ピックアップとは? 日本語と英語の意味の違い
「ピックアップ」にはいろいろな意味があります。また、日本語と英語では違う意味を持つ場合もあるため、扱いが難しいと感じることも。本記事では、「ピックアップ」の意味について解説します。
「ピックアップ」という言葉を、日常的に使っている人も多いのではないでしょうか。
しかし、「ピックアップ」は間違った意味合いで使いがちな言葉であり、特に海外の人には伝わらないことも。
今回は、「ピックアップ」の意味と使う時の注意点を解説するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
「ピックアップ」の意味
何気なく使っている「ピックアップ」という言葉ですが、実は複数の意味を持っており、間違って使うと意味が正しく伝わらないことも。
そこでまず、日本語や英語における「ピックアップ」の意味についてチェックしていきましょう。
語源に近いのは「拾う」「持ち上げる」
「ピックアップ」の語源は、英語の「pick up」という表現で、「拾う」「持ち上げる」という意味です。
そのため、日本語の「ピックアップ」も、落ちているものを拾ったり、家具を持ち上げたりする場面で使われることがあります。
例文
・地面に落ちた果物をピックアップしておいてください
・ソファーをピックアップして、あの部屋まで運んでください
「選出する」
ビジネスシーンで「ピックアップ」といわれた場合、「選出」を意味することが多いです。
「複数のものの中からいくつか選ぶ」という意味で、「相手の好きそうなお土産をいくつかピックアップしておいて」というように使われます。
また、「ピックアップ」の対象はものだけでなく、人やデータなど、数えられるものなら全てが対象です。
例文
・仕事で使う資料を、いくつかピックアップして渡してください
・ピックアップした中から、イメージに合うデザインを教えてください
「車で迎えに行く」
「ピックアップ」は、人を拾うといったニュアンスから「車で迎えに行く」という意味で使われることもあります。
この場合の「ピックアップ」はビジネスシーンでも使用され、駅から会社までの移動手段がない時に「ピックアップしてください」とお願いすることも。
また「ピックアップ」は、「拾う=車に乗せる」という意味を持っているため、「車でピックアップ」という使い方をしない点に注意してくださいね。
例文
・お客さまを空港までピックアップしに行ってください
・時間がなかったので、会社から駅までピックアップしてもらいました
「片付ける」
英語では床に落ちているゴミを拾うことを「Pick up the trash」と表現するなど、「物を拾って片付ける・整理する」という意味で「ピックアップ」を使います。
例文
・pick up the trash.(ゴミを拾って)
・pick up a room.(部屋を片付ける)
「購入する」
物を買う時にも「ピックアップ」を使います。特に、誰かに「買ってきてほしい」と伝える時によく使用します。
例文
・Can you pick up some beer on your way home?(帰りにビールを買ってきてくれませんか?)
「再開する」
ピックアップには再び始めるという意味もあり、「中断したことを再開する」という表現で使われることもあります。
例文
・Let’s pick up where we left off.(中断したところから始めよう)
「電話に出る」
電話に出ることや、電話に出てほしいと相手に伝える時にも「ピックアップ」は使えます。
例文
・Can you pick up the phone?(電話を取ってくれますか?)
「ピックアップ」を使う時の注意点
「ピックアップ」には、前述した通りさまざまな意味が含まれています。
そこで、相手に間違った意味合いで伝わらないよう、「ピックアップ」を使う時の注意点を押さえておきましょう。
英語では「選ぶ」ことをピックアップとは言わない
「ピックアップ」の意味の1つである「選出」は、英語の「pick up」の意味とは異なるため、日本以外では通じません。
そのため、海外の人や日本語に慣れていない人とやりとりをする時は「選ぶ」という意味での「ピックアップ」は使わないようにするのがベターです。
英語では「選ぶ」を「pick out」と言う
前述した通り、英語の「pick up」には「選出する」という意味はありません。「選出」の意味合いで使いたい場合は、「pick up」ではなく「pick out」を使いましょう。
「pick out」には、「拾い出す」という意味の他にも「選び出す」「選ぶ」といった意味があり、日本語の「ピックアップ」と同じ使い方ができますよ。
また、カジュアルなシーンなら、「選ぶ」という意味のある「select」や「choose」も使用できます。
海外の人と話したりメールを送ったりする機会が多い人は、「pick out」や「select」、「choose」といった言葉を覚えておき、スムーズなコミュニケーションを心がけましょう。
ピックアップを使う際には前後の文脈を意識する
いろいろな意味のある「ピックアップ」。意図がうまく伝わらなかったり、相手がどの意味合いで使っているのか分かりにくいという難点もあります。
その場合は前後の文章にも注意しましょう。
例えば、「この会社をピックアップ」と表現すると「選出」と受け取られる一方、「この会社がピックアップ」と表すと「会社の状況が好転した」という意味になります。
また、「ピックアップした」「ピックアップしてもらった」のように、「ピックアップ」の後に続く言葉でも、意味合いが変わりますよね。
このように、「ピックアップ」前後の接続詞などを細かく考えて文章を組み立てると、相手に正しい意味を伝えやすくなるでしょう。
さらに、「会社の中から」や「会社の経済状況が」など、意味に合わせた名詞を付け加えることで、相手に伝わりやすくなりますよ。
「ピックアップ」の類語
「ピックアップ」を分かりやすく表現したい人のために、言い換えにも使える日本語の類語を紹介します。
「選ぶ」
「ピックアップ」の類語として使いやすい言葉が「選ぶ」です。
「選出」よりもカジュアルな言葉であり、かつ素直な表現なので、相手に意図が伝わりやすいですよ。
例文
・この中から営業へ行く会社を選んでおいてください
・あらかじめ選んでおいた話題の中から、最適なものを使ってください
「取り上げる」
「議題をピックアップする」という文章を作る場合には、「ピックアップ」を「取り上げる」と言い換えてもOKです。
「取り上げる」には、「採用する」「問題として扱う」といった意味があるため、「ピックアップ」と同じように使えます。
もちろん、「取り上げる」には「ものを持ち上げる」という意味もあるため、こちらの意味での言い換えもできますよ。
例文
・今回取り上げる議題はこちらです
・ある社員からの問題提起を取り上げたい
「ピックアップ」の対義語
「ピックアップ」の対義語には、「ドロップオフ」が挙げられます。
英語の「drop off」が語源となっており、「落ちる」「下ろす」「置いていく」という意味です。
また、「不採用」という意味もあり、ビジネスシーンで使用する機会も多いでしょう。
ただし「ドロップオフ」には、「選ばない」という意味はないため注意してください
意味の違いに気をつけて「ピックアップ」を使いこなそう
「ピックアップ」は、何かを選び出す時に使われる言葉で、ビジネスシーン以外でもさまざまな場所で使われていますよね。
しかし、カタカナ語の「ピックアップ」にはたくさんの意味があり、カタカナ語と英語では使い方が異なるなど、注意しておきたいポイントがいくつかあります。
今回解説した内容を参考にして「ピックアップ」を使いこなし、自分の意図や考えをきちんと相手に伝えましょう。
(kirara)
※画像はイメージです
※この記事は2021年06月22日に公開されたものです