「及び」の意味とは? 「並びに」との違いと使い方【例文あり】

「及び」という言葉、正しく使えていますか? 句読点のルールや「並びに」・「または」などとの違いが分かりにくく、使い方に悩む人は多いでしょう。今回はビジネス用語に詳しいライターのSaiさんが、「及び」の使い方や類語との違いを解説します。

ビジネスメールや会議の資料などでよく目にする「及び」という言葉。「並びに」や「または」など似たような意味の言葉が多く、使い方を間違えてしまっている人は少なくありません。

そこで本記事では、「及び」を使う上での注意点や類語との違いなどを、例文も併せて詳しく解説します。

及び(および)とはどんな言葉?

まずは、「及び」の意味やどんな時に使う言葉なのかを確認してみましょう。

複数のものを羅列する時に使う接続詞

「及び」は、複数のものを羅列する時に使う言葉で、単語と単語をつなぐ役割を持っています。

日常生活でもよく使う「〜と」と同じ意味で、1つの事柄に別の事柄を付け足す時にも使う言葉です。

英語で表現すると「and」

「及び」は、英語で表現する場合「and」に当てはまります。

「dinner and breakfast(夕食及び朝食)」や「general manager and section head(部長及び課長)」などというように、列挙したい語句を「and」でつないで使います。

また、「both A and B」や「A as well as B」といった熟語も、「及び」と同じ意味を持つ表現です。

「及び」を使う上での注意点

複数の事柄を併記したり、別の事物を付け加えたりする時に使う「及び」という言葉。使い勝手のいい言葉ですが、使用する上でのルールを覚えておかなければ誤用してしまう可能性があります。

ここからは、「及び」を使う上で押さえておくべき注意点を解説します。

句読点の使い方に注意する

「及び」を使う上注意すべきポイントの1つが、句読点の有無や位置です。

まず、「A及びB」というように2つの事柄を列挙する場合は、基本的に句読点は不要です。例えば、夕食と朝食を「及び」を使って併記する場合は、「夕食及び朝食」となります。

列挙したい単語が長い、文章のリズムを良くしたいなどの理由で読点を付けたい場合は、「A、及びB」のように「及び」の前に読点を付けるようにします。

例えば、「部長、及び課長」や「プロジェクトリーダー、及びサブリーダー」のように表します。

「及び」の後に読点を持ってくる使い方は基本的にはしないため、覚えておくようにしましょう。

ビジネスシーンやフォーマルな場面で使うようにする

単語と単語をつなぐ役割をする「及び」は慣れると使い勝手がいい言葉ですが、どんな場面でも使っていいという訳ではありません。

基本的には契約書などの堅い文章や、会議などで使われる少しかしこまった表現となるため、ビジネスシーンやフォーマルな場面でのみ使うようにすることをおすすめします。

日常会話では「及び」の代わりに「〜と」を使うと良いでしょう。

【例文付き】「及び」の正しい使い方

会議の資料や契約書などでよく見る「及び」という言葉。使用する上でのルールが多い言葉なので、正確な使い方をしっかり把握しておく必要があるでしょう。

ここからは、「及び」の正しい使い方を例文付きで詳しく解説します。

2つの事柄を並列して挙げる場合

2つの事柄を並列して挙げる場合は、先ほど解説したように句読点の有無や位置に気を付ける必要があります。

いくつか例文を紹介しますので、句読点に着目しながら1つずつ確認してみましょう。

例文

・企画開発部、及び広報部の職員は会議室へお集まりください。

・資料の1枚目及び2枚目に、詳しい契約内容についての説明が記載されています。

・プロジェクトリーダー、及びサブリーダーは月曜日までに報告書を提出してください。

3つ以上の事柄を並列して挙げる場合

複数の事柄を併記する時に使う「及び」は、3つ以上の事柄を羅列したい時にも使用できる言葉です。

この場合、「及び」は最後の事柄の1つ前で使うようにするのが正確なルールとなっており、「A及びB、C」のように「及び」を最初の位置に入れるのは誤りとなります。

なお、項目が5つ、6つと増えていってもこのルールは変わりません。

例文を通して詳しく確認してみましょう。

例文

・営業部、企画部、及び広報部の職員は本日の会議に必ず参加してください。

・内定者懇親会に参加する場合、ジャケット、襟付きのシャツ及び革靴の着用は必須となっております。

「及び」の類語

「及び」の使用が難しいと感じてしまう理由の1つに、似たような使い方をする類語が多いことが挙げられます。「並びに」や「または」との違いがよく分からず、使い分けに悩んでしまう人は多いでしょう。

ここからは、「及び」の類語や使い方、「及び」との違いなどについて詳しく解説します。

「並びに」

2つの事柄を並べて表記する「並びに」は、「及び」と使い方が似ており混同しやすい言葉の1つです。

「及びに」と「並びに」の使い分け

しかし、「及び」が似たような事柄を列挙する時に使う言葉であるのに対し、「並びに」はジャンルが違うものを併記する時に使う言葉となります。

また、法令用語としては、小さな段階をつなぐ場合は「及び」、より大きな段階をつなぐ場合は「並びに」を使うというように、2つの言葉の違いが明確に定義されています。

さらに、「並びに」の方が「及び」より口語的だという特徴もあるため、併せて覚えておきましょう。

「または」

「または」も「AまたはB」のように2つの事柄の間に入る単語のため、「及び」との違いが分かりにくいと感じる人は多いでしょう。

ただし、「または」は「2つ以上の事柄から1つを選ぶこと」を意味しているため、事柄を併記しているだけの「及び」とは意味が異なります。

また、「及び」のように複数の事柄を列挙するのではなく、選択肢が2つに限られているという点も異なるため、注意するようにしましょう。

「かつ」

「かつ」は、「2つの動作や事柄が並行して行われていること」を意味する言葉で、「及び」とニュアンスは似ているものの使い方が異なります。

「及び」が名詞と名詞をつなぐ一方、「かつ」は動詞と形容詞をつなぐ言葉であり、「よく働き、かつよく遊ぶ」や「迅速にかつ丁寧に」などというような使い方をする単語です。

「及び」とは文法的な使い方が異なるため、混同しないように注意しましょう。

及びにを使う時は注意点や類語との違いを理解しよう

ビジネスシーンやフォーマルな場面でよく見聞きする「及び」という言葉。使用上のルールが多く、「並びに」や「または」などとの使い分けも難しいため、正確な使い方がよく分からない人は多いでしょう。

しかし、基本的な使い方や類語との違いを一度理解すれば、正しく使用することはそれほど難しくありません。

使用する上での注意点や例文をしっかり確認しておき、自信を持って「及び」を使えるようになりましょう。

(Sai)

※画像はイメージです

※この記事は2021年05月21日に公開されたものです

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