理解力がない人の原因と特徴とは? 直し方・接し方の対処法

人から「理解力がない」と言われたら辛いもの。反対に、理解力に乏しい相手にはイライラしてしまうことでしょう。そもそも「理解力がない」とは? 原因や対処法(性格の直し方/接し方)を、外資系OLコラムニストのぱぴこさんが解説します。

「理解力がないね」

上司に言われたら、その場で泣き崩れて帰宅したくなる単語すぎて震えます。

さすがに言われたことはない……と思いましたが、昔電話対応した外国人から「You miss the point」と言われて「ハァ!?」ってなったことを今思い出しました。

そんな言われたら凹むこと「理解力がない」ですが、いったいどんな状況や行動によって、「わかっていない」と評されてしまうのでしょうか。

今回は、「理解力がない人」をテーマに考えていきます。

理解力とは

理解力がないとは、一体どんな状態を指すのでしょうか。

理解力の意味

そもそも理解を辞書で引くと、「道理や筋道、内容が分かること」や「他人の気持ちを察すること」といった説明が出てきます。つまり、これらが申し分なくスムーズにできるスキルを、“理解力”と人は呼ぶのでしょう。

理解力がないとはどういうこと?

前段を踏まえると、理解力とは「物事の成立ちや状況を適切に判断する能力」です。

ただ読める・聞けるとは別に、次に何が必要なのか、どんな状況なのかを類推・推定する力と組み合わさっていると言えるでしょう。

つまり「理解力がない」とは、相手が伝えたいこと、伝えた先にして欲しいことなどが分からない、意味を正しく理解できない状況や人を指します。

これは憶測ですが、物事の理解よりも気持ちの理解がないことに私たちはイライラし、頻繁に「理解力がない」という言葉で相手を叱責したり、揶揄したりするのかもしれません。

理解力がない人の原因と特徴

では、理解力がない人の原因と特徴を具体的に見ていきましょう。

(1)視野が狭い

例えば、「Aをやって」と言われた時に、本当に「Aだけをやる」人は理解力がないと思われる可能性があります。

もちろん伝える側の問題もありますが、「Aをやる」ということの意味や周辺の関係性まで理解できるかは大きなポイントです。

理解力がある人は、「A」という単一の事柄ではなく、そこから派生するであろう周辺の事柄についても考え、確認します

(2)理解の度合いが低い

1と関連しますが、理解力がない人は、理解が表層的で浅く「え、わかってないじゃん!」と言われてしまうことがあります。

そもそもの知識不足の可能性もありますが、言葉の表層だけで判断する傾向があるのです。

逆に理解力がある人は、捉えるレベル感が適切で、言葉のラリーが少なくとも伝えたいことを受け取ることができます。

(3)わからない部分を確認せず、自分で判断する

相手から伝えられたことがわからないかった時に、自己流の判断をした結果、求められていたものと違うものができあがるパターンです。

1と2で共通することですが、「その場で聞き返せない」「理解度の確認ができない」なども「理解力がない」という判断を加速させてしまいます。

(4)知識が断片的で体系だっていない

「理解力」の基礎となる知識がそもそも不足しており、表層理解に留まる可能性もあります。この場合は「勉強しろ」ということになりますが、何をどう深めるべきかは上長などと相談するといいでしょう。

理解力があると言われる人は、コミュニケーション能力だけでなく、そもそもの知識量が多く、自分の脳内のデータベースと照会して「こういうことですか?」という確認ができます。

(5)同じ失敗を繰り返す

物覚えが悪く、同じ失敗を繰り返す場合も、「理解力がないな」と思われます。

失敗は誰にでもありますが、同様のミスを何度も繰り返すのは、そもそも発生した原因がわかっておらず、かつ再発防止の対策も打ててないということになります。

理解力がある人は、原因の特定が正確なため、再発を抑止する力も高いです。

(6)一度では話が通じない

一度話しただけで話が通じるか、二度目の説明が必要か。ここに、理解力がある人とない人の違いがあります。

理解力がない人は、前述の通り体系立てて物事をインプットすることが苦手です。従って、1回目の説明では概要を“聞く”ことが精いっぱい。その場で整理できていないため、知識や情報に抜け漏れが発生します。

