粗探しする人の心理とは? 言葉の意味や行動の特徴&対処法を解説
「粗探し」は、誰でも知らず知らずのうちにしてしまうことがあります。ただ、欠点ばかり見つけて指摘されると、イライラするし落ち込んでしまうもの。今回は、そんな粗探しばかりする人の心理と対処法を、心理カウンセラーの高見綾さんの教えてもらいます。
あなたの周りに粗探しばかりしてくる人はいませんか? 他人の悪口を聞くのは気分が悪くなるものですし、自分の粗を指摘されるとショックで落ち込んでしまうものですよね。
では、こういった粗探しをする人はなぜそんなことをするのでしょうか? その心理や性格の特徴などについて解説します。上手な付き合い方についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
「粗探し」とはどんな意味?
まずは「粗探し」の言葉の意味を改めて確認してみましょう。
粗探しとは、「他人の欠点や過失を、ことさらにさがし出すこと。また、そうして悪口を言うこと」(出典:『デジタル大辞泉』)をいいます。
どのような人にも長所があれば短所もありますが、「粗探しをする」とは、長所よりも短所に注目して「欠点は無いかな?」とわざわざ探そうとすることを指します。
それだけではなく、見つけた欠点を「あの人ってこういうとこあるよね~」と他人にしゃべったり、直接本人に指摘したりするような行為を指すこともあります。
粗探しする人の心理
粗探しされて気持ち良い人なんていませんよね。では、なぜ人は粗を探してしまうのでしょうか? 心理を解説します。
(1)優越感を味わいたい
粗探しをする人は日頃から劣等感を強く抱いているので、他人を下げることで優越感を味わって気持ち良くなりたいと思っています。
本心では「すごいな」と思う人がいたとしても、その人の優れた点を認めてしまうと余計に自分が惨めに感じられてしまうため、褒めたり認めたりすることはできるだけしたくないのです。
心理カウンセラーの笹氣健治さんが優越感の意味や抑える方法を解説します。
(2)他人の欠点を見つけることで安心したい
他人の欠点を見つけると「あの人より私はマシだ」と思えて安心します。
本来は、自分を高める努力をすればいいのですが、粗探しをする人は、自分に自信が無いがために「どうせ自分には無理だ」と思っているので、他人を下げることで精神的な安定を得ようとするのです。
(3)他人がうらやましい
優れた人を見ると、妬ましい気持ちが出てきて面白くないと思ってしまいます。素直に「いいなぁ」と認めることができないため、「あんな人のどこがいいのよ!」とひねくれてしまうのです。
その結果、相手を下げる発言をして、評判を落とそうとしたりすることも少なくありません。
恋愛や仕事で生まれる嫉妬心について、心理コーディネーターの織田隼人さんが解説。嫉妬心に悩んだときの対処法も教えます。
(4)嫌いだからこそ目についてしまう
「この人、なんか嫌だな」と一度意識してしまうと、悪いところがどんどん気になってしまうものです。誰に対しても粗探しをするというよりは、特定の嫌いな人の粗を積極的に探してしまうというパターンですね。
嫌なら気にしなければいいのですが、イライラした気持ちを発散したくて、つい悪口を言ってしまいます。
▶次のページでは、粗探しする人の特徴を紹介します。
粗探しする人の特徴【言動編】
では、誰かのためを思って指摘するのではなく、粗を探している人にはどのような特徴があるのか、言動的な特徴を紹介します。
(1)ネガティブな発言が目立つ
粗探しをする人は感情の起伏が激しく、精神的に不安定であることが多いです。心が満たされていないため、「あ~イライラする」など、その時の自分の感情をストレートに表現する傾向があります。
心理カウンセラーの浅野寿和さんに、ネガティブな人の特徴や心理を解説してもらいます。
(2)他人が褒められているのを見ると下げる発言をする
同僚が「○○さんって、仕事が早いですよね!」と褒められていたりすると、「え~そうですかね。○○さんってせっかちだから結構ミス多いですよ。この間も……」というように、相手を下げる発言をします。
(3)他人の批判をよくする
自分のことは棚に上げて、他人の批判をよくします。粗探しをする人は何かしらストレスを抱えていることが多いので、他人の文句を言うことでストレス発散をしている傾向があります。
(4)自慢が多い
さりげなく自分はすごいということをアピールします。
例えば「○○さん、独り身だからフットワーク軽くどこでも行けてうらやましいな~。私は結婚してるからなかなか行けなくて……」など、他人を褒めていると見せかけて自慢を挟みます。
粗探しする人の特徴【性格編】
続いては、粗探しをする人の性格的な特徴を見ていきます。
(1)コンプレックスが強い
粗探しをする人は、自分と他人を比べる傾向があります。自分に自信が無くコンプレックスを強く抱いているので、常に周りと比べて不安になってしまうのです。
