アパート経営に興味のある人や経営で失敗したくない人は、その利回りについて知りたくないでしょうか。アパート経営の利回りには複数の種類があり、理想となる数値もあります。また、アパート経営を始める前に、都内含めたエリア別の利回りの平均相場を知っておいても損はありません。利回りの最低値や相場はどれくらいかなのか把握しておくことで、アパート経営を成功できるチャンスが広がるでしょう。
このページでは、アパート経営の利回りについてさまざまな角度から紹介します。具体的には、利回りの種類・計算方法やアパート経営の利回りの目安、平均相場、利回りに影響があるものなどを取り上げましょう。気になる質問にも回答しますので、アパート経営を始めようと考えている人などは、参考にしてください。
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アパート経営の利回りとは
アパート経営の利回りは、収益性を判断するための数値であり、あくまでも目安です。ここでは、アパート経営の利回りとは何か詳しく解説しましょう。
収益性を判断するための数値
不動産投資における利回りは、アパート購入費用に対する家賃収入の割合で表されます。例えば利回り10%ならば、投資金額の10分の1を年間利益として得ることが可能です。アパート経営の利回りは、収益性を判断するための数値として認識しておきましょう。さらに後の章で紹介する、想定利回りや表面利回り、実質利回りの特徴を理解することも重要です。
あくまでも収益の目安
アパート経営では入居者が減る、あるいはゼロになる空室リスクがあるため、想定していた家賃収入が得られなくなる場合もあります。そのため、現実的な利回りは計算よりも低くなる可能性があることを認識しておきましょう。利回りに関係する空き室率の計算方法は次の通りです。
利回りが高ければ儲かるわけではない
利回りは収益性を判断するための数値ではあるものの、「利回りの高い物件=収益性が高い」というわけではありません。特に表面利回りが高い物件は、修繕費などの経費がかかるなどの問題を抱えているケースが少なくありません。利回りの高さはリスクの高さと比例していることも認識しておきましょう。実質利回りであれば、経費も含めて算入するため、現実的な数値といえます。
もっと利回りに関して知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/6833
アパート経営の利回りの種類と計算方法
利回りは大きく分けて「想定利回り」「表面利回り」「実質利回り」という3つの種類があり、それぞれ計算方法が異なります。この章では、利回りの種類それぞれの特徴と計算方法について詳しく解説します。
想定利回り
物件の購入価格に対し、満室の状態で年間の家賃収入の割合がどれぐらいになるのかを表したパーセンテージが「想定利回り」です。不動産広告にこの想定利回りが記載されているケースも少なくありません。そんな想定利回りの計算式は次の通りです。
表面利回り
「表面利回り」は、物件に購入価格に対して年間の家賃収入の割合がどれぐらいになるのかを表した種類です。表面利回りの計算式は以下の通りです。
実質利回り
「実質利回り」は、年間家賃収入に空室となる割合を加味し、1年間の維持管理費用・不動産購入費用などを加えた値です。他の利回りとは異なり諸経費を考慮して算出するため、正確な収益力を判断する場合に用いられます。計算式は次の通りです。
- 火災保険料
- 管理委託料
- 備品代
- 通信費
- 交際費
- 光熱費
- 借入金利子
- 税金 など
各利回りや経費に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。
https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/20678
アパート経営の利回りの目安
アパート経営の利回りの目安は、実質利回り5%以上を目指すことが理想であり、最低でも3~3.5%は必要です。ここでは、アパート経営の利回りの目安についてまとめました。
理想ラインは5%以上
アパート経営の利回りは、実質利回り5%以上を目指すことが理想です。
- 所得税・住民税の支払い
- 想定外の建物・設備修繕
- 予想外の退居・リフォーム など
上記のような不測の支出に対応するためには、実質利回り5%以上が必要です。
最低ラインは3%
アパート経営の利回りは、最低でも3~3.5%のラインを意識しましょう。この利回りを下回ってしまうと、不測の支出に対応できず、豊富な自己資金などが必要となる可能性があります。またアパート経営は空室リスクもあるため、表面利回りではなく現実的な数字で判断することをおすすめします。
利回りの最低値や目安に関して詳しく知りたい場合、土地活用の会社に相談することもおすすめです。信頼できる土地活用の会社は、以下の記事で紹介しています。
https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/16737
アパート経営の利回りの平均相場
アパート経営の利回りは、エリアや築年数によって平均値が異なります。この章では、アパート経営の利回りの平均相場をまとめました。
