実は知らない。「アライアンス」の正しい意味
「アライアンス」とは? ビジネス用語に詳しいライターの上色ゆるりさんが「アライアンス」の意味と使い方を解説します。
近頃、ビジネスシーンで使われる機会が増えた「アライアンス」という言葉。
よく耳にするようになったものの、意味が分からず困っている方も多いことでしょう。
今回は、「アライアンス」の意味について詳しく解説していきます。覚えておくと便利な言葉の使い方を、例文と一緒に見ていきましょう。
「アライアンス」の意味とは?
英語で「alliance」と表記される「アライアンス」。単語自体には、以下のような意味があります。
アライアンス【alliance】
(相互利益のためなどの)同盟(を結ぶこと)、同盟関係、縁組
(『Weblio辞書 英和辞典』より)
ビジネスにおいては「複数の企業やグループ(主に異業種の企業同士)が、利益を生み出すために共に協力し合い、事業を行うこと」を意味します。また、協力体制にある企業、グループ自体を指すこともあるようです。
複数の企業が協力を組むことで、1社のみでは実現できないような規模の事業を行うことも可能になります。そのため、事業の拡大や、新事業の開拓を狙いとして「アライアンス」を結ぶ企業も多いそうです。
「アライアンス」を日本語に言い換えると?
「アライアンス」は、以下の日本語で言い換えができます。
・同盟
・縁組
・提携
・協業
・協定
職場や取引先に「アライアンス」の意味を知っている人が多くいるのであれば、そのまま使っても問題なくスムーズにやりとりができるでしょう。
しかし、「アライアンス」の意味を知らない人が多い場面に遭遇することもありますよね。その場合は、日本語に言い換えて伝えた方が、相手に内容や意図がきちんと伝わるはずです。
仕事で使う資料作成や、情報共有する際など、時と場合に合わせて臨機応変に使い分けができるよう、覚えておくといいでしょう。
「アライアンス」の使い方と例文
「アライアンス」は、「アライアンスを組む」「アライアンスを結ぶ」というような表現ができます。また、「○○アライアンス」というように、協定したグループ名にも取り入れられることがあるようです。
具体的な会話や文章では、以下のように使われます。
・本年度より、A社とアライアンスを組むことが決まった。
・御社とアライアンスを結びたいと考えております。
・業績を伸ばすためには、アライアンスが必要不可欠だ。
・業界の成長を促すため、アライアンスを支援する制度が確立された。
以上は、ビジネスシーンやビジネスニュースにおいて、頻繁に使われる言い回しの例です。
言い回しを間違えてしまうと、恥ずかしい思いをしてしまいますが、正しく使えていれば、会議などの大事なシーンでかっこ良く決まるはず。
相手に与える印象もスマートになるので、正確に覚えておきましょう。
「アライアンス」を用いた熟語の意味とは?
「アライアンス」を用いた熟語もビジネスシーンでは多く登場します。
意味と使い方を覚えておくと、仕事の内容をより理解しやすくなったり、分かりやすく伝えやすくなったりするので、ぜひ熟語も合わせて覚えておきましょう。
アライアンス事業
「アライアンス事業」とは、提携した企業同士で行う事業のこと。
単体の会社だけでは成し得なかった大規模な事業も、複数企業が協力し合うことで可能になる場合があるので、企業や業界を成長させるために取り入れられることが多いようです。
具体的には「A社とのアライアンス事業を成功させた」というように使用されます。
アライアンス契約
「アライアンス契約」とは、2社以上の企業やグループが業務提携する際に結ぶ契約のことです。
企業と企業が提携する際は、もちろん口約束だけでは成り立ちません。どのくらいの資金、人材で事業を行っていくのかなど、双方がメリットを得るための規定が必要です。それらのルールの元、結ばれた契約のことを「アライアンス契約」と呼びます。
ちなみに、アライアンス契約での規定を記した書類は「アライアンス契約書」と呼ばれます。「アライアンス契約書を作成して欲しい」というように、ビジネスで多く使われるワードの1つなので、ぜひ覚えておきましょう。
アライアンスパートナー
「アライアンスパートナー」とは、業務提携をしている相手先の企業、またはグループのこと。
「当社のアライアンスパートナーは、A社とB社である」「アライアンスパートナーの一覧表はこちらです」といったように、どの企業とアライアンスを組んでいるのかを第三者に伝える際に多く使われます。
最近では、さまざまな会社が「アライアンスパートナー」をホームページに掲載しています。「アライアンスパートナー」の意味が分かっていれば、どのような企業と提携している会社なのかより深く知れるので、就職や転職にも役立ちそうですね。
ミスアライアンス
英語で「misalliance」、「不適合な結合」と直訳される「ミスアライアンス」。ビジネスにおいては、業務提携が失敗してしまった状態を指します。
アライアンスを結べば必ず成功するというわけではなく、何らかの事情によりうまくいかないこともあります。そういった際に使われるのが「ミスアライアンス」という単語です。
例として「残念ながら、今回A社とはミスアライアンスだった」「ミスアライアンスを避けるため対策を練る必要がある」というような使い方が挙げられます。
「アライアンス」の種類には何がある?
