ふてくされるとは? ふてくされる人の心理と対処
ふてくされるってどんな意味? 言葉の意味を詳しく解説。すぐふてくされる人の特徴や、付き合い方の対処法を心理カウンセラーの高見綾さんが解説します。
ちょっと指摘しただけなのにふてくされる人がいると、どう対応したらよいのか困ってしまうものです。すぐにふてくされる人は、どうしてそのような態度を取ってしまうのでしょうか。
実は、ふてくされる心理にはいくつかパターンがあるため、そのパターンに応じて対処法を考えるのがおすすめです。コツをつかんで、ふてくされる人と上手に付き合っていきましょう。
ふてくされるとは?
では、まず「ふてくされる」の言葉の意味とどのような態度を指すのかについて見ていきましょう。新たな発見があるかもしれませんよ。
意味
辞書によれば、ふてくされるとは「不平・不満の気持ちがあって、なげやりな態度や反抗的な態度をする」(出典:『デジタル大辞泉』)ことをいいます。
自分の思い通りにならないことに不満を持ち、相手に対する反発の気持ちを態度で表すことから、子どもっぽいニュアンスのある言葉です。
由来
漢字では「不貞腐れる」と書きます。
ただし不貞は当て字だとされています。そもそも「ふて」はふてぶてしいから来た言葉なのだとか。ふてぶてしいとは、開き直った図太い態度のこと。
それに、思い通りにいかず落ち込む姿を表す言葉として「腐る」をつけた言葉です。ふてくされると同じニュアンスで「試合に負けてから、彼は腐ってしまった」などと言うこともありますよね。
言葉をそれぞれ分解すると、なぜ「ふてくされる」という表現になったかの由来が見えてきます。
使い方と例
意味の通り、不平不満の理由を口で説明せず、態度で示すような人を形容して言葉が使われます。具体的には下記のような例で使用されるでしょう。
【例文】
・自分の意見が通らず、彼はふてくされて黙り込んでいる。
・些細なケンカでふてくされるなんて、彼は子どものようだ。
・彼女のわがままを聞き流したら、ふて寝してしまった。
ふてくされる人に見られる代表的な行動
ふてくされる人に見られる代表的な言動として最も分かりやすいのは、「ムスッとした表情をする」という点です。仕事でちょっとしたお願いをしただけなのに、明らかに不満そうにムスッとするなど嫌そうな顔をするのです。
無意識のうちに不満が顔に出てしまっている人もいれば、意図的に嫌そうな表情をすることで周りの人に自分の気持ちを分かってもらおうとしている人もいます。
他にも、「分かりました」と言いつつ声のトーンが低くなったり、その後話しかけてもツンとした態度を取ってきたり、無視してくることもあるでしょう。
▶次のページでは、すぐふてくされる人の共通点を解説します。
すぐふてくされる人の共通点
では、ふてくされやすい人に見られる共通点にはどのようなものがあるのでしょうか? いくつか紹介します。
(1)マイルールがある
自分なりに正しいと思うルールを持っているため、そのルールに反するようなことを言われたりすると、今まで自分が信じてきたものが否定されたような気がして、ふてくされます。
(2)甘えがある
大人なので、言葉を使って自分の気持ちを表現すればいいのですが、どこか甘えがあるため、態度で示すことによって周りに分かってもらおうとしてしまうのです。
特に彼氏や彼女、家族といった親しい人に対してふてくされた態度を取ってしまいます。
(3)指摘されるのが嫌い
他人からあれこれ指摘されると、「自分を否定された」と受け取ってしまうタイプの人はふてくされやすいです。
たとえそれが仕事のミスを指摘されたのだとしても、自信の無さやプライドの高さが邪魔をして、素直に自分の非を認めることができないのです。
(4)自己中心的な発想がある
「自分の思い通りにしたい」「いつも自分に注目してもらいたい」など、自分中心の発想があると、ふてくされる態度を取ったことで周りの人がどういう気持ちになっているのかに想像が及ばなくなってしまいます。
自己中心的な人は何を考えてる? 特徴と改善方法を解説します。
▶次のページでは、ふてくされる態度を取る心理を解説します。
ふてくされる態度を取る心理とは?