東京23区で築年数別にみる利回り
東京23区の2021年1〜3月の築年数別利回りと価格の平均は以下の通りです。
築年数 | 利回り(%) | 価格(万円) |
築10年未満 | 6.26 | 12,274 |
築10年~ | 6.23 | 9,393 |
築20年~ | 7.41 | 7,472 |
都内のアパートは物件価格が高いため、初めのうち実質利回りは低めになる傾向にあります。23区内で経営するならば、ある程度の手元資金が必要になるでしょう。
参考:健美家「収益物件 市場動向 四半期レポート2021年1月~3月期」
首都圏で築年数別にみる利回り
首都圏の2021年1〜3月の築年数別利回りは以下の通りです。
築年数 | 利回り(%) |
築10年未満 | 6.94 |
築10年~ | 7.64 |
築20年~ | 9.38 |
首都圏は23区に比べて物件価格が安く利回りは高い傾向にあります。しかしながら、賃貸ニーズが下がる可能性があることも認識しておきましょう。
参考:健美家「収益物件 市場動向 四半期レポート2021年1月~3月期」
その他エリアで築年数別にみる利回り
その他のエリアの2021年1〜3月の築年数別利回りと価格は以下の通りです。
エリア | 10年未満(%/万円) | 10年~(%/万円) | 20年~(%/万円) |
札幌 | 7.37/13,108 | 9.40/6,763 | 10.87/3,587 |
仙台 | 6.93/7,134 | 7.74/5,347 | 11.14/3,873 |
名古屋 | 6.71/7,756 | 8.26/6,002 | 8.75/5,675 |
京都 | 6.16/9,396 | 6.89/15,860 | 10.45/3,723 |
大阪 | 6.52/8,734 | 8.38/3,474 | 12.37/3,275 |
神戸 | 6.93/5,971 | 10.19/3,532 | 11.77/3,122 |
広島 | 5.54/7,175 | 9.94/5,650 | 7.74/4,452 |
福岡 | 6.81/6,136 | 7.11/5,718 | 8.95/4,117 |
上記のエリアは、都内の駅近物件と比較して利回りが高い傾向にあります。また都内では5%切る物件もありますが、地方都市では5.5%以上の利回りが狙えるでしょう。
参考:健美家「収益物件 市場動向 四半期レポート2021年1月~3月期」
アパート経営の利回りの具体例
ここからは、よりアパート経営の利回りについて理解を深めるために、実際の数値を当てはめて計算します。物件価格などの条件は、以下の通りです。
- 物件価格:1億円
- 月の賃料:8万円
- 空室:8件中2件
- 諸経費:120万円
想定利回りと表面利回り、実質利回りでの計算式を見ていきましょう。
想定利回りでの計算
想定利回りは、空室なしの状態の年間家賃収入をもとにして計算します。
表面利回りでの計算
表面利回りの年間家賃収入は、6部屋に月の賃料8万円をかけて、その数値に12ヶ月をかけることで計算できます。
実質利回りでの計算
アパート経営の利回りに影響がある3つのもの
経営を開始するための初期費用や変動リスクのある経費、家賃収入はアパート経営の利回りに影響があるものです。この章では、こうしたアパート経営の利回りに影響があるものについて詳しく見ていきましょう。
アパート経営を開始するための初期費用
アパート経営にはさまざまな初期費用がかかりますが、土地を所有しているのかしていないか、新築のアパートを建築するのか、購入する場合はアパートが新築なのか中古なのかで内容が異なります。ケース別の初期費用は次の通りです。
ケース別 | 初期費用 |
土地ありの場合 |
|
土地なしの場合 |
|
新築アパートを購入する場合 |
|
中古アパートを購入する際は、築年数によって価格が大きく異なります。土地ありで始める場合は、アパートの建築費だけしかかかりませんので、初期費用を抑えられるでしょう。
ケース別アパート経営開始の手順
アパート経営は、土地探しから始める場合と土地ありから始める場合の手順も異なります。各手順の詳細は、次の通りです。
ケース別 | 手順 |
土地探しからアパート経営を始める |
|
土地のある状態から始める |
|
土地探しからを始める場合は、土地探しに時間をかけることを意識しましょう。建築会社を選ぶ際は、複数の会社から見積もりを取り比較検討することをおすすめします。
アパート経営におすすめのパートナ会社について、詳細に知りたい人はこちらをご覧ください。
https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/20715
アパート経営にかかる経費の変動
アパート経営にかかる費用の中には、以下のような変動する経費も少なくありません。
変動する経費 | 詳細 |
ローンの返済額 |
|
固定資産税・都市計画税 |
|
修繕費用 |
|
地震保険 |
|
その他必要になる経費 |
|