企業と企業が何を目的として業務提携を結ぶかによって、アライアンスの種類が変わります。具体的には、どのような種類があるのでしょうか。
ここからは、中でも主要となる3種類のアライアンスについてご紹介していきます。
(1)生産提携
「生産提携」とは、商品の生産量を増やしたい場合に組まれるアライアンスのこと。
単独の事業社ではまかないきれない量の商品を生産したい場合に、アライアンスパートナーに委託し、生産量を増やす計らいで結ばれる業務提携です。
委託する側の企業は商品の販売量を増やせるメリットがあり、委託された側の企業は、自社の持つ設備を効率よく稼働できるといったメリットがあります。
(2)技術提携
「技術提携」は、アライアンスを結んだ企業同士で、技術やライセンス、人材などを共有するために結ばれる業務提携です。
商品を生産するのに必要な技術力を高めたり、開発のスピードを早めたり、ハイレベルな人材を導入したりできるなどのメリットがあります。
既に取り組んでいる事業を成長させるために取り入れる場合もありますが、新しく事業や商品開発を始める際にも「技術提携」は多く活用されているようです。
(3)販売提携
「販売提携」とは、協力関係にある企業同士で販売のノウハウを共有したり、販売経路を増やしたりするために結ばれるアライアンスのこと。
よりたくさんの商品が売れるようにするためや、商品の認知度を高めるために提携を結ぶことが多いようです。
例えば、SNSを通して商品の宣伝をしていきたいのに、今までSNSを運営してこなかった企業があったとします。その場合、SNSに強い企業とアライアンスを組むことで、より早く消費者に商品をアピールできます。
自社で新たに販売経路を開拓するよりも、効率よく進められるメリットがあるので、戦略の1つとして活用されています。
「アライアンス」と「M&A」とは何が違うの?
「M&A」という単語を聞いたことはありますか?
「アライアンス」とニュアンスが似ているため間違って使ってしまう人も多いと言われていますが、実際は意味が大きく異なります。
「M&A」は合併や買収のこと
「M&A」とは、Mergers(合併) and Acquisitions(買収)を略したもの。複数の企業が特定の企業へと合併されたり、企業が企業を買ったりすることを指します。
「アライアンス」はそれぞれの会社が対等な関係のまま、協力して事業を行っていくのに対し、「M&A」は吸収された会社の経営権がなくなり、片方の会社が経営するスタイル。
主に、経営困難となった会社が吸収されることが多く、存続や節税を目的として行われます。
使い方の例としては、「今回のM&Aでトラブルが起きないよう細心の注意を払おう」「M&Aアドバイザーとして、自社にA氏を招き入れる予定」などが挙げられます。
ビジネス用語は少しずつ学んで苦手意識を取り除こう
ビジネスで使われるカタカナ語には、苦手意識があるという方も少なくないはず。
しかし、一度意味を知って覚えておくことで、より仕事の内容を理解しやすくなりますし、同僚や取引先とのコミュニケーションもスムーズになるでしょう。
難しい単語も多いビジネス用語ですが、少しずつ覚えておき、ぜひ仕事に役立ててくださいね。
(上色ゆるり)
※画像はイメージです
※この記事は2021年04月15日に公開されたものです