ニッチとはどんな意味? ビジネス・建築・日常会話での使用例

ビジネスシーンやプライベートなどで、「ニッチ戦略」や「ニッチな趣味」というフレーズを聞いたことはありませんか? この「ニッチ(niche)」という言葉ですが、意味がよく分からないという人も少なくないでしょう。ニッチには「隙間」という意味があり、マーケティング分野では「隙間産業」を指す意味で使われることが多い言葉。今回は、「ニッチ」の意味や使い方を分かりやすく紹介します。

「ニッチ」は、近年ビジネスシーンで使う機会が増えてきている言葉です。

しかし、他のカタカナ語に比べると使われる頻度が低いため、「どのような意味なのか詳しくは知らない」という人もまだまだ多いでしょう。

言葉の意味が分からないと、スムーズにコミュニケーションが取れなかったり、仕事内容が把握できなかったりと、何かと不便ですよね。

仕事の大事なシーンなど、いざという時のために「ニッチ」とはどんな意味の言葉なのか、どのような使い方をすれば良いのか覚えておきましょう。

ニッチとは?

そもそも「ニッチ」という単語には、どのような意味があるのでしょうか。まずは、本来の意味と語源から見ていきましょう。

「ニッチ」の本来の意味は「隙間・壁龕(へきがん)」

ニッチとは「隙間」「壁龕(へきがん)」を指します。

辞書では以下のように記載されています。

ニッチ
西洋建築で、厚みのある壁をえぐって作ったくぼみ部分。彫像や花瓶などを置く。壁龕 (へきがん) 。
(『デジタル大辞泉』小学館)

ビジネスで使われるイメージの強い「ニッチ」ですが、元々はこのように、西洋の建築用語としての意味を持つ言葉です。

また、「ニッチ」には「隙間産業」という意味もあります。

大手の企業があまり手がけていない分野、商品や市場を指します。ビジネスにおいては、このようなマーケティング用語としての意味で使われることが多いようです。

「ニッチ」の語源は英語の「niche」

ニッチの語源は、英語の「niche」から来ています。

辞書では以下のように記されています。

niche
(1)ニッチ、壁龕(へきがん)《(聖)像・花瓶などを置く壁のくぼみ》。
(2)〔人・ものに〕適した所、適所〔for〕。
(3)【生態】生態的地位、ニッチ。
(『新英和中辞典』研究社)

外来語としての「ニッチ」は、語源となる英語の「niche」とそのまま同じ意味で使われていることが分かります。

「ニッチ」の使い方は?(例文付き)

「ニッチ」という言葉の意味を知っていても、使い方が分からなければ普段の生活で活用しにくいですよね。

ここからは、「ニッチ」の使い方について解説してきます。

「ニッチ」はどのようなシーンでよく使われる?

「ニッチ」という言葉は、ビジネスから日常生活まで、さまざまなシーンで使われている言葉です。具体的にどのようなシーンで使われるのでしょう。

ビジネス用語として使われる「ニッチ」は、企画会議や経営会議などのシーンで多く使われています。最近では、ビジネス系のニュースなどでも外来語が使われていることが多く、「ニッチ」を目にする機会も多いでしょう。

また、「ニッチ」は建築業界でも使われている言葉です。そのため、住宅や建物に関する資料、ニュースなどでも登場することがあります。

さらに日常会話でも、「ニッチ」を使う人が増えてきています。何かの感想を述べたり、相手に意見したりする際に登場することが多く、どのようなジャンルの話をする時でも使える言葉です。

▶次のページでは、ビジネス・建築業界・日常会話における「ニッチ」の使い方をそれぞれ例文と共に紹介します。

分野ごとの「ニッチ」の意味と使い方

「ニッチ」という単語は、ビジネス用語として、建築用語としてなど、どのような目的で使われるのかによって意味が変化します。

それぞれの意味を知っておかないと、話の内容がよく理解できなかったり、相手に間違った意図で伝わったりしてしまうので、分野ごとに意味を押さえておくと便利でしょう。

ビジネス用語として使われる場合

ビジネス用語として使われる場合の「ニッチ」とは、大手の企業が手掛けていない小規模な分野のことを指します。

例えば、新しく事業を立ち上げる時、すでに大手の企業が取り組んでいるのと同じ分野を選んでも市場競争に負けてしまうでしょう。

そのため、新しい事業や小さな企業が成功をつかむには、大手の企業が取り組んでいない分野を狙う必要があるとされています。そのような、ビジネスチャンスが多い分野のことを「隙間産業」、つまり「ニッチ」と呼びます。

