そこでアドビでは、より優れたデータコネクティビティを実現するソリューションとして「LiveCycle Data Service ES」を提供している。同製品では、優れたリモーティング技術やメッセージング技術、データマネジメント技術によって、RIAを既存アプリケーションやバックエンドのデータ、Java EEインフラストラクチャなどと容易に統合できるようにする。

たとえばデータマネジメントの面では、高度なデータ同期によってシステム全体にデータの変更を反映することができる。リモーティングの面ではAMF3バイナリ通信を用いた高速通信によって、レスポンシビリティの高いRIAを実現する。小島氏によれば、AMF3を用いることでAjax + JSONに比べてきわめて高速な通信が可能になるという。また、メッセージング面ではリアルタイムなデータプッシュ技術やコラボレーション技術などが提供される。

AMF3バイナリ通信で実現する高速通信

今回、新しいオープンソース製品として発表された「BlazeDS」には、このLiveCycle Data Serviceのリモーティング技術とHTTPベースのメッセージング技術、およびJMSやJavaなどのサーバサイドサービスのサポート技術などが含まれている。また認定済みビルドとサポートをセットにした、サブスクライブ型の「LiveCycle Data Service Community Edition」の提供される予定とのこと。一方で、データマネジメント技術やポータル展開技術については含まれないため、これらを使う場合にはLiveCycle Data Serviceを利用する必要がある。

BlazeDSに含まれる内容

同製品をオープンソースソフトウェアとして公開した主な狙いとして、小島氏は「さらに多くのデベロッパに、FlexおよびAIRアプリケーションの開発への参加を促す」ことを挙げている。同社は2007年、Flexの開発キットであるFlex SDKをオープンソース化している。それによってFlexアプリケーションに対するデベロッパの注目度が急激に高まったことを実感したという。今回、サーバサイドテクノロジであるLiveCycle Data Serviceの一部技術をオープンにすることで、エンタープライズ分野においても同社のRIA技術に対する関心を集め、デベロッパ層を拡大していきたいとしている。

またBlazeSDには、Adobe AIRの可能性をEnterprise RIAに拡張する足掛りになるという期待もあるとのことだ。現在のデベロッパの関心はFlexやAIRに集中しているが、アドビとしては将来的にこの関心をLiveCycle ESによるEnterprise RIAの分野に向けていきたい。そこで、BlazeDSを普及させることでLiveCycle Data Servicesをその突破口にしようという狙いだ。

同製品の今後の開発体制だが、コアソースツリーはコントリビュータによって管理され、そこからオープンソースのBLazeDSと商用のLiveCycle Data Serviceがリリースされるという。コントリビュータはLiveCycle Data Serviceチームのエンジニアによって構成されるが、将来的には外部からの参加も可能にしていくという。一般のコミュニティやパートナー、デベロッパーは、著作権の譲渡や特許権の付与などを含むコントリビュータ契約を結ぶことで開発に参加することができるとのこと。

BlazeDSの最初のバージョンは、Flax3およびAIR 1.0と合わせて、2008年早々でのリリースが予定されている。