こっち来ないで。嫌いな人と関わらない方法8つ
嫌いな人と極力関わらないための方法はあるのでしょうか。また関わらないといけない場面で使える必要最低限のコミュニケーションのコツって? 心理カウンセラーの池尾千里さんが賢い立ち回り方を解説します。
私たちの人生で関わる相手が好きな人ばかりだったらいいのですが、現実は、好きになれないものや、苦手な人とも、関わりを持ちながら過ごさなくてはいけません。
それは、ストレスとのお付き合いともいえるでしょう。特に、職場や学校など毎日通う場所に嫌いな人がいた場合、事は深刻ですよね。
今日は、嫌いな人との賢い関わり方を考えながら、人間関係を楽にするご提案をさせていただきます。
職場やプライベート。嫌いな人とは関わらなくてもOK?
嫌いな人というのは、多かれ少なかれ、誰にでもいるもので、なるべくなら、関わり合いたくないもの。嫌いな人が見えなければ、私たちの心は、あまり影響を受けませんが、その人が近くにいたり、何かしらの関わりを持たなくてはいけない間柄だったりすると、心は穏やかではいられず、ストレスの原因となってしまいます。
嫌いな人とは、無理をして、必要以上に関わることはありません。自身をうまく守りながら、適正な距離を保つようにすることが大切です。
なぜ苦手と感じてしまうの? 「嫌いな人」ができる理由
好き、嫌い、苦手。どれも心が自然に感じるもので、嫌いな相手を好きになることも、その逆もコントロールが難しいものです。
でもどうして、私たちは、嫌いとか苦手とか感じるのでしょうか。その理由としていくつか考えられることがあります。
(1)過去にトラブルがあった人に似ている
過去にトラブルを起こし、トラウマになっている人間関係はありませんか?
そういった相手と性別、年齢が似ているだけでも、苦手意識が生まれやすくなります。過去の経験からこの人ともきっとトラブルになると感じてしまうのです。
つまり、過去の経験からあなたの中で「苦手なタイプ」が確立されてしまっている状況です。
(2)自分と似ている部分がある
自分の中にある、自分が好きではない部分と似たものを持っている人を、私たちはあまり好きになれません。
したがって自分と正反対だから受け入れられないのではなく、自分と似ているから受け入れられないというパターンもあるのです。
あなたが嫌い、苦手だと思っている相手の特徴は、自身の欠点なのかもしれません。
(3)競争が起こっている
相手が何かと争いになるようなことを仕掛けてくる、逆にこちらがライバル視してしまうなど競争関係にある相手のこともなかなか好きにはなれません。
2人の間には、「勝ち負け」の世界が繰り広げられてしまいます。この状態で歩み寄ることは難しいでしょう。
(4)マイルールに反する
私たちには各々マイルールがあり、例えば仕事は一生懸命やるものだと思っていると、平気でサボっている人に腹が立ち、仲良くなろうとは思えないでしょう。
このようにマイルールから外れる相手のことを受け入れるのも難しいはずです。
嫌いな人と極力関わらない方法8つ
前述の通り、関わりたくないのであれば嫌いな人と無理に向き合う必要はありません。
不要に深く関わることはせず、適正な距離を保つこともうまいやり方です。とはいえ、あからさまに避けるのも大人ではありません。
では、関わりを最小限にした賢いコミュニケーションの方法を考えていきましょう。これだけを押さえておけば周囲に変な気を使わせず、一方で踏み込んだ関わりを持たなくても済むはずです。
(1)自分から挨拶をする
大人でありながら「嫌いだから挨拶しない」なんてことをくり返していると、周りは不信に思います。あなたとその相手の仲をなんとかしようと、お節介を働く人だって出てくるかもしれません。
したがって、必要最低限の挨拶を自分からすることで、逆にそれ以上何かしなくてもいい予防線を張ることができるのです。
挨拶は、常識とマナーを兼ね備えたもの。適正な距離感を保つのに不可欠です。
(2)「嫌われているかも」と思わせない
仕事上の絡みがある時は特に、極端な態度で「嫌われているかも」と思わせない方がいいかもしれません。
誰かが見ていても恥ずかしくない、常識的なふるまいを心がけましょう。可もなく不可もない関係でいられれば、仕事の話もスムーズなはずです。
“意識して避ける”よりも相手を気にしなくて済むのは、常識的に“無でいる”というドライなコミュニケーションの方法です。
(3)物理的な距離を空ける
そもそもあまり会いたくない人のはずですが、職場では、そういうわけにもいかないでしょう。
でも、出退勤のタイミング、昼休み、トイレに立つ時など、うまく会わない工夫をして、不要なストレスのないように過ごしましょう。
意図的に“活動タイミングをずらす”のです。
(4)自分を守る選択を取る
大人で常識的な対応を心がけるべきだと言っても、心に無理をさせてまですべき言動ではありません。
嫌いな人が攻撃的である場合は、自分を守ることを最優先させてください。
あなたが距離を置こうとしても、相手が距離を詰めてくることもあるかもしれません。対応が難しい場合は、信頼できる人に相談したり、サポートを求めたりすることを忘れないでください。
