年末年始、季節に合わせて。ビジネスで使えるメールの挨拶集
仕事をする上で欠かせない、ビジネスメール。小粋な挨拶で、相手とぐっと距離を縮められたらいいですよね。正しい挨拶文を加えてスマートな印象を与える小技を、イメージコンサルタントの荒川泰子さんに教えてもらいました。
ビジネスメールの基本
最近は電話よりメールでのやり取りが増え、1日に100通以上のメールを受信するビジネスパーソンも少なくありません。そんな中で、長い件名は受信ボックスでは途中までしか表示されず、相手にわかりづらい印象を与えてしまいがち。また「御礼」「よろしくお願いします」などの、曖昧な表現の件名を目にすることがありますが、「◯月◯日会合の御礼」「◯◯お見積もりのお願い」のように、何についての御礼、または依頼なのかを具体的に示しておくといいでしょう。
宛名の書き方
○○株式会社 △△部 部長
□(姓) □□(名)様
宛名は、会社名もしくはご所属組織名、部署名、役職名の順に記し、改行して姓名に敬称をつける形が基本です。最近は英語やカタカナ表記の長い社名や部署名がありますので、その場合はバランスを見て改行するといいですね。
社名や名前の間違いはとても失礼であり、信頼度を低下させてしまう要因になってしまいます。送信ボタンを押す前に、再度間違いがないか確認しましょう。株式会社が前にくるのか、後にくるのかはもちろん、名前については、たとえば同じ「サイトウ」でもさまざまな漢字表記があり、同じ発音の名前でも漢字が多様にあります。名刺などできちんと正しい漢字を確認する習慣をつけることをおすすめします。
本文の基本形
まずは季節の挨拶や日頃のお礼などの挨拶を入れるといいでしょう。手紙とはちがい、あまり長い季節のご挨拶を入れる必要はありません。短くても気持ちは伝わりますので、社外の方にお送りする正式なメールには挨拶を入れるようにしてみてはいかがでしょうか。
そのあとに本題の要件を記載しますが、ここでも簡潔に伝えることがポイントとなります。丁寧に書こうとするあまり、まわりくどい表現になってしまうことがあるので注意しましょう。複数の要件がある場合は箇条書きにすると、先方も返信がしやすく、効率的なコミュニケーションにつながります。最後に返信が必要な場合は、その依頼や期日を記して、結びの挨拶というのが基本的な流れです。
締め括り
「ご検討のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます」「お手数をおかけいたしますが、何卒どうぞよろしくお願い申し上げます」このように、締め括りは簡単な一文でいいので必ず入れるのが基本です。
最後のこの一文がないだけで、メール全体の丁寧さが失われかねません。もしくは、メールが途中で途切れたかの印象を与える場合も。短い一文ですが、状況に応じて的確な言葉を選択し、メールの締め括りをしましょう。
署名の仕方
自分の所属する会社や組織名、部署、役職名、氏名、郵便番号、住所、電話番号、FAX番号、Eメールアドレス、ホームページのURLの順で記載することが多いようですが、これは特に決まりではありません。社名や部署名の長さなどのバランスを配慮しながら、より視認性の高い配置にするのもおすすめです。
日常の連絡手段が、会社の電話番号より携帯電話であればその旨を記載し、わかりやすいところに携帯電話の番号を記しておくと親切でしょう。
季節ごとに使えるメールの挨拶文
春の挨拶
春の挨拶:例文
桜花の候となりましたが、皆様にはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
新年度を迎え、貴社におかれましては益々ご繁栄のこととお慶び申し上げます。
春の挨拶:解説
春と言えば、日本人にとってもっとも印象的なものが桜です。そのため、桜に関する表現をいくつか覚えておくとよいでしょう。桜に関する表現を使うときに注意したいのが、桜の開花状況は変化するので、ある程度開花状況などを確認しておくことが大切です。桜が満開という表現を使ったのに、数日前の強風で散っているようだと風情がないような、少々興ざめの印象を与えてしまいかねません。
