「生意気な後輩」が生意気なワケ。上手な接し方とつぶさない育て方
「なにあの後輩、本当に生意気なんだけど!」
「いつもイライラさせられて、気持ちよく仕事できない」
このように、生意気な後輩に翻弄されてイライラしたり、悩んだりしていませんか?
生意気な後輩とはどんな人を指し、何を考えているのでしょう。また先輩として生意気な後輩と上手に接して育てる方法はあるのでしょうか。
ぱぷりこが分析&解説します!
生意気な後輩の特徴とは?
「生意気」は「自分の年齢や能力、地位を考慮せず、不適切な言動をすること」という意味です。まずは、生意気な後輩とは、具体的にどのような人を指すのか解説します。
生意気な後輩の特徴6つ
1.言われた仕事を指示どおりにやらない
生意気な後輩を抱えた先輩がもっとも頭を抱えるのが「言われたことを指示どおりにやらない」ことです。
生意気な後輩は
「これ意味があるんですか?」
「私がやらなくてもいいんじゃないですか」
「やり方が古いんですよね」
などと理由をつけて、仕事をしなかったり、指示とはちがう独自の方法でやります。
仕事の手順は、これまで携わってきた人たちが試行錯誤した結果です。
しかし、生意気な後輩は、過去の先輩たちの努力よりも「私の思いつき」のほうが価値があると思いこんでいます。結果、仕事が遅れたり、めちゃくちゃになります。
2.ぜんぜん関係ないことを勝手にはじめる
生意気な後輩は、指示どおりに仕事をしないだけではなく、仕事とは関係ないことを勝手に「仕事」と称してやりはじめることもあります。
「イノベーションです」
「新しい切り口が必要だと思うんです」
「古いやり方にとらわれてちゃだめですよ」
などと聞こえのいい言葉を口にしながら、「私が思いついた最強のアイデア」という名の「熟慮なしの思いつき」を実行しようとしてだいたい失敗します。
当然、思いつきをやっている間、本来やるべき仕事は進みませんので、チームと顧客両方が迷惑を被ります。
3.「自分の能力に見合った仕事がない」と愚痴る
生意気な後輩は、自分が言われたとおりに仕事ができなくても、「つまらない仕事を与えてくる会社や先輩が悪い」と思っています。
同期に
「本当につまんない仕事ばっかりで、先輩も頭が悪い人ばっかり」
と愚痴ったり、会社や先輩に
「私の能力に見合った仕事をください」
と直談判してきたりします。
本当に実力があった上ならいいですが、だいたいは実力がまったくありませんから、申し出は却下されます。
自分の要求どおりに物事が進まないと、生意気な後輩は「若い能力をつぶそうとしている」と不満をふくらませるため、手におえません。
4.実力がないわりに、口ぶりだけは一人前
生意気な後輩は、与えられた仕事をきちんとこなさないため、仕事はできません。
しかし、口ぶりだけは「自分は仕事ができる」「自分は一人前だ」という前提で、先輩と話そうとします。
「自分と先輩は対等」と思っているならまだましで、下手すると「自分は先輩より仕事ができる」と思っている場合すらあります。発言に謙虚さがなく、上から目線発言が多いため、周囲の人はおおいにイラつきます。
5.謝らない、「ごめんなさい」が言えない
生意気な後輩は、自分のミスや失言により問題が発生しても、「ごめんなさい」「申し訳ございません」と謝罪をしようとしません。
謝罪したとしても
「もうしわけーございませんーでしたー!」
と「自分は悪くないのに言わされた」という不満を全開にして、口だけの謝罪をします。
「揉め事は印象回復のチャンス」と言われるように、ビジネスにおいて謝罪の態度はとても重要なのですが、生意気な後輩はふてくされるだけで、だいたい問題を悪化させます。
6.謎の「若さ」至上主義
生意気な後輩は、自分の「若さ」が評価されるべきだという、じつに珍妙な主義に取り憑かれています。
「若い」ことには、ポジティブな面(考え方が柔軟、社風や慣習に染まりきっていない、現在の若者の考え方がわかる、など)とネガティブな面(経験が浅い、思考が足りない、業界のことを理解できていない、など)があるものです。
しかし、生意気な後輩は
「若者の新鮮な意見を取り入れるべき」
「古い慣習なんてぶっ壊すべき」
など、ポジティブな面のみをゴリ押ししてきます。
それもこれも「だから私を褒めて、評価して」という欲望につながっています。
なぜ先輩になめた態度をとるの?