別に逃げてもいいのです。
(5)反応し過ぎない
どうしても相手と会話をしなくてはならない場面もあるでしょう。
会話の受け答えは、反応がいいとだんだん盛り上がっていきますからほどほどに。
簡単な相づちだけに留める、質問はしないなど、反応し過ぎない態度を見せれば会話は自然と終わっていきます。ダラダラと話が続くということを防げるでしょう。
(6)伝えることは簡潔にまとめておく
嫌いな相手と関わる時間は、なるべく短く抑えたいですよね。
そこで有効なのが、会話や会議の前に、伝えることを簡潔にまとめておくことです。相手が短い時間で理解してくれるよう、要点だけを伝えられるといいですね。
(7)いろいろな想定をしておく
嫌いな相手と仕事で関わる時。会議が一緒になるなどはよくある場面ですが、相手が賛成か反対か、どんな要望がありそうか、わかる範囲でいいので想定し、回答を準備しておきましょう。これもやりとりの時間短縮になります。
(8)対応を誰かに頼む
どうしても難しいことは、自分一人でやろうとしないのも、賢い工夫です。本当に嫌いな相手の対応は、思い切って誰かに任せてしまってもいいかもしれません。
丸投げできなくても、相談し共有することで、何かいい案が出たり、気持ちが楽になったり、勇気が出たりすることだってあります。
無理をせず、自分の中だけにため込まなくてもいいのです。
嫌いな人にもやってはダメ! NGな行動
「嫌いな人とでも手を取り合って、関係構築をしなきゃ!」と自分の気持ちに負担をかける必要はありません。賢いコミュニケーションで目を背けたっていいのです。
でも、嫌いだからといって、何をしてもいいわけではありません。
社会人として、大人として、人としての振る舞いをきちんと考えましょう。その態度が良いものであることは、味方を作り、あなたを守ることにつながります。
では、嫌いな相手であっても見せてはいけない言動はなんでしょうか。
(1)陰口を言う
嫌いな人に陰口を言われたから自分も言い返す、というのは少々乱暴です。相手を傷付け返していいわけではないし、そうしたネガティブな態度は周囲からの評価も下げることでしょう。
無作為に多くの人に陰口を言いふらすのはNG。どうしても許せず、消化できない時は、信頼できる人たちとのクローズな場所で愚痴をこぼしましょう。
(2)「嫌い」を態度に出す
悪い態度を取ることで「あなたのことが嫌いですよ」という意思を表しているのかもしれませんが、その態度は目の前の相手を不快にさせるだけでなく、周りの人や、あなた自身の気分にも実は悪影響です。
「嫌い」という個人的な感情は、自身の立ち回りでうまく処理して、他人に向けないのが賢いやり方です。
(3)「ごめんなさい」「ありがとう」を出し惜しむ
相手が嫌いな人であれば、素直な気持ちを表現しにくくなるものですが、お詫びが必要な場面や、何かをしてもらった感謝については、きちんと伝えておくのがいいでしょう。「嫌い」という感情で左右されるべきポイントではありません。
自身の感情がバイアスとなり、「ありがとう」や「ごめんなさい」が言えない残念な人にはなりたくないですよね。
ストレスをなくすには? 「嫌い」という感情に苦しまない方法
嫌いな人を好きになるのは難しいですが、「嫌い」という気持ちを変化させ、ストレスを減らすことができれば、楽になります。
では、「嫌い」という気持ちをどう受け止めていくといいのでしょうか。
(1)「嫌い」だと認めてしまう
嫌いになってはいけないという思いから、嫌いだと認められないことがあります。
好きな人も嫌いな人もいてもいいのです。「あー私、あの人嫌いだわー」と、さっさと認めてみましょう。
気持ちが楽になって、相手への嫌悪感も軽減されるはずです。
(2)「嫌い=悪いこと」という考えを止めてみる
私たちは、出来ればみんなと良い関係でありたいと思っています。そのため「嫌い=悪いこと」だと感じ、もやもやすることも。
好きも嫌いもあってOK。それ自体は悪いことではないことを覚えておきましょう。
(3)「好き」になるのを諦める
嫌いになるのが良くないから、頑張って好きになろう、良い関係を築こう、仲良くなろうとするのは、潔く諦めましょう。
その努力によって、ストレスを増やすことになりかねません。そして、そんなストレスを与える相手をより憎むようになり、悪循環が生まれます。
好きになることを諦めたら、意外と相手のことが気にならなくなるはずです。
嫌いな人とは無理に関わらなくてもいい!
繰り返しになりますが、嫌いな人とは、無理に関わったり、仲良くなったりしようとしなくてもいいんです。
適正な距離を保つ工夫が大切。そのためには、信頼できる人に愚痴を聞いてもらったり、お休みを取ったり、プライベートで好きなことを思いっきり楽しむことも、大きな助けになるでしょう。
「嫌い」というストレスとうまく付き合うには、自分の中にある別の対象への「好き」という気持ちにも焦点を当てるようにするとバランスが良くなりますよ。
(池尾千里)
※画像はイメージです
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※この記事は2021年03月10日に公開されたものです