ここで差がつく。謝罪メールのコツ
社会人になると、仕事上でのミスは誰もが経験するはず。クレームやお叱りの声に対してメールで謝罪する機会も多々あります。でも、憤っている相手に対してお詫びの気持ちや誠意を正確に伝える文章、考えるのは大変ですよね。そこで今回は、メールでお詫びをする際に気を付けるべきポイントを、マナー講師の松本繁美さんに伺いました。
社内外で違う? メールでお詫びするときのポイント
社内で謝罪メールを送る場合
メールを送る前に
謝罪の対象が上司、同僚、他部署といったさまざまなケースが考えられます。まずは、口頭で上司に報告と謝罪を述べ、指示を仰ぐことが必要です。直接会って謝罪する必要があるかもしれませんし、同じフロアにいる同僚であればもちろん、その場で謝罪します。その次の行動として、謝罪メールの送信となります。
メールの内容
メールに記載する内容は言い訳がましい印象を避けることが肝心です。何をどのようにミスしてしまったかの原因を報告するとともに、今後のリカバリーの内容を報告するメールが前向きでしょう。
社外との違い
社外メールとの違いは、このリカバリーの方法を乞うことができること。上司、同僚に
どのようにしたらベストなのかを一緒に考えてもらえることです。謝罪とともに相談ができるのが嬉しいメールです。
社外に謝罪メールを送る場合
メールを送る前に
社外とのやり取りでミスをした場合も、いきなりメールでお詫びするのではなく、まずは、直接お目にかかってお詫びする方法を検討するべきです。しかし実際には、唐突にアポもなく謝罪に出向くわけにもいきません。そのため、まずは電話で謝罪をするべきです。
メールの内容
メールの内容ですが、どうしてミスが起こってしまったのかの経緯の説明をしましょう。ただし、言い訳がましくならないように。いかに反省しているかを記載し、申し訳ない気持ちを表現しましょう。今後、どのようにリカバリーしていくか具体的に準備することも大切。謝れば済むと考えていないことを伝えるためにも、今後の対策を報告することは重要です。
また、相手にだって悪いと所があると思う点があっても、ひたすらお詫びする気持ちでメールするべきです。文章にも気持ちというものはにじみ出てくるので注意しましょう。
謝罪メールでの言葉遣いのポイント
言葉遣いとしては、文章自体が柔らかい物言いになるように気を使いましょう。以下の2点に気を付けてみてください。
クッション言葉
「申し訳ありませんが」「お手数をおかけいたしますが」「恐れ入りますが」というようなクッション言葉を適切に使いましょう。
文章は依頼形に
柔らかい印象を持たせるために、文章は依頼形にします。
×「ご迷惑をおかけした○○は△△に変更いたします。」
〇「○○は△△に変更してよろしいでしょうか。」
×「遅れてしまいました●●は直接お届けいたします。」
〇「●●は直接お届けしてよろしいでしょうか。」
×「◇◇のタイプに変更をお願いします。」
〇「◇◇のタイプに変更をお願いできますでしょうか。」
押さえるべきポイントと使えるフレーズ
件名で押さえるポイントと使えるフレーズ
・「ご迷惑をおかけいたしました○○につきまして」
・「深謝 ○○の件」
・「●●の不具合の原因につきまして」
・「●●の対策に関しまして」
などと、謝罪の内容を具体的に書きましょう。
書き出しで押さえるポイントと使えるフレーズ
宛名には、相手の会社名、部署名、フルネームを書きます。(株)という表記はしないで「株式会社」と表記します。
「挨拶」や「名乗り」は下記のような書き出しで始めましょう。
平素よりお世話になっております。
株式会社○○の△△◇◇(必ずフルネームで)でございます。
本文で押さえるポイントと使えるフレーズ
お詫びの言葉は「ご迷惑をおかけいたしました○○についてお詫びを申し上げたく、ご連絡いたします。」などと、冒頭で内容を簡単に説明し、具体的にかつ簡潔に書くようにします。長い文章になるようなときは「長くなりまして恐縮ですが、ご一読いただけますと幸いです。」などと相手に対して、丁寧な文章を添えます。
また、ミスしたことの原因と経過、現在の状況、今後の対策、代替案、などの本文に加え、「ぜひ伺って、ご説明の機会をお願いできますでしょうか。」などと、会う姿勢を強調します。