なぜ生意気な後輩は、そのような態度をとるのでしょうか。
自分の実力を見積もれず、実際よりも高く見積もっているから
「生意気」の意味を見返してみると「自分の年齢や能力、地位を考慮しない」ことが問題であることがわかります。
なぜ自分の年齢や能力、地位を考慮しないのでしょうか。それは、「自分の実力を正しく見積もれず、実際よりも高く見積もっているから」です。
誰でも「自分はなんでもできる」「やればできる」と自己評価を高く出しがちです。特に若いときは、経験がないため妄想したい放題なので、「最強の自分があっというまに成果を出して認められる」物語を夢想しがち。
しかし、努力して経験しなければ、実力はつきません。
「生意気」と評される人たちは、経験も実力もないわりに「自分最強無双伝説」を信じきっています。
自分は、同期や先輩、上司よりも有能だと信じていますし、もっと言ってしまえば「自分以外はみんなバカ」だと思っています。
自分と他者の能力をきちんと見極められないことこそ「未熟者の証」であることに、彼らは気づいていません。
他者への敬意が欠け、自己中心的な考え方をするから
また、生意気な後輩は、他者への敬意が欠けていて、自己中心的な考え方をします。
人間は、お互いが支え合って生きています。会社でも、チームや先輩、上司、他部門、顧客の助けなしには、自分はきちんと仕事ができません。
しかし、生意気な人間は成果を「自分だけがやったおかげ」と思っていて、他者から助けられていることを自覚できていません。そのため、他者への感謝や敬意が欠けた発言を取ります。
当然、このような態度を取っていれば、人の反感を買います。実力があるならまだしも、たいした実力もないのに口だけとなったら、反発されて嫌われることは避けられません。
このような反発にたいして、生意気な人は「自分は正しく評価されていない」「無能な人に有能な自分がつぶされる」と感じ、自分を認めさせようと、さらに攻撃を強めてきます。
つまり「生意気な後輩」とはこういう人
まとめると、彼らは「実力よりも高い自己評価を持ち、自己中心的で他者への敬意が欠けていて、歪んだ認識を持っている」人たちです。
彼らが望んでいるのは「高い自己評価どおりに自分を認めてもらい、褒めてもらう」ことです。しかし、仕事ができない以上、それは無理難題というものです。
生意気な後輩の対処法って?
生意気な後輩は話すだけでイライラが爆発しそうなやっかいな存在です。うまく接する方法は、下記のとおり。
接し方・育て方のコツ
生意気な後輩の問題は
「実力不足」
「歪んだ認識」
「他者とうまくやれないコミュニケーション能力の欠如」
の3点です。これらを改善することによって、育てる見込みはあります。
1.話をして、考え方や思考を理解する
まず、生意気な後輩の言い分を一度きっちり聞いてみるのがよいでしょう。
イライラしたり不愉快になる言動の多くは「何を考えているかわからない」「自分とはちがうルールで動いている」が原因であることが多いものです。
理解できないなら、まずは本人の口から聞いてみることで、考え方や思考の癖への理解が深まります。
「話を聞く」とは文字どおり「話を耳にする」だけで、そのとおりにする必要はまるでありません。
相手の要求を聞いたら、自分が求めるものも伝えましょう。これで改善するなら苦労はしませんが「伝える」「話を聞く」ことがコミュニケーションのすべてです。
一度だけではなく、定期的に聞くことが大事です。
2.生意気な後輩の言うことをそのまま受け取らない
生意気な後輩は、とにかくいろいろなことを言ってきますが、根源にあるのは「自分を認めてほしい、褒めてほしい、優秀だと言ってほしい」という欲求です。
そう認識すれば、彼らが言う生意気な言葉の多くはスルーできるようになります。
