「嫌な予感」が当たってしまう本当の理由
鏡が突然割れてしまった……。そんなとき、嫌な予感から胸騒ぎがすることはありませんか? そんな胸騒ぎがしたときの対処法を、心理カウンセラーの高見綾さんに教えてもらいます。
何となく嫌な予感がして、不安からドキドキ・ソワソワしてしまうことはありませんか? 「もし当たったらどうしよう」と思うと居ても立ってもいられなくなるかもしれません。
嫌な予感はなぜするのでしょうか? そして本当に当たりやすいのでしょうか? 心理的な要因を解説します。また、胸騒ぎを落ち着かせる方法についても紹介しますので、ぜひ試してみてくださいね。
嫌な予感が当たりやすいと感じる理由
そもそも「嫌な予感」とはどのようなものなのでしょう。そして、どうして「嫌な予感」は当たると感じるのか、その理由を解説します。
なぜ嫌な予感がするの?
嫌な予感は、「彼氏とうまくいかず別れてしまうのではないか」「職場で自分の悪口を言われているのではないか」といった具体的なものから、「コップが割れた。何か悪いことが起こるのではないか」というような、未来に対する漠然とした予感までさまざまです。
これらは、自分が元々抱いている不安から生まれます。私たちは今までの経験や見聞きしたものを元に未来を予測するので、良いことよりも悪いことの方がイメージとして残りやすく、想像もしやすくなります。
もし過去に恋愛で傷ついた経験があったり、浮気された人の話を聞いていたりしたら、「今の彼、大丈夫かな?」と想像を膨らませてしまうのです。
嫌な未来は来てほしくないので、リスク回避のために、あらかじめ悪い未来をたくさん想定しておくことで心構えをして自分を守ろうとします。
嫌な予感が当たりやすいと感じる理由
お伝えしたように、私たちは良いことよりも悪いことの方が記憶に残りやすいです。
例えば「最近、彼氏の気持ちが冷めてきている気がする」という予感が当たったとしたら、つらい分だけインパクトは大きいですよね。
実際には予感が外れていることもたくさんあるはずですが、悪い予感は「当たらなくてよかった」記憶よりも、「当たって大変だった」記憶の方が心には残りやすく、嫌な予感は当たりやすいと感じてしまうのです。
嫌な予感は当たるのか?
嫌な予感で頭がいっぱいになると、想像が膨らんでどんどんネガティブな思考に偏ります。
私たちはリスク回避のために、最悪の事態を想定して備えておこうとするので、実際に現実になるのは悪い予感のうちの一部だけ。「心配していたけど、案外大丈夫だった」という経験のある方が多いのではないでしょうか。
明確な原因があって嫌な予感がしているものについては、「来週のプレゼンのリハーサルをしっかり行う」というように、嫌な予感が現実にならないように、あらかじめ準備をしておくことで回避できるものが多いです。
一方で、私たちには心の中と現実を一致させようとする心理があるため、嫌な予感が当たっている証拠を探そうとして、無意識のうちにネガティブな行動をしてしまうことがあります。
例えば、職場の先輩がそっけない態度を取ってきたのを見て、「嫌われているかもしれない」と嫌な予感がしたとします。すると、不安からおどおどした態度を取ってしまったり、オープンになれなかったりします。
結果的に、本当に関係がぎくしゃくして「ほら、やっぱりね」と、嫌な予感が当たったことにどこか安心してしまうのです。そういった意味では、嫌な予感は自ら当ててしまうこともあると言えます。
嫌な予感から胸騒ぎを起こしやすい人の特徴
次に、嫌な予感から胸騒ぎを起こしやすい人にはどのような特徴があるかご紹介します。
(1)ネガティブな思い込みが強い人
嫌な予感は、自分自身で作り出していることも多いです。「自分には悪いことがよく起こる」と思い込んでいるような人は、胸騒ぎを起こしやすいでしょう。
ネガティブ思考が強いと、悪い想像がどんどん膨らんでいき「そうなるに違いない」と感じてしまいます。
(2)心配性の人
心配性の人は、取り越し苦労が多くなります。いつも早め早めに最悪の事態を想定して心の準備をしようとしているので、嫌な予感から胸騒ぎを起こしやすくなります。
(3)感受性が豊かな人
外側からの情報を敏感に感じ取る人は、人間の深層に存在する感情をキャッチする力に優れています。人の感情を読み取るのがうまいので、ちょっとした異変にも気付きやすいです。
(4)素直な人
先入観が少なく、フラットに物事を見られる人は、直感を素直に受け取ることができます。
頭であれこれ考えたりせず、感じるものを大切にするので嫌な予感を敏感にキャッチし胸騒ぎがするのです。
(5)洞察力のある人
洞察力のある人は、日頃からあらゆる物事をよく観察しています。「何か違和感がある」と思ったことを冷静に積み上げていくことで、ちょっとした変化や危機にも気付き、ゾワゾワと胸騒ぎがすることがあります。
胸騒ぎを緩和させる方法
嫌な予感が当たるとは限らないのに、胸騒ぎが止まらないこともあるでしょう。
最後に、発生した胸騒ぎを緩和させたり取り除いたりする方法を3つお伝えします。
(1)鏡で自分の顔を見る
不安や恐れの中にどっぷり浸かってしまうと、胸騒ぎが大きくなります。
そんなときは鏡で自分の顔を見てみましょう。「あ、不安な顔をしているな」と客観的に自分を見つめることができると、自然と気持ちが落ち着いてきます。
鏡を見ることができないときは、胸に手を当ててゆっくり深呼吸をするだけでも楽になります。もし家にいるのであれば、体を動かして緊張をほぐしてみたり、掃除や料理など別のことに集中したりするのも、胸騒ぎが緩和されるのでおすすめです。
(2)嫌な予感の原因を書き出してみる
嫌な予感がしたのには何か原因があるはずです。自分の中にある漠然とした不安や思い込みから生まれたものなのか、それとも明確に不安になる理由があってのことなのかを書き出してみましょう。
もしはっきりとした理由があるのなら、対策を考えて対処すれば回避できる可能性があります。漠然とした不安のままにして放っておくと、その不安を実体以上の大きさに感じてしまいます。
原因を見つめることで不安感が適正な大きさに戻るので、気持ちが落ち着いてくるはずです。
(3)感謝や祈りをすることで心が落ち着く
胸騒ぎで眠れない、ぐるぐる考えてしまってどうしても落ち着かないというときは、感謝と祈りが有効です。
目をつぶり心の中で、今の生活に対する感謝を述べてみましょう。安全なお家があること、食べるものがあること、仕事があること、健康であること、今生かされていること、何でもいいです。できるだけハードルを下げて感謝できるポイントを見つけていきます。
また、「〇〇さんがこれからも健康で幸せに過ごせますように」と、親や恩師、友人など自分の大切な人の幸せを祈ると、不思議と穏やかな気持ちに包まれるはず。
胸騒ぎを抑えるルーティンを見つけておこう
私たちはリスク回避のために、最悪の事態を想定する癖があるので、良いことよりも悪いことの方が想像しやすくなっています。
また、悪い記憶の方が印象に残りやすいので、嫌な予感は当たる気がするのですが、実際に現実になるのは一部だけです。
日頃から自分の気持ちを落ち着かせるためのルーティンを作っておくと、嫌な予感から胸騒ぎが起きたときに役に立ちます。ぜひ、参考にしてくださいね。
(高見綾)
※画像はイメージです
※この記事は2020年04月20日に公開されたものです