「なんか辛い」は休息の合図。あなたが今すぐ取るべき行動
理由はわからないけど「なんか辛い」と感じることありますよね。そもそもどうして辛いと感じるのでしょう。なんか辛いと感じたときの対処法をコラムニストのトイアンナさんが紹介します。
理由は特にないが、「なんか辛い」そう感じてしまうことはありませんか。仕事が辛いとも言い切れない。恋愛がそこまでどん底に落ちているわけじゃない。それなのに、なんか泣きたい、辛い。
そういう「漠然と、なんか辛い」気持ちが出てきたら、全力で休んでください。会社や学校を休んで、どこかへ旅行でもしましょう。実家に頼っても構わないので、とにかく何もかもから距離を置きましょう。
なぜここまで強く申し上げるかというと、「なんか辛い」は鬱の入口でもあるからです。
「なんか辛い」からある日、起き上がれなくなった自分
ここからは、実際の体験です……。当時12歳、イジメがはびこる小学校から抜け出した私は、別の地域にある中学へ進みました。辛い場所から脱出したのですから、気分は上々。新しい友だちもでき、楽しく暮らしていました。
ところが、漠然と「なんか辛い」という、不安が襲ってきたのです。といっても、理由なんか思いつきませんでした。成績もよく、先生との関係も悪くない。友だちもいる。初恋の相手も偶然、同じ中学へ進学。本来なら満ち足りているはずの毎日が、なんか辛いのです。
そしてある日、起き上がることが辛くなりました。朝、学校へ行けないのです。辛い理由を言いたくても、原因すらありません。先生からはイジメを疑われ、「ありがたい、でもすみません」以外に浮かぶものはありません。そのうち、息をするのも辛くなり、ほぼ寝たきりでぐったりしているか、自殺を考えるようになってしまいました。
これは、私だけの話ではありません。かの文豪、芥川龍之介は自殺で亡くなりましたが、本人は理由を「ぼんやりした不安」と書き残しました。人は「なんか辛い」という漠然とした理由から、死まで考えてしまえるのです。
もちろん、「なんか辛い」という感情だけで「鬱病だ!」と診断はできません。ただ、漠然とした不安は鬱病でなくとも「鬱状態」に近づいているサインではあります。辛い気持ちを無視していると、いつの間にかメンタルが転げ落ちるかもしれません。
すべての変化はストレスになる
私が「なんか辛い」程度のモヤモヤから動けないほどの鬱になってしまった理由は、今思えば急激な環境の変化にあったのでしょう。親は家を買い替えるのが趣味だったため、生まれてから数年に1度のペースで転校を繰り返しました。
さらに自分の意志でまわりとは別の中学へ進学し、イチから友だち作りをせねばならなかったのも引っ込み思案な私にはしんどかったのです。
しかし、私はそれをストレスと認識できませんでした。嫌いだった小学校から逃げ出せて、楽になったと思っていたからです。
私たちは「結婚」「恋愛成就」「仕事の成功」といった変化を、普通はストレスととらえません。まわりも盛大にお祝いしてくれるでしょうし、自分でも躍進したと考えるからです。しかし、すべての変化はストレスになりえます。
たとえ彼氏が最高に優しくても、彼氏ができただけで心と体は「新しい環境に慣れなきゃ」と頑張っているのです。たとえば最高にハッピーな転職ができでも、「転職先の新しい上司と仲良くしなきゃ」「飲み会は行くべきなのかな」「お取引先にご挨拶をしなくちゃ」と変化への適応は求められます。
こういった変化へのなんか辛いという感情は、転職してすぐではなく、半年から1年後など「ちょっと落ち着いた」タイミングで降ってくることもあります。私も体が動かなくなったのは、入学から1年後でした。そうなるとますます「変化? 最近は何事もないけど」と思ってしまいやすいのです。
「なんか辛い」と思ったらすぐに休んでみよう
一方、「なんか辛い」と感じるのは、チャンスでもあります。もっと悪化して食事が取れなくなったり、眠れなくなったりする前の段階かもしれないからです。泣きたくなるのは、涙が止まらなくなる前段階かもしれません。
心を本格的に壊してしまうと、回復まで数年かかることも珍しくありません。実際に私はこの状態で23歳まで無理をしつづけ、結果的に1年の治療期間を必要としました。私の精神療法には保険適用外の治療もあり、100万円単位の出費にもなりました。心もさることながら、財政的にもかなりしんどかった……。
その点、辛いなあ……とモヤモヤできている今なら、まだ間に合います。今すぐに休みを取って、家で無限にダラダラ寝たり、リフレッシュできる場所へ旅行したりしてみましょう。
辛い場所から離れてみることで、ようやく「あ、あれってストレスだったんだ」と気づけるかもしれません。それでも食欲が戻らなかったり、涙が出てきたり、むしろしんどいなら病院へ。
ストレスにやられるのは、追い詰められている時期とは限りません。幸せだって、変化です。そして変化はストレスなのです。
どうか「こんなに幸せなのに、辛く感じてはいけない」と自分を責めないで。なんか辛いのは、あなたが悪いのではありません。いい感じに休憩が取れたら、戻ってくればいいんです。あなたに笑顔が戻りますよう、応援しています。
(トイアンナ)
※画像はイメージです
※この記事は2019年10月29日に公開されたものです