イライラする時間と回数を減らして、自分を守り、余裕を作りましょう。
3.とりあえずやらせて、結果を見せる
自分の精神状態がある程度守れるようになったら、次は状況の改善です。
「言われたとおりにやらない」「独自の俺ルールでやろうとする」「ぜんぜん関係ないことをやろうとする」なら、一度彼らが言うとおりにやらせてみるのも手です。
ただしこの方法は、チームのリソースに余裕があるときに限ります。
実際にやらせてみて、結果を出させることで、「言ってたことと結果がちがう」ことを目の当たりにさせ、歪んだ認識を矯正する試みです。
ただこれをやっても「顧客が悪い」「運が悪い」など、他責にすることが多いので、最初に「100%の力でやれ」と言っておいて、言質をとっておく必要があります。
4.「大きい仕事がほしければ結果を出せ」と伝える
「自分の実力に見合う大きい仕事がしたい」と生意気な後輩は言いがちです。
その場合、「これがきちんとできるなら任せる」と、小さい仕事を振るようにします。
仕事は「小さな仕事の積み重ね」で大きな仕事につながります。
生意気な人間は、この構造を理解していないことが多く、いきなり「実力に見合った仕事を!」と言いがちなので、「信頼を得たいなら結果を出せ」と言い、結果が出るまでは次の仕事を振らないようにします。
自分が低く評価している仕事すらきちんとできない、結果が出ないという体験を何度かさせることで、歪んだ認識が改善するかもしれません。
5.助けてくれた人へ「感謝の正拳突き」100万回訓練
生意気な後輩は、とにかく失敗します。
そのとき、「あなたは他者に助けられているのだ」としっかり認識させることが大事です。
「なぜこの問題が収まったのかわかる?」
と質問し、助けてくれた人たちの名前をすべて上げ、
「あの人たちが助けてくれたのだから、きちんとお礼を言うように」
と指示します。
生意気ピープルはそもそも人への感謝をしたことがほとんどないため、お礼を言ったり謝ることを嫌がりますが、経験させない限り、前には進めません。
「失敗したり、自分勝手なことをするのはまだいいが、お礼と謝罪だけは絶対にしろ」ときっちりと態度で示し、他者と円滑なコミュニケーションが取れるようにします。
6.「すばらしい仕事」を見せる
生意気な後輩は「実力不足」「歪んだ認識」ゆえ、だいたいの先輩や上司より「自分のほうができる」と思っています。
この認識をぶち壊すには、自分あるいはチームの誰かがすばらしい仕事をしてみせて、明確な実力差をきっちりと認識させるとよいでしょう。
彼らの認識はゆがんでいるので、「この人は自分よりちょっとできる」ぐらいに思うでしょうが、それでも「自分よりできる人間がいて、きちんと評価されている」現実を認めれば、一歩前進です。
キツく当たると事態は悪化する。改善には対話と経験が必要
未熟ゆえの自信過剰は、多くの人が、若いときに経験したことがあるものです。
中には「昔の痛い自分を見ているようでムカつく、イライラする」という理由でキツくあたってしまう人がいるかもしれません。
しかし、人は自分を攻撃してくる人間の言葉には耳を貸そうとはしません。イライラする気持ちはよーーーーくわかりますが、キツく当たるとどちらにとってもマイナスです。
ここは、年長者であり経験豊富な先輩がリードして改善を進めたほうがよいでしょう。
生意気な後輩の問題は「経験不足」「実力不足」「認識の歪み」が原因です。
まず必要なのは「現実をあるがままに認識させる」こと。
「痛い目を見せる」などのあらっぽいやり方は避け、対話と経験を積み上げることで、認識ギャップと経験・実力不足を解消していくとよいでしょう。
(ぱぷりこ)
※画像はイメージです
※この記事は2015年08月18日に公開されたものです