イニシアチブとは? 意味と用例・類語を分かりやすく説明

「イニシアチブ」は、ビジネスシーンなどで使われている言葉である反面、意味が正しく理解できなくて聞き流している人も多いはず。本記事では、「イニシアチブ」の意味や使い方を解説します。

会議や取引先など、ビジネスシーンで耳にすることがある「イニシアチブ」という言葉。

しかし、日本語ではないため意味が理解しづらく、つい聞き流してしまうこともありますよね。

そこで今回は、「イニシアチブ」が表す意味や言葉の使い方などを解説します。

内容をしっかりチェックして「イニシアチブ」を使いこなせるようになりましょう。

イニシアチブとは? 日本語の意味

会議などで耳にする機会の多い「イニシアチブ」は、4つの意味がある言葉。

相手の意図をきちんと読み取るためにも、まずは「イニシアチブ」の正しい意味をしっかりと理解しましょう。

「主導権」を表す場合

「イニシアチブ」の代表的な意味は「主導権」です。仕事やプロジェクトなどを引っ張ってくれる状況や人を表して使います。

そのため、ビジネスシーンで「イニシアチブを取る」と表現される場合は、その人が仕事を率いるという意味や、自社が業界内で有利な立ち回りをするといった表現になります。

用例

・私がイニシアチブを取って、仕事を進めていきます。

・私たちがイニシアチブを握るために、徹底的にマーケティングを行いましょう。

「先導」「率先して」を表す場合

「先導」や「率先」も「イニシアチブ」が表す意味の1つ。「主導権」と同じような意味ですが、「主導権」には権力が伴う点に注意。

つまり、「先導」や「率先」として「イニシアチブ」を使う場合には、権力を行使するなどの意味はなく、その人の性格や動向などを表しているだけの場合があるため、意味を深読みしすぎないようにしましょう。

用例

・彼のイニシアチブな行動は評価に値する。

・この仕事は、貴社のイニシアチブですすめてください。

「構想」「計画」を表す場合

「○○イニシアチブ」と、名詞のように使う場合は「構想」「計画」という意味になります。

「○○」には、会議や人、地域の名前が入り、「東京イニシアチブ」などと表現されます。

また、「戦略的イニシアチブ」というように、企業の成長目標や経営戦略などを表す場合もあります。

用例

・先日決定した京都イニシアチブを全力で推し進めましょう。

・我社の戦略的イニシアチブは、地域社会と密接に関わっていくことです。

政治的な意味合いを表す場合

「イニシアチブ」は、直接民主政の要素の1つである、「国民が自発的に立法に関する提案を行うことのできる制度」を表すこともあります。

「国民発案」「市民発案」なども同じ意味で、条例の改廃請求などが当てはまります。

ただ、現状の政治制度では基本的に日本ではイニシアチブは認められていません。

用例

・私たちの実情にあった制度を、イニシアチブによって成立させよう。

「イニシアチブ」の使い方

「イニシアチブ」には4つの意味が含まれているので、自分の意図がきちんと伝わるように文章を組み立てることが大切。

「イニシアチブ」の適切な使い方を紹介するので参考にしてください。

伝える意味を明確にする

「イニシアチブ」の意味のなかでも、特に誤解されてしまうのが「主導権」と「先導」の2つの意味です。

どちらも意味が似ているだけでなく基本的な使い方も変わらないため、意味をきちんと明確にするよう心掛けましょう。

例えば、「主導権」の意味で使う場合には、「リーダーとしてイニシアチブを握り」というように役職などを加えましょう。

具体的な権力を示すことで、より「主導権」という意味で使っていることが伝わりやすくなりますよ。

「イニシアチブをとる」と「イニシアチブを握る」正しいのはどっち?