そのままの自分ではダメだと思っている分だけ、誰よりも人から認められたいという気持ちを強く持っています。
劣等感を抱く原因を心理カウンセラーの小日向るり子さんが解説します。
(2)プライドが高い
負けず嫌いでプライドが高いのも特徴です。「私は他の人とは違う」「○○さんより優れている」と思うことで自分のプライドを保っています。
少しでも負けていると思うとプライドが傷つくので、過剰に防衛しようとするのです。
プライドが高い人の特徴や心理の他、プライドが高くなる原因、対処法まで伺いました。
(3)被害者意識が強い
粗探しをする人は、今の自分が置かれている状況に納得していないことが多いのですが、それは自分に原因があるのではなく周りの人が悪いから、と思う傾向があります。
「周りがこんなふうだから、私が困っている」というように被害者のポジションを取りたがるのです。
(4)几帳面で完璧主義
きっちりしていて、細かいことが気になる性格です。そのため、他人のちょっとしたミスやルーズなところが気になってしまうのです。完璧主義なところがあるため、余計に他人の粗がよく見えてしまいます。
几帳面な人の特徴やその長所と短所、そして几帳面な人がうまく人間関係を築くためのアドバイスを心理カウンセラーの大野萌子先生に聞きました。
心理カウンセラーの大塚統子さんに、完璧主義の特徴や完璧主義をやめるためにすべきことなどを聞きました。
▶次のページでは、粗探しする人への対処法を解説します。
粗探ししてくる人への対処法
最後に、あなた自身が被害を被ったりイライラしないためにも、粗探ししてくる人への正しい対処法を紹介します。
(1)真に受けずに聞き流す
他人の悪口を聞いた時は「へ~、そうなんですか~」と肯定も否定もせずに受け流すのがおすすめ。肯定すると「○○さんもこう言っていたよ」と別のところで吹聴されてしまうリスクがありますし、否定すると反発されて、余計ややこしくなります。
もし、「△△さんって、こういうところない?」と同意を求められたら、「どうなんですかね?」「私はよく分からないです」と言ってかわしておきましょう。
(2)自分の粗を指摘されたら冷静に受け止める
自分の粗を指摘されたら、感情的にならずに「初めて言われました!」などと冷静に受け止めてみてください。
粗探しをすることで安心感を得ているという相手の心理を理解しておけば、指摘されたとしても少しは心に余裕を持って対応できますし、相手もトーンダウンし指摘がおのずと少なくなっていくことでしょう。
もし指摘されて落ち込みそうになったら、自分の長所に目を向けたり、信頼できる相手に愚痴を聞いてもらったりして、ストレスをため込まないようにしましょう。
(3)周りの人と仲良くしておく
職場であなたの評判を下げようとして粗探しをしてくる人がいた場合には、周りの人と仲良くしておくのが良いですね。
たとえ、悪いうわさを吹聴されたとしても、あらかじめ周りの人に、あなたの人となりや仕事ぶりを知っておいてもらえれば、粗探しする人の言うことを鵜呑みにする人も少ないはずです。
(4)言いやすい相手ならユーモアを交えて指摘してみる
友達や同僚など言いやすい相手であれば、「出た~。また粗探し始まった(笑)」と、ユーモアを交えてツッコミを入れてみるのもありです。粗探ししている自覚が無い人の場合は「えっ、そうなんだ」と気付いてくれるかもしれませんし、自覚があるなら自重するかもしれません。
言葉に出すことで、あなたがもやもやしないでいられるので、少し気がラクになるでしょう。
▶次のページでは、「粗探し」という言葉の使い方や類語を紹介します。
「粗探し」の言葉を深掘りすると?
最後に「粗探し」という言葉について、使い方や類語などを紹介します。言葉の意味を深掘りすることで、さらなる理解を深めましょう!
言葉の使い方
「粗探し」は、他人の欠点や過失を探し出す時に使う言葉。また、他人の欠点を見つけて悪口を言うという意味もあります。
「粗探しをする」「粗探しをされる」のような使い方をします。
例文
・「母は彼女の粗探しに必死のようだ」
・「友達に会うと何かと粗探しをされて疲れる」
・「他人の粗探しばかりする人は嫌われがちだ」
類語
・揚げ足取り
・難癖
・いちゃもん
どれも、他人の悪いところを指摘する意味を指す言葉です。
粗探しする人を反面教師にしよう
粗探しばかりする人は、他人と比べて劣等感を抱いていることが多いもの。コンプレックスが強いがゆえに、他人の欠点を見つけて指摘することで「私の方がマシ」と安心する心理があるのです。
そう考えてみると、コンプレックスは誰にでもあるものですし、同じ状況に陥ったら自分が絶対にやらないとも限りませんよね。粗探しをする人に出会ったら、反面教師にしてください。
(高見綾)
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※この記事は2020年09月18日に公開されたものです