恩着せがましい人の特徴とは? 無理やり恩を着せる人への対処法
周囲に「恩着せがましい人」はいませんか? いろいろと助けてくれるのはうれしいですが、下心が透けて見えてしまうと残念な気持ちになってしまいます。そんな恩着せがましい人とはどのように接するのが正解なのでしょう? 恩着せがましい人の特徴と対処法をコラムニストのやまとなでし子さんに解説してもらいました。
「○○やってあげたよ」「せっかく○○したのに」なんて、頼んでいないのに恩を着せてくる人、いますよね。
優しい人だと感じることもあるかもしれませんが、見返りを求める下心が透けて見えてしまうと残念な気持ちになってしまいます。
そんな恩着せがましい人との上手な接し方とは? 恩着せがましい人の特徴と対処法を解説します。
やまとなでし子が考える「恩着せがましい」の意味
そもそも、「恩着せがましい」とは頼んでもいないのに世話を焼いてくれ、見返りやお礼を求めるような人のことを言います。
おんきせ‐がまし・い【恩着せがましい】 の解説
[形]いかにも恩に着せるように厚かましい。「―・い態度」(『デジタル大辞泉』)
誰にでも人の役に立ちたい、喜んでもらいたいという気持ちがあるもの。
ですが、その気持ちのさらに奥底に潜む別の欲求を隠しきれていないとき、それが純粋な親切から恩着せがましさへと姿を変えるのです。
そんな恩着せがましい人々について分解していきたいと思います。
恩着せがましい人の特徴
(1)とにかく何か見返りをよこせ! 押し売り強盗
恩を押し売りした挙句、あげたんだから何かよこせ! というタイプ。
無理やり着せてきた恩を追い剥ぎのように脱がそうとする彼ら。
売った恩をアピールして「返して」という圧をかけてくるタイプが多いですが、たまにそれを表に出さず腹に据え続けるパターンもあるので要注意。
表向きは笑顔で率先して過剰に世話を焼いてくれるのですが、損得勘定に厳しく、番町皿屋敷のお菊さんが皿を数え続けるかのごとく「ひとつ~ふたつ~……」と売った恩を頭の中で数え続け、こんなにいろいろしてあげたのに見返りがひとつ足りない……と静かに怒っていつの間にか疎遠に。
表向きはいい人風に見えます。
こちらに何かやらせたいことやほしいものがあるなど、計画的に特定の見返りを狙って恩を売ってくるスナイパー型もいます。
(2)恩を暴投するタイプ
恩を過剰に売ることで自分の存在意義を確かめたいタイプ。
自分に自信がなく、嫌われることを強く恐れているため、人に過剰に尽くし感謝してもらうことで自分はここにいていいのだと安心します。
親切なのはいいのですが、受け手がそれを求めていなければ本末転倒。ただのありがた迷惑。
ここで私のエピソードをご紹介しましょう。
「恩着せがましい」行動の例
ある日やってきた派遣社員の女性。
彼女は私に毎日のようにお菓子やケーキを買ってきてくれました。それはもう大量に。
私もお菓子は好きなので最初はうれしかったのですが、彼女は根本的に自分に自信がなく、仕事の自信のなさを埋め、自分を好いてもらう手段としてお菓子をくれていることに気づき、「お返しがしきれないから」とお断りをしました。
それでも「私があげたいから!」と止まないお菓子攻撃。食べきれずデスクに溜まり続けるお菓子たち。
嘘も方便。
「ダイエットをはじめるのでお菓子は……」と断れば、翌日彼女の手にはおせんべいが。
「おせんべいならヘルシーでしょ?」
んなわけあるかーーー!!!
しかもそれは歌舞伎揚だろーーーー!!!
油で揚がってるのが目に入らぬかーーーー!!
だから太(以下省略)。
そのあと私が買ってきたランチを見て「栄養が!」とお弁当を作ってくれるまでに。ほとほと困り果ててしまいました。
(3)ステージアピール型。自分を過大評価してほしい
すべての原動力は承認欲求。
大勢が見ているところ、特に利益を得られる相手や上司が見ている場所でだけ「これやっておきます!」「私がやります!」と手をあげるタイプ。
人から評価されないことは彼らにとって無価値。誰も見ていないところでの仕事はやりません。
全方位、不特定多数に向けて恩を売ることでいい人、できる人という評価を獲得したいのが彼らの狙い。
小さなことでも黙ってみんなのためにやることは我慢ならないので、「やっておきました!!」と必ずアピール。
あからさまでわかりやすいのでこちらも笑ってしまう。
これが非常に巧みな人は出世するタイプだったりします。
(4)自己満足の妖怪。とにかく感謝してほしい
感謝を養分に生きているこのタイプ。
いろいろやってくれるのはありがたいのですが、こちらからも感謝の気持ちを大きく表現しないと「礼儀がなっていない!」「やってあげたのに失礼だ!」と周囲に吹聴しはじめる迷惑なタイプ。
満足のいく感謝表現をされると、自分は善人なんだと自己陶酔に浸ります。その行動は相手のための純粋な気持ちからではなく、感謝されている自分が好きだから。
私のまわりにも「あなたが心配なの」と頼んでいないのに自ら相談に乗りに来たのですが、今までの言動が信用ならないので核心には触れず適当に流したところ「相談に乗ってあげたのにあの態度は失礼だ! 忙しい中時間を割いてあげたのに!」と勝手に突撃してきて、勝手に怒って爆発し消えていった追尾型魚雷のような女性がいました。
自分は純粋な善人だと信じきっているがゆえに面倒なタイプ。感謝をすすって生きる妖怪。
恩着せがましい人の口癖
(1)「○○やってあげたよ」
何か恩を売ったら、「○○やってあげたよ」とすかさずアピールします。
例えば、職場で「デスク汚れてるみたいだったから軽く水拭きしといたよ」と言ってきたり。ありがたいけれど、仕事のデスクはあまり他人に触られたくないですし、「別に言わなくても良くない?」と思ってしまうのが本音。
(2)「せっかく○○してあげたのに」
何かとマウントを取ってくるのも恩着せがましい人の特徴です。
「この前の案件、せっかくフォローしてあげたのに何でできないの?」なんて、できる自分に酔っているような発言も。
(3)「感謝してよね」
ストレートに、「○○してあげたんだから感謝してよね」と言ってくる場合も。
たとえありがたいことだったとしても、「感謝してよね」の一言で下心がスケスケに……。
恩着せがましい人の心理
(1)恩は先行投資! 利息のついたバックを期待!