「イニシアチブ」の代表的な表現には、「イニシアチブをとる」「イニシアチブを握る」の2つの表現方法があります。

そこで、文章や意味に合わせた、適切な表現方法を選べるようになりましょう。

「イニシアチブ」を使って文章を作る場合、「とる」も「握る」もどちらも正しい表現方法です。

そのため、どちらを使っても間違いではありません。ただし、表現方法によって意味合いが少し変わるため、注意が必要です。

「イニシアチブを握る」と表現する場合、「主導権」という、より強い意味が加わります。

一方で、「イニシアチブをとる」と表現すると、「主導権」という意味に加えて、「先導」や「率先」といった権力の伴わない意味合いにもなります。

2つの意味を同時に表してしまうので、しっかり区別したいなら「イニシアチブを握る」を使う方が良いでしょう。

また、「イニシアチブを発揮する」と表現すると、「主導権をきちんと活用できている」という意味になり、プラスの要素が強くなります。

そのため、状況を説明する時には「イニシアチブを握った結果」などと表すよりも、「イニシアチブを発揮したため」のような表現の方がよりポジティブに意味が伝わるでしょう。

「イニシアチブ」だけで表現する場合も

「○○のイニシアチブで」という、「イニシアチブ」の後に何もつけない表現方法もあります。

「イニシアチブ」だけで表現する場合、「先導」や「率先」という意味合いに加えて、名詞として「計画」や政治的な意味を表します。

そのため、文章全体を通して、どの意味で使っているのか分かるようにすることが大切です。

「イニシアチブ」と「イニシアティブ」の違い

メールなどでは「イニシアチブ」ではなく「イニシアティブ」が使われることがあります。

この2つの言葉の違いは発音であり、元の言葉はどちらもかわりません。

「イニシアチブ」も「イニシアティブ」も同じ意味なので、どちらを使っても問題ありません。

ただ、同じメールや同じ人のやり取りのなかで「イニシアチブ」と「イニシアティブ」が混在してしまうと意味が分かりづらくなります。

あらかじめどちらを使うのか決めておき、表現を統一させておきましょう。

「イニシアチブ」の類語

「イニシアチブ」は複数の意味が含まれているため、誤解されないように他の言葉で表現したい人も多いはず。

そこで、「イニシアチブ」の意味に似た、言い換えに使える言葉を紹介していきますね。

「リーダーシップ」

「主導権」という意味を表す時に使える言葉が「リーダーシップ」。

「リーダーシップ」には、「指導者の地位」や「統率力」という意味があり、ビジネスシーンでは「部下や業界などを牽引する」という表現になります。

もちろん、そのまま「主導権」を使って言葉を使っても問題ありませんよ。

用例

・彼がリーダーシップを発揮して、プロジェクトを成功させた。

・私たちが主導権を握って進めることで、この業界を成長させてきた。

「積極的」

「率先」などの意味を表す時には「積極的」という言葉が使用できます。

「主導権」の意味と区別しやすいため、意味に合わせて「イニシアチブ」と併用したり使い分けたりすることもおすすめ。

また、個人の資質などを表現する時にも活用できるため、分かりやすく部下を褒める時などにも「積極的」と使いましょう。

用例

・彼の積極的な仕事への取り組みによって、プロジェクトが軌道に乗った。

・会議で積極的に発言することで、スムーズに計画が進んでいる。

「戦略」

「計画」などの意味で使う場合には、「戦略」へ言い換えるのが良いでしょう。

「経営戦略」などと表現することで、「イニシアチブ」を使うよりもしっくりくる場合があります。

ただ、言葉の印象が強く、シーンによってはそぐわないこともあるため、注意しましょう。

用例

・我社の経営戦略は、精密な機械操作によるものづくりが原点になっています。

・可決された京都戦略を参考に、日本の環境問題に沿った工場を建設します。

IT・ビジネス用語「イニシアチブ」を使いこなそう

「イニシアチブ」は、「主導権」や「率先」など、仕事のなかで重要な事柄を表す言葉であることから、ビジネスシーンで使われることも多いでしょう。

一方で、1つの言葉で4種類の意味を持っていることから、間違った意味で伝わってしまうこともあります。

そのため、「イニシアチブ」を使うなら、相手にきちんと意味が伝わるように、分かりやすい伝え方を意識しましょう。

(kirara)

※画像はイメージです

※この記事は2021年05月20日に公開されたものです

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