「割り切った大人の関係」なんて女には無理なんだよ……『姉の結婚』
少女マンガ攻略・解析室室長の和久井香菜子が不倫を扱った少女(女性向け)マンガを毎週1冊ピックアップ! そこに描かれた男女の姿から、不倫の哀しさ恐ろしさを学んでいく連載です。美しく描かれることも多いけど、不倫はダメ、絶対!
真木妻と真木はお見合いで、政略結婚のようなものでした。そして真木妻は「”愛”じゃないのよ 結婚は」と言い、体裁をととのえさえすれば、あとはお互い好きにやっていいという条件を押しつけてきます。この夫婦は完全に愛のない偽装夫婦だったのです。
ヨリは、それまでの恋愛に疲れ果て、真木との不倫も「割り切って」つき合おうとします。「これは不倫だから」お互いのことを知る必要はない、デートをする必要もなく、身体だけの関係でいい、と。
ところがヨリは、どうしても「割り切って大人の関係」でいるのが難しくなってきます。
一緒にいればいるほど、真木に対する気持ちが膨らんでしまう。
「私が本当にほしいのは 結婚じゃないことも ほんとはわかっていた」「愛されたい それだけで私は 生きていける」と気づきます。
そして真木妻は、クールにダブル不倫をすることも、愛のない結婚生活を続けることも、本当は自分が望んでいることではなかったことに気づきます。
この作品のベースに流れているのは「気持ちを切り離して『カタチ』を作ることなんか、女には無理なんだよ」ってことのように思います。
※この記事は2016年11月26日に公開されたものです
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