では、どうしてそのような態度をとってしまうのでしょうか? その人の心理に迫ります。
(1)反対の意思を無言で示している
理不尽な状況に置かれている場合などに、「それはおかしいと思います」と言う代わりに、ふてくされる態度を取るケースがあります。
自分の話を聞いてもらえそうにない場合や、反対意見を口にするとめんどくさいことになると本人が思っているような場合には、反抗的な態度を取って気持ちを伝えるという手段に出るのです。
(2)気持ちを察してほしい
わざと不満の気持ちを態度に出すことで、周りに自分の気持ちを察してほしいと思っています。
特に、構ってほしい時や自分を見てほしい時などに、「私はこんなに傷ついているの」ということをアピールして相手に罪悪感を抱かせようとしたり、「どうしたの? 大丈夫?」と声を掛けたりしてもらいたいと思っています。
(3)思い通りに進めたいと思っている
ふてくされた態度を取ることで、周りをコントロールしたいと思っています。
「自分がふてくされてしまうのは、周りが悪いから」と思い込んでいるので、ムスッとした態度を取れば、周りが気を使って自分の思い通りに動いてくれると期待しているのです。
(4)気持ちの整理をしている
意図的ではなく、無意識にムスッとした態度が出てしまう人は、気持ちの整理に時間がかかっています。
自分の中にある正しさを否定するようなことを言われた時は、誰でも混乱するものです。「私は間違っていないはず……。いや、どうなのかな?」と心の中で葛藤しながら、現実を受け入れていきます。
その過程で、気持ちが顔に出てしまうのです。このタイプの人は、時間の経過とともに気持ちが落ち着いてくることが多いです。
▶次のページでは、ふてくされる人と関わる時の対処法を解説します。
ふてくされている人の上手な扱い方・対処法
では最後に、ふてくされた態度を取る人の心理別に対応する方法をお伝えします。
(1)反対の意思を示している場合:相手の言い分を聞く
無言で反対の意思を示しているような場合は、まず相手の言い分を聞くことから始めてみるといいでしょう。
この時、「何でそういう態度を取るの!?」と頭ごなしに叱ってしまうと、相手はますます頑なになるので、「私はこういう意図で言ったんだけど、伝わっているかな?」「あなたの考えも教えてほしい」とこちらの気持ちを話しながら対話を進めていきましょう。
あくまでも冷静に、「お互いに理解し合う」ことを目的に話すというのがポイントです。プライベートで恋人に構ってほしくてふてくされている場合も何か言い分があるはずですので、お互いの気持ちを伝え合えると良いですね。
(2)気持ちを察してほしい場合:指摘は相手の良いところと一緒に伝える
ふてくされる態度を取る人を見ると、どうしても相手が悪いと思いがちですが、もしかしたら自分たちの側にも改善すべきことがあるのかもしれません。
誰しも、自分の気持ちを理解しようとしてくれない人の言うことには、耳を貸す気持ちになれないものです。風通しが良い関係を作るためにも、ふてくされる態度を取る人の良いところを見つけて積極的に伝えるようにしてみるのはいかがでしょうか。
例えば部下や後輩であれば、「少しスピードは遅いけどミスは少ないよね。丁寧にこなしてくれるから助かるよ。もっと慣れればスピードも上がるんじゃないかな」と前向きに伝えれば、悪い気はしませんし、自分の気持ちを理解してくれているのかも……と思いやすいです。
(3)思い通りに進めたいと思っている場合:何事もなかったように接する
相手が構ってほしいという気持ちや、自分の思い通りにしたいというわがままな気持ちからふてくされた態度を取っている場合は、何事もなかったかのように普通に接するのが良いでしょう。
「どうしたの?」と気にし過ぎたり、構い過ぎたりしてしまうと、相手は味をしめてまたそういった態度を取ってくることになりかねません。ふてくされた態度を取ってもこの人には通用しないんだと分かれば、トーンダウンしていくでしょう。
(4)気持ちの整理をしている場合:しばらくそっとしておく
素直になれなくてふてくされていたり、気持ちを整理するために無意識でムスッとした態度を取っていたりするような場合には、しばらくそっとしておくことをおすすめします。
相手の気持ちが整理されたらふてくされた態度が直ってくるはずですので、あまり気にせず「そういう時もあるよね」程度の心持ちで見守りましょう。
相手の心理に応じた対処法を取ろう
身近にふてくされやすい人がいると、正直なところ扱いに困ってしまうものです。
ふてくされた態度を取るのも、「構ってほしい」「自分の気持ちを分かってほしい」「自分の思い通りにことを進めたい」「気持ちを整理している」など、さまざまな心理があります。どの心理に当てはまるのかを見極めて、相手に応じた対処法を取っていきましょう。
(高見綾)
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※この記事は2020年09月26日に公開されたものです