バチェラーとの大恋愛を経て、今。大内悠理がたどり着いた「すっぴんメンタル」

#Lifeview

あこがれの人、がんばってる人、共感できる人。それと、ただ単純に好きだなって思える人。そんな誰かの決断が、自分の決断をあと押ししてくれることってある。20~30代のマイナビウーマン読者と同世代の編集部・ライターが「今話を聞いてみたい!」と思う人物に会って、その人の生き方を切り取るインタビュー連載。

取材・文:ミクニシオリ
撮影:洞澤佐智子
編集:松岡紘子/マイナビウーマン編集部

あの大人気恋愛リアリティショー『バチェラー・ジャパン』シーズン5で最後の一人に選ばれた女性は、番組の中でよく涙を流し、大きな声で笑う、感情表現の豊かな女性だった。

大内悠里さん。リッチな男性であるバチェラーに選ばれるために、清楚な雰囲気の女性が多く参加する中で、金髪ショートヘアの彼女は目を引いた。そして、大内さんはバチェラーと結ばれ、2024年1月に彼と別れを告げた。

リアリティショーの中での一面が取り沙汰されがちだが、ビジネスウーマンとしても、優れた才を持つ彼女。2024年4月に発売した彼女の著書『すっぴんメンタル 自分の感情に素直になれば仕事も恋愛も大事にできる』(大内悠里著/KADOKAWA)の中では、彼女が歌舞伎町や名古屋のキャバクラでNo.1になるまでの経緯や、起業後の飲食店経営術などについても触れられている。

キャバ嬢、経営者としての大内さん、そして『バチェラー・ジャパン』の旅の中で大恋愛をした大内さん。その経歴からは、とても華やかで強かな女性を想像するけれど、実際の彼女は親しみやすく等身大だ。世間から注目を集める恋愛を経験したあとも、なぜ彼女は自分らしくいられるのだろうか。

「自信のない自分」変えたくて、もがいた20代

リアリティショーという名前がついているせいか、どうしても私たちは、画面の中での彼女が“本当の彼女”そのものであるかのように受け取ってしまう。けれど今回の取材で現場に現れた大内さんは、全方位に気を配ってくれて、あの時感じた“感情表現の豊かさ”とは、また違った一面を見せてくれた。そして参加時を振り返りながら、エッセイ本の出版についてこう話す。

「番組の中でも、私の自己肯定感の低さは露呈していたと思うんですけど(笑)、出版のお話をいただいた当初は、私に話せることなんてないだろって思いました。だけど、そんな等身大な姿が私の魅力なんだと担当さんが口説き落としてくれて、やってみようという気持ちになったんです。

過去を語るにあたって避けられない、水商売時代のエピソードに対しても、世間の方々に必ずしも好意的に受け取ってもらえるわけではないと思っていたので、過去について話すのはかなり勇気のいることでした」

他人からの目が気になってしまうという彼女は、よくエゴサをするのだという。幼い頃からあまり自分に自信がなく、大人の顔色を伺ってしまう子だったのだそう。だけど彼女は社会人になって、常に「人目に触れる」仕事を続けている。

「人の目が気になるからこそ、接客業は向いていると思っています。気を遣って立ち回るのは得意ですし、周りが私にどんな役割を求めているのかが分かるから。だけど、バチェラーに会った瞬間に泣いちゃうくらい素直な性格なことも本当で、素直でありたい自分と、他人から求められる姿を演じたい自分の狭間で、ストレスを溜めてしまう時期もありました

接客業に従事していなくても、他人から求められる自分を演じたくなる気持ちが分かる人もいるのではないだろうか。だってきっと、その方が相手から愛されるはずだ。いくつかの自分を持っていれば、色々な人と仲良くできるだろう、と。

だけど自分を偽るのは、やっぱりすごく疲れることなのだ。だから大内さんは、そんな自分と決別した。

「キャバクラ時代、お客様に『もっと自然体でいいよ』って言われていたんですけど、その時にはそんな風にはなれっこないと思っていました。だけど自分で経営を始めて、変わることを意識し始めたんですよね。

他人に合わせるのって、目先のメリットが欲しいからだと思うんです。でも、そんな関係って長続きしないじゃないですか。従業員を養っていく責任を負うために、中長期的な目標を立てるようになって、無理した人付き合いはやめました」

