人の話を聞かない上司の正体

業務上、話をしないといけないのに、人の話を聞かない上司に困っていませんか? なぜ話を聞いてくれないのか、どうすればうまくコミュニケーションが取れるのか。そんな悩みを解決するため、心理カウンセラーの大塚統子さんに話を伺ってみました。

「上司とうまくコミュニケーションできない」と悩んでいませんか?

人の話を聞かない上司や一方的に話すような上司だと、伝えたいことが言えずにモヤモヤしますし、仕事をするのに困ることがあるでしょう。

人の話が聞けない上司の特徴と心理を解説し、どう対応したらいいのかを紹介します。

また、もし自分が「人の話を聞かない」と言われた場合の取り組み方もお伝えします。

人の話を聞かない上司の特徴

一生懸命伝えているのに話を聞かない上司にはどんな特徴があるのでしょうか。

(1)せっかち

人の話を途中でさえぎる、人の話を最後まで聞かずに要約しだす、人の話が長いとイライラするといった場合、その上司はせっかちなタイプです。

話の内容やペースが上司の求めるスピードに合っていないのかもしれません。

(2)一方的に話す

上司に時間や心の余裕が無いと、聞くこと・待つことができません。人を思いやる余裕をなくしていると、自分の考えを一方的に話してくることがあります。

また、上司が「周囲は自分の話を聞いて当然」と思っている場合、聞く側になるのが不得手で自分ばかり話そうとします。

(3)威圧的

指示はするけれど意見は聞かないタイプです。

自分が文句を言われている、批判されている、嫌われているなどと思いやすい上司の場合、威圧的な態度を取って人にものを言わせないことがあります。

(4)忘れっぽい

会話の瞬間は真剣なのですが、残念ながら記憶が続かない人がいます。

前と違うことを言う、人が言ったことを覚えていない、自分が言ったことを忘れているといった場合、周囲の人は「ちゃんと聞いてもらえていない」と感じるでしょう。

(5)共感力が乏しい

言うことは間違っていないけれど、受け答えがキツイ言い方になる人がいます。

気持ちをくんだ共感の姿勢が無いために、話を聞いていない、分かっていないと思われがちです。

なぜ人の話を聞かないのか。上司の心理とは?

話を聞かない人は、意図的に話を聞かないようにしているのでしょうか。それとも話を聞くことができない状態なのでしょうか。いくつかの心理を解説します。

(1)自分の言うことが正しいと思っている

自分自身の経験や成功法則から、自分の言うことが正しいと信じています。この場合、あえて人の提案や意見に耳を傾けようとはしません。

(2)「きっと○○」と決めつけている

思い込みが激しく、「きっと○○だろう」と決めつけています。自分の世界の中で完結し、人の話を聞いて客観的な判断をしようとはしません。

(3)自分のやり方にこだわりがある

自分のやり方に絶対の自信があり、それ以外の方法を受け入れようとはしません。頑固さや完璧主義なところがあり、周囲の人の気持ちよりも目標達成を優先しがちです。

(4)保守的になっている

「失敗してはいけない」「確実に成果を」などの強いプレッシャーがあると、より安全な方法を選ぼうとします。守ることに精一杯だと、予定外の話に反応する柔軟さが持てません。

(5)時間や心に余裕が無い

自分に余裕が無い状態では人の話を聞くことはできません。

業務量が多くて時間に余裕が無い、仕事やプライベートなことで精神的に余裕が無いときには人に優しくなれないものです。

(6)人間不信である

裏切られる、奪われる、利用されるといった人間不信感があると、人の言うことを素直に聞くのが難しくなります。言葉の裏の意味を考えてしまい、気軽な雑談もしにくいでしょう。