結びで押さえるポイントと使えるフレーズ
・「何卒ご容赦下さいますようお願い申し上げます。」
・「最後に今一度、謹んでお詫び申し上げます。」
・「二度と起こらないように全力を尽くす所存です。今後ともよろしくお願い申し上げます。」
など、平身低頭な気持ちを表わす結びの言葉を選択します。
誠意が伝わる! 謝罪メールの文例
では、前述のポイントを踏まえてお詫びのメールの文例です。「納品した製品が不良品でクライアントからクレームが来た!」というシチュエーションで書いてみます。
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件名 : 不良品○○送付のお詫び
○○株式会社 ○○部 ○○課
△△◇◇ 様
平素より大変お世話になっております。
株式会社○○の舞奈美子(フルネーム)でございます。
この度は○月○○日にお届けいたしました○○製品に不具合がありましたことを
心よりお詫び申し上げます。
ご指摘いただきました点ですが、○○の工程で生じたことが担当者によって、明らかになりました。担当者のみならず、一同、深く反省いたしております。
大変ご迷惑をおかけいたしました。検品した○○製品を明日お手元に届きますよう発送いたしました。恐縮ではございますが、お受取りいただけますでしょうか。
今後は同じことを二度と繰りかえさないよう、全身全霊で臨むつもりです。
どうぞ、変わらぬご愛顧を賜りますよう、お願い申し上げます。
大変恐縮ではございますが、取り急ぎメールにてお詫び申し上げます。
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本当にメールだけでいいの? 謝罪メールの役割
本来は直接「お目にかかってのお詫び」がプライオリティNo.1ですが、この時代、直ぐにできるのが、メールです。相手も「メールでの詫びすらないのか!」と思うかもしれません。
しかし、原則として、まずは電話でお詫びを告げ、次にメールと心得ましょう。ただし、電話は感情が現れやすいので、メールで少し気分を和らげて伝えるのも間違いではありません。
また、話すのが苦手な人はメールでの手段を選びたいはず。そして、相手もメールの方が受け止めやすい人も多いのが現実です。メールを通しての意思の伝達に慣れている私たちは、まずはメールという手段がぴったりくるかもしれません。いずれにしても、お詫びはスピーディーさも必要。電話とメールを迅速に活用しましょう。
ただし、ミスを文章で認めてしまうことは、記録にも残り、後々まで責任がともなうことを忘れてはなりません。後ほどこじれた場合などの証拠にもなります。だからこそ、自分の判断だけでメールをするのではなく、上司への報告と相談の上、指示を受けてからにするのが一番です。自己判断での謝罪メールは、会社の損失を大きくするばかりか、責任問題に発展します。注意しましょう。
人間は誰でもミスをします。そのミスをどのように受け止め、どのように対処していくかが仕事の腕のみせどころ。前向きに考えて、相手も納得してくれるような、素晴らしい謝罪を考えてください。
メールでの謝罪、うまく活用して信頼を勝ち取りましょう
メールで謝罪をするとき、相手の顔が見えないから心配になることがありますよね。でも、今後の対応や解決策を丁寧に整理して伝えられるメールは、ちゃんとポイントを押さえて書けば、お詫びの気持ちを伝える便利なツール。ただし、松本先生にも教えてもらった通り、メールはあくまで補助的な役割である点に注意が必要です。メールでお詫びして終わりではなく、対面でも誠意を持って謝罪の気持ちを伝えましょう。これはビジネスでもプライベートでも共通して言えることですよね。社会人なら避けては通れないメールでの謝罪。ピンチをビジネスチャンスに変えて相手の信頼を獲得できるよう、いざというときはぜひこの記事を参考にしてみてください。
(監修・文:松本繁美、文:はらきよか)
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※この記事は2018年06月28日に公開されたものです