知っておきたい。「お取り計らい」の正しい意味と使い方

#ビジネス敬語マナー

ビジネスシーンなどで使われることも多い「お取り計らい」という言葉。正しい意味や使い方を知っていますか? 今回は、敬語解説が得意なライターのまるさんに、「お取り計らい」の使い方を例文つきで解説してもらいます。

ビジネスメールなどのやり取りでよく使う表現の1つに「お取り計らい」という言葉があります。「お取り計らいいただき、ありがとうございます」といった言い回しを目にしたことがある人も多いのではないでしょうか?

ビジネスで使う機会の多い言葉は、覚えておいて損はありません。正確な意味を知っておきたいという人のために、「お取り計らい」の意味や使い方を解説していきます。

「お取り計らい」の意味

まずは、辞書で「お取り計らい」の意味を調べてみましょう。

お取り計らい

「取り計らい」の丁寧表現。相手の取り計らいを指して、敬意を込めて言う表現。「取り計らい」は、あれこれと便宜を図り対処・対応すること。

(『実用日本語表現辞典』)

「お取り計らい」は相手が行ってくれた気遣いを丁寧に表現した言葉。相手の配慮に感謝を示す時や、何かをお願いする時に使う敬語表現です。

「計らい」には判断・処置といったニュアンスが含まれるため、物事をうまく進めるために相手が行ってくれた気遣いに敬意を払う時に使う場合が多いでしょう。

「お取り計らい」を使う時の注意点

「お取り計らい」は丁寧な言葉ですが、使い方や言い回しを間違えると失礼な印象を与えかねません。

特に「お願い」する場面で使う際は注意が必要です。「お取り計らい」を正しく使うために、注意点も頭に入れておきましょう。

「お取り計らいください」はNG

「お取り計らい」は敬語表現にあたるので、目上の人や取引先などに使用しても良いでしょう。ただし、「お取り計らいください」という言葉で、目上の人にお願いをするのはおすすめしません。

間違った言い回しではありませんが、「○○してください」という言葉は強い表現になるため、上から目線な印象を与える可能性もあります。

目上の人に対しては、以下のように使用しましょう。

「お取り計らい」の丁寧な使い方の例

・お取り計らいくださいますよう~

・お取り計らい賜りますよう~

・お取り計らいのほど~

「お取り計らい」を丁寧に表現する方法

さらに、目上の人に対しては以下のような前置きの言葉をプラスして、丁寧にお願いするようにしましょう。

「お取り計らい」の前につける言葉の例

・恐縮ですが

・恐れ入りますが

・お手数おかけしますが

・勝手を申し上げますが

「お取り計らい」の正しい使い方(例文つき)

「お取り計らい」を使う場面は、大きく分けて「相手に感謝を伝えたい時」と「相手にお願いしたい時」の2種類です。

以下では、実際にビジネスシーンで使える「お取り計らい」の例文を紹介します。

相手に感謝を伝えたい時

感謝を伝える時は「お気遣いありがとうございます」「ご配慮ありがとうございます」というニュアンスを含みます。

ビジネスシーンでは、物事を進める際に迷惑や苦労を掛けるであろう人・掛けた人に対して使うことが多いでしょう。

例文

・親切にお取り計らいいただき、誠にありがとうございます。

・急な依頼にも関わらず、お取り計らいくださり、感謝申し上げます。

相手にお願いしたい時

相手に何かをお願いしたい場合は、以下のように使用します。

先述した通り「お取り計らいください」という表現だけだと相手に失礼な印象を与えるので、「恐れ入りますが」といった言葉を頭につけると良いでしょう。

例文

・お手数お掛けしますが、お取り計らいのほど、よろしくお願いいたします。

・恐縮ですが、お取り計らいくださいますよう、お願い申し上げます。

・恐れ入りますが、お取り計らい賜りますよう、お願いいたします。

・勝手を申し上げますが、お取り計らいいただきますようお願いいたします。

「お取り計らい」の類語


「お取り計らい」という言葉は、ビジネスでは使用することが多いですが、日常生活ではあまり使わない言葉かもしれません。そのため、もう少し馴染みのある言葉に言い換える方がスムーズな場合もあるでしょう。

ここからは「お取り計らい」と言い換えができる言葉を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

ご配慮

「配慮」は「気配り」を意味する言葉です。「ご配慮」という言葉では、相手の心遣いに対する感謝の気持ちを表現できるので、この言葉に言い換えても問題はありません。

「お取り計らい」という言葉に比べて、目上の人や親しい間柄の人などに幅広く使えるため、知っておくと便利でしょう。

例文

・ご配慮をいただきありがとうございました。

・ご配慮くださいますよう、よろしくお願いいたします。

お力添え

「お力添え」は「相手からのサポートや協力」を指す言葉です。「お取り計らい」と非常に似た意味の言葉ですが、「お力添え」は明確に力を貸してほしい時に使います。

例文

・お力添えをいただきたく存じます。

・何卒、お力添えをお願いいたします。

ご尽力

「ご尽力」は「力添えをしてもらう」という意味で使う言葉です。「ご尽力」も「お力添え」と同様に、明確な力添えが欲しいというニュアンスになります。

例文

・ご尽力賜りまして感謝申し上げます。

・ご尽力いただければ幸いです。

お心遣い

「お心遣い」は、目上の人に対して使う丁寧な言葉です。

「お取り計らい」は幅広い意味を持つ言い方ですが、「お心遣い」は相手が気を使ってくれたことに対して感謝の意味を伝える時に使います。

例文

・お心遣いを賜り、誠にありがとうございます。

・お心遣いくださり、ありがとうございます。

お気遣い

「お気遣い」は、相手が配慮してくれる心に対して使う言葉です。

基本的には「感謝」を表す場合のみ使いますが、公共の場などで不特定多数の人に禁煙を呼びかける際などには、「お気遣いのほど、よろしくお願いいたします」といった言い回しをされることも。

例文

・この度はお気遣いいただき、誠にありがとうございます。

・ゴミの持ち帰りなど、お気遣いのほどよろしくお願いいたします。

「お取り計らい」の英語表現

「お取り計らい」の英語表現は「arrangement」という言葉になります。「準備・お膳立て・配置」といった意味があります。

ビジネスシーンで使う場合

準備や手配、予定を表す時はたいてい「arrangements」と複数形にして使われます。

例文

・Thank you so much for your arrangements.

(お取り計らいいただきまして、誠にありがとうございます)

・I would appreciate your arrangements.

(お取り計らいいただきますよう、よろしくお願いします)

日常的に使う場合

もう少しカジュアルに「お取り計らい」を英語表現したい時は、「thoughtfull(思いやりのある)」「kindness(親切な)」という言葉を使っても問題はありません。

例文

・That’s very thoughtful.Thank you so much.

(素晴らしい取り計らいをありがとう)

・I appreciate your kindness.

(お取り計らいに感謝いたします)

「お取り計らい」を正しく使おう

「お取り計らい」は、物事を円滑に進めるためのお願いをする場合や、協力に感謝する時に使える言葉です。

特にビジネスシーンでは相手に何かをお願いすることや、何かしてもらったことに感謝を伝える場面も多くあります。そんな時に「お取り計らい」という言葉を正しく使って、相手に良い印象を与えてくださいね。

(まる)

※この記事は2021年05月17日に公開されたものです

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