(7)怒っている

怒りの表現方法の一つとして、人の話を聞かない態度を取ることがあります。

部下の言動を自分への攻撃や批判などと感じると、たとえ職場でも心を閉ざして拒絶する人もいます。

人の話を聞かない上司への対応策

話を聞かない人の特徴が分かったところで、次は自分の話を聞いてもらうための対応策です。まずは、上司がどうしたら耳を傾けやすいのかを理解するといいでしょう。

(1)結論を先に伝える

せっかちなタイプの上司には、話の結論を先に伝えましょう。事前に要点をまとめておき、できるだけ簡潔に伝えると聞いてもらいやすいでしょう。

(2)タイミングを見て伝える

上司にも都合や機嫌があります。どのタイミングが話を聞きやすいのか、どう話しかけると時間を取ってもらいやすいのかを工夫してみましょう。

(3)文章にして伝える

なかなか直接話せない場合は、メールなどの文章で伝えてもいいでしょう。相手の読みやすさを大切にして、読んでくれることへの感謝も忘れずに伝えましょう。

(4)分かりやすく話す

主語と語尾はハッキリ言いましょう。主語が無いと誰のことか分からず、相手はイライラしてしまうかもしれません。

また、「~ですけど……」など状況説明だけで話を終わらせると、 「で、何? どうしたいの?」と上司も困惑します。

(5)うまく話す人を手本にする

話を聞かない上司とうまく話す人がいたら、観察して手本にしましょう。

「相談してもいいでしょうか?」「お願いがあります」など、頼み上手な人の話し方は聞いてもらうコツが隠れています。

(6)一人の人間と思って接する

「上司なのだから話を聞くべき」という態度ではなく、謙虚さを持って話し掛けましょう。

また、気持ちを分かってもらおうと求めすぎないことも大切です。上司も不完全な人間の一人なのです。

もしあなたが「人の話を聞かないね」と言われたら

もしかすると、自分の方が「話を聞かない」と言われることがあるかもしれません。 その場合の対処法もお伝えします。

(1)相手に興味を持つ

「自分はどう思われているだろう?」など、自分にばかり関心が向いていると、相手は話を聞いてもらえていないように感じます。

「この人は何が言いたいのだろう?」「どうしてそう思うのだろう?」と相手に興味を持って聞くようにしましょう。

(2)目の前の話題に集中する

一般的に男性は一つの話題に集中し、女性はあちこちに話題が飛びやすい傾向があるといわれています。

話しながら別のことを考えていると上の空になり、ちゃんと聞いているのか相手が不安になります。今話されている話題に意識を集中するようにしましょう。

(3)相槌を打つ

相手の話の合間に、うなずきや声を出して相槌を打ちましょう。相槌を打つと、相手が自分の話をしやすくなります。

(4)相手の言葉に反応する

相手の話のキーワードを復唱したり、相手が感じた気持ちを言葉で確認したりしてみましょう。

言葉に出して反応をすると、相手はちゃんと聞いてもらえているように感じます。

(5)相手の言いたいことを最後まで聞く

相手の話の途中で、相手の話題をきっかけに自分の話をしないように気を付けましょう。話題泥棒されると、言いたいことが言えなかった不満が相手に残ります。

(6)長所の部分は伸ばす

「人の話を聞かない」と言われるのは悪いことばかりではありません。

自己主張ができる、自分の軸がある、頭の回転が速く一つ先を考えているといった点などは長所にもなります。

長所の部分は伸ばし、短所は直すように心掛けると良いでしょう。

コミュニケーションスキルを磨くチャンス

話を聞かない人が上司だと、悩むことも多いかもしれません。しかし、上司も一人の人間なので、立場が上司だからといって何でもできるわけではありません。

相手に理想の上司像を求めると、上司個人の力量に振り回されてしまいます。

自分自身が取り組めることとして、その上司を理解し、どう伝えたら伝わるのか考え、相手が聞きやすい話し方を工夫してみましょう。

その上司とうまく付き合おうとすることで、今後も役立つコミュニケーションスキルが磨かれていくはずですよ。

(大塚統子)

※画像はイメージです

※この記事は2020年06月17日に公開されたものです

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