「ニッチな客層」「ニッチ戦略」というような使い方ができます。例文と合わせて見ていきましょう。

例文

・A社はニッチな客層をターゲットとすることで、成功をつかんだ。

・今後の業績を上げていくためには、ニッチ商品を開発する必要がある。

・徹底的に分析を行い、ニッチな市場はどこなのかを知っておくべきだ。

建築・インテリア用語として使われる場合

建築用語として使われる「ニッチ」とは、壁など、建物の一部をくぼませて隙間を作ることを指します。インテリアを置くスペースを作ったり、間接照明を設置したりすることで、建物内の空間を有効利用するのが主な目的です。

住宅やオフィスを新築したり、リフォームしたりする際によく使われるフレーズです。それでは例文を紹介します。

例文

・部屋はあまり広くないが、ニッチを設ければ収納場所には困らないだろう。

・間接照明のあるリビングに憧れているので、今回のリフォームでニッチを設置してみたい。

・このニッチには、趣味である写真のコレクションをたくさん並べる予定だ。

日常生活で使われる場合

日常で使われる場合の「ニッチ」は、「マニアック」「風変わり」を指します。

あまり多くは認知されていない、万人受けではないなどの意味があります。ビジネス用語として使われる「ニッチ」と、ややニュアンスが似ていますね。

「風変わりな趣味だね」と聞くと、ネガティブな印象を受ける人も多いでしょう。しかし、「ニッチな趣味だね」と言い換えると、表現が少し柔らかくなります。

良い意味で個性的であると伝えたい場合は、「ニッチ」を使って表現してみるのもおすすめです。

例文

・みんなと同じではつまらないから、ニッチな趣味を極めてみたい。

ニッチな視点で物事を考えられるのも、あなたの魅力の1つだよ。

・思わず「へー!」と声に出してしまうような、ニッチな情報を発信しているブログです。

▶次のページでは、「ニッチ」の言い換え表現をご紹介します。

「ニッチ」の言い換え表現

「ニッチ」は、使われるシーンや分野によって意味が変わるように、類義語もそれぞれのシーンや分野で変化します。

そこでここからは、分野ごとに類義語を紹介していきます。

ビジネス経済での「ニッチ」は「隙間」

ビジネスでの「ニッチ」を言い換えるのであれば、「隙間」が適しているでしょう。

例:「ニッチ産業」「ニッチ市場」の言い換え

例えば、「ニッチ産業」は「隙間産業」に、「ニッチ市場」は「隙間市場」に言い換えることができます。

建築用語としての「ニッチ」は「くぼみ」

建築用語の「ニッチ」は、「壁龕(へきがん)」「くぼみ」などと言い換えることができます。

ただし、「壁龕」は日常会話ではほとんど使われないため、「壁面のニッチ」を言い換えたい時は「壁面のくぼみ」と表現すると伝わりやすいでしょう。

生物学用語としての「ニッチ」は「生態的地位」

生態学の分野における「ニッチ」は、「生態的地位」を意味します。

生態的地位とは、生物の種や個体群が生存競争などを経て得た、特有の生息場所のことです。

日常会話での「ニッチ」は「風変わりな」「個性的な」

日常会話で使われる「ニッチ」は、「風変わりな」「個性的な」と言い換えることができます。

ビジネスでも日常会話でも、「ニッチ」という言葉が多く使われるようになったとはいえ、まだまだ意味を知らない人も多いのが事実。

「ニッチ」をそのまま使うと、相手に話の内容が伝わらない場合があるだけでなく、「横文字ばかりで不親切だ」といった印象を持たれてしまう可能性もあります。

「ニッチ」と日本語を臨機応変に使い分けできるよう、類義語もぜひ覚えておきましょう。

▶次のページでは、類義語「マイナー」と「ニッチ」の違いを解説します。

「マイナー」との違いは?

「ニッチ」と似ていて、よく間違えて使ってしまいがちなのが「マイナー」という言葉。

「マイナー」とは、「小さいこと」「少ないこと」を意味する言葉です。規模が小さいことを表す、という点では「ニッチ」と少し似ています。

しかし、「ニッチ」は「小さい規模でありながらも需要がある」というニュアンスが含まれるのに対し、「マイナー」は規模の小ささのみを表す言葉です。

需要があるかどうかという点で大きな違いがあるので、使い分けに注意しましょう。

新たなビジネス用語を習得してスキルアップを目指そう

耳慣れないカタカナ語を聞くと、どうしても苦手意識が勝ってしまい、言葉の意味や使い方をなかなか覚えられないという人も多いでしょう。

しかし、ビジネスでは、自分の知らない外来語に遭遇する機会が頻繁にあります。意味を知らないと、仕事に支障をきたしてしまうこともあるでしょう。

反対に、少しでも知っている言葉が増えれば、仕事のスキルアップにつながります。コミュニケーションがスムーズになったり、今まで分からなかった内容のニュースも理解しやすくなったりと、便利になるはずです。

まずは、今回解説した「ニッチ」という言葉から覚えていき、ぜひカタカナ語に強くなりましょう。

(上色ゆるり)

※画像はイメージです

※この記事は2021年05月21日に公開されたものです

SHARE