幼い頃からの人目を気にしてしまうクセも、環境の変化とともに改善し、少しずつ「生きやすい選択」ができるようになったという。

『バチェラー・ジャパン』の旅、そしてバチェラーとの恋愛で学べたこと

「人付き合いを制限していた私にとって、『バチェラー・ジャパン』の旅は一つの試練でした。気が合わない人とも、常に一緒の空間にいなくちゃいけない。気疲れしちゃう瞬間もありましたね。だけど普段は交流しない人と過ごす中で、好きな人と苦手な人って、白と黒では分けられない、グラデーションになっているよなって思ったんです。そこに気づいてからは、人を嫌うというストレスが減りましたね

大内さんの話からは、彼女の人生における試行錯誤が伝わってくる。自身の人間性、そして弱点と向き合うことは簡単なことではなかっただろう。挫折と奮起を繰り返したからこそ、今の大内さんは輝いているし、多面性のある深い人間に見える。

大内さんは自身を「陰キャ」と評しつつも、私たちに朗らかに語りかけてくれるし、自身の想いもあけすけに話してくれる。それはきっと、自身の過去やコンプレックスを認め、克服しているからなのだろう。大人になればなるほど、自分と向き合う体力はなくなる。20代で紆余曲折したことが、大内さんにとっては強さとなっているような気がした。

「5月に30歳を迎えたばかりですが、今は不思議と焦りもありませんね。長谷川さんとお付き合いしていた時は結婚するつもりだったので、人生計画が崩れてしまった瞬間はつらかったけれど……」

本の中では、元恋人である5代目バチェラー・長谷川惠一さんとの別れについても触れられていた。30歳を目前に、結婚を意識した人とお別れするのは、きっと勇気のいることだっただろう。

「だけどもう、後悔はしていませんね。30歳までに結婚すると思っていたから、30歳以降の人生計画はまだ、まっさらなんです。だからこそ自由だし、なんでもできる。今は仕事に邁進すべきターンなのだと割り切って働く日々です」

多くの人から注目される恋愛は、もともと人目を気にしてしまう性格だった大内さんにとって、過酷なものだっただろう。勇気を出して始めて、そして終わってしまった恋愛だけれど、得たものもあった。

「本も実際に発売してみると、私のもとにたくさんの嬉しい声が届きました。中には、私が経営しているシーシャ屋さんに、本を持って遊びに来てくれる人も。私と、私を好きって思ってくれるファンの人をつなげてくれたのは、やっぱりバチェラーだと思うから。すてきなバチェラーガールズと、そしてファンの人と知り合うきっかけをくれた旅には、感謝しかありません」

心に正直になれば、人間関係は軽やかになる

大内さんは経営者でありながら、いまだにスタッフとして店舗に立つこともよくあるという。経営だけでも忙しいだろうに、接客する時間を作るのは大変だろうと思ったが、彼女にとっては必要な時間なのだそう。

「SNSやネットでの発言が下手なせいか、実際に会うといい子だって言ってもらえることが多いんです(笑)。だから店舗に立っているわけではないんですけど、単純に、私も私を応援してくれる人たちがどんな人で、何を考えている人なのか知りたいんです。SNSでつながっているだけだとどうしても一方通行になりがちなので、実際に店舗に足を運んでくれる人とは積極的に交流して、その人の悩みとか想いとか、直接聞きたくて」

Instagramのフォロワーが13万人を超えている大内さんは、インフルエンサー的な存在でもある。だからこそ、彼女のスタンスは意外だった。ファンの人、という大枠ではなく、一人ひとりと丁寧に向き合いたいという彼女は、きっとどこまでも真面目で、そして、人が好きなのだろう。

「恋愛が上手くいかずつらい時期もありましたが、店舗に来てくれた人たちからの応援の言葉が、すごくありがたかったんです。私でも誰かに勇気を与えることができたんだって、自分を肯定できた。

『バチェラー・ジャパン』という特殊な環境の中でも、自分の心に正直に動いていました。だからこそ、配信を通じて私を好きになってくれた人のことを、私自身も好きでいられています。自分の心に嘘をつかないこと、皆さんも意識してみてください」

すっぴんメンタル 自分の感情に素直になれば仕事も恋愛も大事にできる(大内悠里著/KADOKAWA

『バチェラー・ジャパン』シーズン5に参加し、番組終了後も男女問わず多くの方から支持を得ている大内悠里さんの初の著書。自分に自信のなかった一人の女の子が、どうやって自信をつけていき、自分らしい姿で愛されるようになったのか。華やかな世界にいたからこそたどり着いた「すっぴんマインド」を紹介しています。

URL:https://www.amazon.co.jp/dp/4046067284

※この記事は2024年06月21日に公開されたものです

SHARE