春は新入社員を迎えたり、退職者を送ったり、とにかく人事異動の多い時期ですから、そのあたりを気づかう一言を添えると好感を持たれるでしょう。
夏の挨拶
夏の挨拶:例文
新緑の色増す季節、ますますご健勝の事とお喜び申し上げます。
厳しい残暑が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
夏の挨拶:解説
夏は一番緑の美しい時期ですから、夏ならではの緑を愛でる表現を定番として使いこなせるようにしておきましょう。メールの冒頭で爽やかな清々しい印象を与えられるので、とても有効な挨拶文です。
一方、夏は気候的に厳しい時期でもありますよね。酷暑の時期は体調を気づかい、台風などがあった際は、先方の会社やご家族様に影響がなかったかなどの慮る挨拶文は、型通りの挨拶よりも心が通う文章となるためおすすめです。
秋の挨拶
秋の挨拶:例文
紅葉の候、貴社におかれましては益々ご清祥の事と心よりお慶び申し上げます。
日増しに朝晩冷え込んで参りましたが、食欲の秋到来ですね。
秋の挨拶:解説
秋は天候も落ち着いていて、季節を表現する言葉がさまざまあります。紅葉、月など、たくさんあるので、自分なりの秋の挨拶を決めておくのも初心者のうちはおすすめかもしれません。紅葉を中心とした挨拶にするか、月にフォーカスした挨拶を自分スタイルにするかで、定型の挨拶にも自分の個性を出せるいい機会でもあります。
もうひとつは、秋の風情ある表現ではなく、食欲の秋も親近感のわく挨拶文として、食の話題を深めるきっかけになることもあるでしょう。
冬の挨拶
冬の挨拶:例文
初春の候、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
年末に向けて慌ただしい時期になってまいりましたが、皆さまにおかれましてはお元気でご活躍のことと存じます。
冬の挨拶:解説
いろいろと季節の挨拶はありますが、日本人にとって新年を迎えることは神聖で特別なことであり、それだけにそれぞれの時期に合わせて的確な季節の言葉を求められます。師走と呼ばれる12月は、年末の慌ただしさを労わる挨拶がもっとも多く使われます。新年が明ければ新春のお喜びを申し上げるご挨拶が一般的です。
また冬は、風邪やインフルエンザの影響が多い時期でもあります。体調を気づかう一言を添えると、短いながらも温かみのある挨拶になりますよ。
初めての相手に送る場合の挨拶文
初めての相手:例文
◯◯様よりご紹介頂き、初めてメールを送らせて頂きます。
突然のご連絡失礼致します。◯◯株式会社△△部署 ◯◯と申します。
初めての相手:解説
面識がない先方にメールする場合は、まずは初めてのコンタクトである旨をお伝えしましょう。自分がどこの会社の何者であるかを簡潔に自己紹介し、誰からの紹介なのか、またはホームページを見て連絡したのか、経緯を明らかにすることがマナー。「初めまして」だけの場合、スパムメールのような印象を与えてしまいますので、初めてのメールはより丁寧な表現が求められます。
ビジネスメールの締め
ビジネスメールの締め:例文
今後ともお引き立ての程、よろしくお願い申し上げます。
恐れいりますが、ご教示いただければ幸いです。
まずは謹んでご案内申し上げます。
ビジネスメールの締め:解説
締めの文には、文章全体を締める意味と、そのメールをお送りした主旨を総括する役割があります。今後のお付き合いに対するご挨拶なのか、回答をお願いするメールなのか、案内のみのメールなのか、最後の一文次第で先方もどのように返答すればいいか判断できます。
メールにおける効率的なコミュニケーションのポイントとなるのが「締めの一文」ということを常に意識して、文章作成にあたりましょう。
季節に適した挨拶文で、ワンランク上のコミュニケーションを
さまざまな表現のある季節の挨拶は、四季のある日本だからこその情緒を感じさせるもの。上記を参考に、ぜひワンランク上のメールコミュニケーションを目指しましょう。
(監修・文:荒川泰子 文:おぜきめぐみ)
※画像はイメージです
※この記事は2018年04月21日に公開されたものです