それ失礼じゃない? 「お断りメール」のポイント3つ

ビジネスにおいて、何かをお断りしなくてはいけない場面に遭遇した経験は誰しもあるのではないでしょうか? そういう時、どうしたら相手の気分を害さずに伝えることができるのか、悩んだことがある人も多いはず。そこで今回は、マナー講師の三上ナナエさんに、お断りメールを送る際の注意点やメールで使えるフレーズ、例文を教えてもらいました。

ビジネスにおいては、相手の要望に対して断りを入れなくてはいけない場面が必ずあります。

どんなふうに対応すれば失礼な印象にならないか、迷うことも多いでしょう。

その後の関係を良好に保つためにも、お断りする際のメールの書き方や注意点について知っておきましょう。

お断りメールを送る前の注意点

まずは、お断りメールを送る前に、確認しておきたい3つのポイントを紹介します。

(1)結論は何なのかを分かるように伝えること

角が立たないようにと思うあまりに曖昧な返事を送ってしまうと、「これはOKということなのか、お断りなのか、どういう意味なのだろう?」と相手を困惑させ、余計な時間と手間を掛けさせます。

そのため、「お断りのメールである」と伝わることが大事です。

失礼にならないように、どうしても曖昧な表現になりがちかと思いますが、「検討中」「条件次第では承る」というような、相手側の対応に迷いが生じるような書き方はしないことです。

(2)言葉そのものに気を使うこと

お断りすることが分かるようにすることは大切ですが、「お引き受けいたしかねます」「お断りいたします」だけでは、突き放した冷たい印象を与えます。

特にメールでは、表情や声の調子などの感情が伝わりにくいので、クッションとなるような寄り添いの言葉からスタートします。

「申し訳ございませんが」「大変恐縮ではありますが」「残念ながら」「せっかくですが」など、残念に思う気持ちが伝わる表現を心掛けます。

(3)感謝の気持ちを伝えること

そもそも、先方から依頼や提案をもらったということは、こちらを信頼してくれているということです。

そのため、その気持ちに応えられないことに対して、相手を気遣う言葉を添えるのは大切です。

「ありがたいお話なのですが」「身に余る光栄なことなのですが」「お引き受けしたい気持ちはあるのですが」「お役に立てず恐縮ですが」など、感謝が伝わるようにします。

また、締めの言葉として「より一層のご活躍をお祈り申し上げます」など、相手の仕事がうまくいくことを願う言葉があるとより気持ちが伝わるでしょう。

お断りメールで使えるフレーズ

ここでは、お断りメールを書くにあたって使えるフレーズを紹介します。

「今回は見送らせていただくことになりました」

「今回は」という限定的な言葉を使うことで、たまたま条件やタイミングの問題で今回はお断りとなってしまったことが伝わり、全否定的な印象が和らぎます。

また、「お断り」という言葉よりも「見送る」という言葉の方が柔らかい表現として伝わります。

「ご要望に添えず申し訳ございません」

へりくだる気持ちが伝わりやすい言葉です。使い方としては、断る内容の後ろに添えます。

相手の扱っているサービスや製品などの提案をお断りする時などに使え、おわびの気持ちも伝わります。

「お力になれず申し訳ございません」

相手が困っている状況などが想像される場合などに使います。

こちらとしても何とか対応したかった、という気持ちも同時に伝わる、角が立たない表現です。

シチュエーション別での「お断りメール」例文

では実際に、シチュエーション別でのお断りメール例文を紹介します。

要望に添えない時のお断りメール

件名:今回のご提案につきまして

○○株式会社
○○様

いつもお世話になっております。株式会社□□の△△でございます。

このたびはAサービスのご提案をいただき、誠にありがとうございました。
せっかくご提案いただきましたのに申し訳ございません、慎重に検討をしましたが今回は見送らせていただけますでしょうか。

○○な点で大変魅力的なご提案ではありましたが、△△の理由のためお応えできず、残念ではございますがご了承いただけますようお願い申し上げます。

またの機会がございましたら、ぜひよろしくお願いいたします。
貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。

株式会社□□
△△

ポイント

営業提案をもらった際などに使える返信例文です。

相手を立てる具体的な魅力点も入れることで、しっかり検討したことも伝わります。

「またの機会がありましたら」と書くことで、今後も何かご縁があればこちらとしてもありがたい、という気持ちも伝えることができます。

採用選考の時のお断りメール

件名:採用選考結果のお知らせ

○○様

このたびは弊社の営業職採用にご応募くださり、ありがとうございました。
株式会社□□人事担当の△△と申します。

社内で慎重に検討いたしました結果、誠に残念ながら今回は採用を見送らせていただくことになりました。ご希望に添えない結果となりましたことをおわび申し上げます。

多数の企業の中から弊社にご応募いただきましたことを感謝するとともに、○○様の今後のご活躍をお祈り申し上げます。

ポイント

選考対象者は、今後お取引先やお客さまになる可能性もあります。そのため、企業イメージを損なわないような表現にします。

ただし、遠回し過ぎて採用か不採用か伝わらないということがないよう、選考結果についてはしっかりと明記するようにしましょう。

見積もりをもらった製品のお断りメール

件名:○○ご提案の件

○○株式会社
○○様

お世話になっております。株式会社□□の△△でございます。

先日はお見積もりを頂戴し、ありがとうございます。

社内で検討させていただきましたが、大変申し訳ございません、今回は購入を見送らせていただくことになりました。
せっかく丁寧なご提案もいただきましたのに、申し訳ございません。

○○社様の製品は私どもの業界でも好評価であり、ぜひ今後、何かの機会に導入したいと考えております。その際はどうぞよろしくお願いいたします。

末筆ではございますが、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。

株式会社□□
△△

ポイント

時間をかけて対応してくれたことに対する感謝の気持ちが伝わるようにしましょう。

どこでまたお取引が始まるか分かりません。期待に添えなかったことに対しての心苦しさが相手に伝わることが大切です。

商品説明会や記念パーティー参加依頼へのお断りメール

件名:○○記念式典出欠の件

○○株式会社
ご担当○○様

平素より大変お世話になっております。株式会社□□の△△でございます。

このたびは創立○○周年を迎えられたとのこと、心よりお祝い申し上げます。
また、記念式典にご招待くださり誠にありがとうございます。

本来ならばお祝いに駆けつけるべきなのですが、あいにく出張と重なり臨席がかなわない状況です。不参加の失礼をおわび申し上げます。

つきましては、心ばかりのお祝いとして、当日はお花をお送りいたしますので、ご笑納いただければ幸いでございます。

貴社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。

メールにて大変恐縮ですが、お祝いかたがた、欠席のおわびとさせていただきます。

株式会社□□
△△

ポイント

お祝いの言葉、招待してくださったお礼を必ず最初に書きましょう。

そして出席できなかった残念な思いを足すことで、角を立てずに欠席を伝えられます。

良い関係を保つためにも礼儀を重んじることが大切

お断りのメールは、その後の関係にも影響を及ぼすことから、慎重に内容を考えることが重要です。

せっかくのご依頼をお断りするのは気が引けますが、礼儀を重んじた書き方であれば、相手の気分を害する可能性を避けられます。

これからも良い関係を続けるために、ぜひ今回紹介した内容を参考にしてみてください。

(三上ナナエ)

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※この記事は2021年01月25日に公開されたものです

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