そのため、「もう一度聞いてもいいですか?」という2回目が発生するわけです。

(7)説明が下手

相手が本当に理解したかどうかは、反対に説明をし返してもらうことで顕著に分かります。なぜなら、理解ができないと説明はできないから。

「この人、何を言っているか分からないな……」と思う相手は、大抵自分が説明していることなのに理解できていません。

従って、理解力がない=説明が下手、という表裏一体の特徴もあるでしょう。

あなたは大丈夫? 理解力診断

自分は理解力があるのか、不安を感じたら診断でチェックしてみましょう。客観的にどうなのかが分かります。

もしも、今はまだ理解力に乏しくても、これから紹介するトレーニングを実践すればOK。己の現状を知ることがまずは大事です。

参考記事はこちら▼

「理解力が高い」人は、物事の一部を聞いただけで全体像をすぐに把握できるという特徴があります。あなたの理解力を10の質問で診断します。

辛い。「理解力がない」「物覚えが悪い」と悩んだ時の対処法

では、もしも「理解力がない」という烙印を押されてしまったら、どう対処・挽回していけばいいのでしょうか? 日々これらのポイントをトレーニングしてみてください。

(1)メモを取り、見返す習慣をつける

理解力と記憶力が高い人でも忘れるのに、「理解力がない」と言われる人ほどメモを取らない傾向にあります。

なので、きちんと記録しましょう。理解力が低いとメモの精度自体が悪い可能性もあるため、録音しておくのも手です。

(2)要所要所で確認する

わからないことをわからないままにせず、詰まったら確認するなどこまめに意思確認をしましょう。

「聞きにくい」という心理的ハードルで自分の手元に仕事をためてしまう人は、最初に「わからない場合は相談させてください」と依頼をしてしまうことをオススメします。

(3)期限を確認し、スケジュールを握る

いつまでに実施すべきなのかも重要な観点です。頼まれたタスクの期限を守らないと、事のボリュームと優先度を正しく理解できないと判断され、重要タスクを依頼されないなんてことも。

いつまでにどの程度を実施するのか、レビューポイントは何度置くかなど作業前に確認しておきましょう。

(4)確認事項をエビデンスで残す

打合せや口頭での依頼内容は、念のための確認の意味も込めて、メールなどで送付する癖をつけましょう。

理解が間違っていれば修正をいれてもらえますし、「理解度合い」を確認できるので、のちのちのためにも役立ちます。

(5)写経する

そもそも理解力がない人や要約が悪い人は、写経をオススメします。本当にお経を書き写すのではなく、天声人語などの300字前後の「起承転結」がまとまっている文章を書写しましょう。

文章の構造と、何を伝えるべきなのかの理解が深まります。

(6)論理的・構造的に理解、整理する訓練をする

理解力が低い人は、点と点をつなげて面とすることが苦手な傾向にあります。

業務周辺の知識量を増やすことはもちろんですが、論理的・構造的に理解、整理する能力を高めることも必要です。ロジカルシンキングについての本は大量に出ているので、それらを読んでみることから始めてみましょう。

イライラしないためには? 理解力がない人との接し方

反対に、理解力がない人が周囲にいて、内心イライラを爆発させそうになっているパターンもあるでしょう。言っても分かってもらえないことには、フラストレーションがたまるものです。では、どんな接し方をすれば、お互いに心地良いのでしょう。

(1)必要以上の理解を求めない

理解が乏しい相手に、必要以上の理解を求めようとするのは、意地悪です。イライラするとつい、「こんなことも分からないのか」とモヤモヤしてきつく当たりがちですが、コミュニケーションとしては逆効果。

「ここまでなら分かるだろう」「ここまで分かればOK」と線引きを決め、期待をかけすぎないことです。相手はプレッシャーから、あなたはイライラから解放されるはず。

(2)1回1オーダーのみに留める

1回の会話の中で複数のテーマが進行し、それに対する理解や対応を求めていませんか? それは理解力がない人への“理解”がない行動です。

まずは、1回1オーダーと決め、少しずつ声をかけたり、依頼をしたりしましょう。1個ができから次、といったふうに相手に集中する余裕を持たせてあげるのです。

(3)伝え方をゆっくりする

物事を幅広く理解していて、賢い人ほど、伝え方のスピードが速くなる傾向があります。これでは、元々理解が苦手な相手は取り残されてしまって当然。

相手の目線に立ち、話す前に深呼吸しましょう。思っている1/2倍速のスピードで、ゆっくり丁寧に説明してあげてください。相手が理解するための時間を設けるのです。

理解力がある・ないは見せ方の問題かも!

圧倒的知識不足、コミュニケーション能力の欠如などの致命的な原因がない場合は、ある程度振る舞いによる部分もあります。

言われたことを復唱して確認する、要点をまとめてメールで送付するなど、ちょっとのことで「理解力のある人だ」と見てもらえる可能性は高いです。

上記を意識しながら仕事を進めて、より良い評価をもらいましょう。

また、周囲に理解力がなくて苦しんでいる人がいたら、あなたの“理解ある”接し方でぜひフォローしてあげてくださいね。

(ぱぴこ)

※画像はイメージです

※この記事は2019年12月29日に公開されたものです

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