILLCOM D4」を6月中旬から発売すると発表した。会見でウィルコムの喜久川政樹社長は、「これまでのスタイルを変えるモバイルコミュニケーションマシン」と自信を見せる。

WILLCOM D4

キーボードは大きくはないが、どうにか両手打ちができる印象

ウィルコムは、2001年からデータ通信のAIR-EDGEを提供。さらに05年には日本で初めてWindows Mobile搭載のスマートフォン「W-ZERO3」をリリースし、「スマートフォンのカテゴリを作ったパイオニア」(喜久川社長)という自負がある。実際、スマートフォン市場では69.2%というシェアを確保し、日本の市場を牽引してきた。

ウィルコム・喜久川政樹社長

AIR-EDGEとスマートフォンという2つの柱に続き、来年度には通信速度数十Mbpsの次世代PHSを開始する予定で、携帯電話陣営に比べて劣る通信速度も一気に挽回していく。D4では「スマートフォンとAIR-EDGEの2つを包含する新しいマーケット」(同)を想像していきたい考えだ。

ちなみにこれは今年1月のInternational CES 2008で公開されたD4のモックアップ

喜久川社長は、PC業界ではデスクトップPCからノートPCへ、そしてUMPCへとモバイルの方向へとシフトし、その一方でウィルコムはデータ通信、スマートフォンから今回、「モバイルの概念を超えるような新しいUltra Mobileという製品」(同)を作り上げたとする。D4ではこれまで20~30代のビジネスパーソンに加え、学生やプライベートでの利用も視野に入れているという。

PC業界とウィルコムの動向。同じUMPCへと続く方向性

D4のサイズ

D4より一回り大きい線がザガットサーベイのサイズ

本体サイズは約188(W)×84(D)×25.9(H)mm、約470gというサイズは、「(レストランガイドの)ザガットサーベイより一回り小さいサイズで、500mlのペットボトル飲料を一口飲んだぐらい」(同)で、喜久川社長は女性のバッグにも収まりやすい点をアピール。

女性のバッグを手に大きさをアピールする喜久川社長

機能としてもフルWindows Vistaを搭載し、通常のPCと同じように利用できる。Office Personal 2007+PowerPoint 2007を搭載してプレゼンテーションなどのビジネス現場でも活用できるようにした。

「電話の会社なので」(同)通話機能も搭載。イヤホンマイクを使うことで本体単体でも発着信が可能なほか、別売オプションで電話型のBluetoothハンドセットを用意し、通常の電話のように利用できるようにした。

さらに3月からサービスを開始した料金プランの「新つなぎ放題」(月額3,880円)をD4向けに改定。データ専用のプランのため、これに音声向けのプランを追加する方向で検討しているそうだ。

D4の料金例。この新つなぎ放題に音声プランがプラスされる見込み

D4は、PHS・無線LANを内蔵し、さらにオプションのクレードルで有線LANも利用できるため、喜久川社長は人口カバー率99.4%のPHS網、オプションプランで用意している公衆無線LANホットスポットのアクセスポイント3,500、そして家庭内・企業内の有線・無線LAN環境からネットにアクセスできる点を強調。

さらにD4では次世代PHSも利用できるようにする意向。ただし次世代PHSについては、W-SIMを置き換える形で内蔵型で対応するか、外付け型で利用できるようにするかは「検討中」だとした。

D4のスペック

D4の3つの利用スタイル

端末開発のシャープでは、現在は「機器間が連携して新たな価値を見いだしていくデジタルコンバージェンスの時代が到来している」(シャープ・松本雅史代表取締役副社長)と指摘。D4が「デジタルコンバージェンスの時代にふさわしい商品」だと胸を張る。ちなみにD4はW-ZERO3などと同じシャープの大和郡山工場で生産するそうだ。

シャープ・松本雅史副社長

OSとしてはフルバージョンのWindows Vista SP1を搭載するが、マイクロソフト執行役常務の佐分利ユージン氏は、ウィルコムらとの協業をさらに広げていきたい考えから今回のD4開発につながったとしており、「市場ニーズにあったデバイスだと確信している」(佐分利氏)。マイクロソフトでは「ウィンドウズ デジタルライフスタイル コンソーシアム(WDLC)」を立ち上げ、ウィルコム、シャープ、インテルも参画しているが、D4がWDLCを「代表する製品」(同)と話す。

マイクロソフト・佐分利ユージン常務

今回搭載されるVistaのエディションはHome Premiumだが、喜久川社長はビジネス向けにBusinessやUltimateといったエディションも選択できるようにする意向で、ニーズによってはWindows XPも用意することも検討するという。

Atomを供給するインテルでは、会見に吉田和正共同社長が参加し、「新しいモバイルインターネットカテゴリを創造できる」とAtomをアピール。Atomを今後いっそう強化していく意向を示した。米Intelのアナンド・チャンドラシーカ上席副社長はビデオメッセージでD4を、「インテルのビジョンを反映した理想的な製品」と賞賛。「新たな市場を生み出すに違いない」と期待を寄せた。

Atomチップを掲げるインテル吉田和正共同社長

米Intel・アナンド・チャンドラシーカ上席副社長

喜久川社長によれば、D4とは「第4のデバイス」の意味。一部スマートフォンユーザーと購買層は重複するものの、初年度で5~10万台の販売を視野に入れているという。