純粋な親切心ではなく、自分がやっただけ相手にも見返りを求めています。
売った恩を将来への投資のように考えており、自分に返してもらうことで最終的に利益を得たいという考えです。
なので、自分が損をすることだけは許せない。
見返りを大きくしたいので自分がやったことは細かいことでも覚えているし、それを盛りがちに話す癖があります。
「あのときあなたがピンチだったから私も言ってあげたのよ~」
「あのときあなた大変だったよね~(私のおかげで切り抜けたでしょ?)」
(実際は大して大変ではない)
と相手を下げつつ、自分がやったことを酔ったおっさんの武勇伝の如く大げさに何度も話すので、またそのアピールか……と周囲もウンザリ。
なんにでも首を突っ込みたがる傾向も。
(2)早くいい人になりた~い!!
彼らには共通した自分の理想像があるのです。
それはみんなから慕われ愛される、まさに万人が認める「いい人」。
それを追い求めることはもちろんいいことなのですが、方法がちょっとおかしい。
本来なら損得勘定のない自然な振る舞いからまわりの信頼を徐々に得て慕われていくところを、すべての経過をぶっ飛ばして「これをやったんだからすぐ褒めてほしい!」「私はいい人でしょう?」と自分の欲求のままに突っ走ってしまうのです。
本来人間環境はコツコツと信頼を積み重ねて構築していくもの。妖怪人間ベムのあのセリフのように「早くいい人になりた~い!」と階段を一気に10段飛ばしで自分の理想像に到達しようだなんてそうは問屋が卸しません。
(3)恩で自信のなさを埋めて居場所を作りたい
基本的に自分に自信がなく、周囲に恩を売って感謝をしてもらうことで「自分がここにいていいのだ」と安心感を得て、居場所を作ろうとしているのです。
このタイプは根がいい人なのでありのままの姿で好かれる要素を持っているのに、不安から人の顔色を伺い過剰にやりすぎて鬱陶しがられたり、一歩引かれてしまったりして、自ら悪い方向に導いてしまっていることも。
ずる賢い人に目をつけられるといいように利用されてしまう場合もあります。
恩着せがましい人への対処法
(1)感謝の雨を降らせろ
過大評価してほしいタイプや自己満足タイプは感謝されることで欲求を満たされるので、とにかく感謝! ありがとう! 助かりました! さすが気が利きますね!! と、感謝感激雨あられ! とばかりに都度気持ちを表現しましょう。
向こうも気をよくしてやってくれて、こちらも助かればお互いwin-win。
(2)逆に恩以外を褒める!
自信のなさから恩を暴投してくるタイプは、いただいた恩以外の部分で相手を褒めたり認めてあげたりすることが大切です。
そんなことをしなくてもあなたのことが好きだし評価しているよという気持ちを態度で示してあげることで信頼関係を築き、自信をつけてあげることで恩を売る必要がないことを示してあげましょう。
(3)取られる前に逃げろ!
恩をあげたんだから返せ!! のタイプは小さなことでも与えた恩カウントをしており、向こうからするとこちらの負債が溜まっていくばかりで返しきれないので、距離を置くが吉。
付き合っていたら、気づけば勝手に高額な恩の債務者に仕立て上げられてしまいます。いらない恩ならそもそももらわないような距離のお付き合いに留めましょう。
恩は無理やり着せず、肩にかけるブランケットであれ
恩とは他人から与えられた恵みや慈しみのこと。
人に無理やり着せるものではありません。
自分への見返りを根底においた行動だったり、相手が迷惑と感じるようなものだったりした場合、一気に恩着せがましさに変わります。
本来は相手が寒がっているときにそっと肩にかけるブランケットのようなもの。
距離感を上手に取りながら、相手に喜んでもらいたいという純粋な気持ちで行動していきたいですね。
(やまとなでし子)
※画像はイメージです
※この記事は2019年06月28日に公開されたものです