正しく賢くアパート経営するためには、将来を見越したうえで経費の変動リスクを把握しておきましょう。経費に関連する注意点をもっと知りたい方は、以下の記事もおすすめです。
https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/18326
https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/13418
家賃収入の変動
家賃収入の変動も、アパート経営の利回りに影響があります。空室や家賃の下落があった場合、利回りは落ちます。家賃に関係する空室リスクを完全に読むことは難しいですが、過去の実績を調べたり、不動産会社と相談したりすれば、空室率を予測できるでしょう。またアパートは築年数が上がるほど家賃が下落していくため、競合物件を調べて下落率を予測することも重要です。
アパート経営におけるおすすめの空室リスク対策
空室を減らすための方法はたくさんあります。おすすめの空室リスク対策は次の通りです。
おすすめの空室リスク対策 | 詳細 |
敷金・礼金ゼロ |
|
賃料を見直す |
|
室内に人気の設備を取り入れる |
|
家具・家電付きの部屋を提供する |
|
空室が長引けば支出ばかり増加してしまうため、しっかりと家賃収入を確保するために空室リスク対策について理解を深めておきましょう。アパートを管理する時間が作れない場合は、管理会社に依頼することもおすすめです。
アパート経営の利回りに関するQ&A
アパート経営の利回りについてよくある質問は、以下の通りです。
- 利回り調査で気をつけたいことは?
- 経営判断の時に使われる利回りの種類は?
- 利回りを良くするポイントは?
- 高い利回りのアパート購入での失敗事例は?
- 新築と中古物件どちらを選ぶべき?
ここでは、それぞれの回答を取り上げますので、より利回りについて理解を深めたい場合は参考にしましょう。
利回り調査で気をつけたいことは?
利回りを調査する際、物件情報に掲載されている利回りが、表面利回りなのか実質利回りなのかチェックするべきです。物件情報によっては経費が含まれていない表面利回りになっていることがあります。また、ランニングコストの内容によって利回りは変動するため、実質利回りの場合でもどのような経費が盛り込まれているかを必ず確認しましょう。
経営判断の時に使われる利回りの種類は?
収益をどの程度得られるかの判断は、諸経費を含めた実質利回りがおすすめです。表面利回りは経費を考慮していないためあくまで目安の数値となり、そのまま信用することはできません。物件を購入しアパート経営する際は、表面利回りを把握しつつ早い段階で年間経費の数字を確定し、実質利回りを計算することが重要です。
利回りを良くするポイントは?
利回りを良くするためには、高額になりやすいローンの返済額を抑えるために、投資ローンの借り換えを行いましょう。投資ローンの借り換えによって利息を安くでき利回りを向上できる可能性があります。借り換え先の銀行によっては、団体信用生命保険の保障を手厚くできるケースもあります。またローンの返済計画を立てる際は、空室リスクや将来の賃料の低下も視野に入れた余裕のある返済計画を立てることが大切です。
その他、アパート経営を成功させるコツも以下で提示しておきますので参考にしてください。
アパート経営を成功させるコツ | 詳細 |
需要が見込めるアパートを建てる |
|
アパートの管理方法をしっかりと選ぶ |
|
事前にトラブル対策をしておく |
|
アパート経営を成功に導くヒントをもっと知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/9193
https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/9422
https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/17181
高い利回りのアパート購入での失敗事例は?
利回りの高い物件を購入したとしても、アパート経営に失敗するリスクはあります。よくある失敗事例は以下の通りです。
失敗例 | 詳細 |
見せかけの高利回り | 利回り10%と謳っている物件を購入したものの、入居者がなかなか決まらず、家賃を下げ再度利回りを計算したら、周辺エリアの相場よりも低い利回りだった |
利回りは高いものの修繕費用がかかる | 「価格が低く高利回り」という物件を紹介されたため、下見をすることなく購入したものの、ボロボロのアパートで修繕費用がものすごく必要だった |
入居需要がほとんどない | 地方にある「利回り30%」というアパートを購入したものの、人口が少なく入居者が決まらず、家賃収入ゼロが続いた |
高利回りとして提案された物件は、必ずしも利益につながるアパートとは言い切れません。損をしないためには、事前に家賃設定や入居需要、修繕済みなのかを確認しておきましょう。
新築と中古物件どちらを選ぶべき?
アパート経営では、新築と中古いずれかの物件を選ぶかによって、利回りが異なります。新築と中古それぞれのメリット・デメリットは、次の通りです。
メリット | デメリット | |
新築 | 法定耐用年数の期間が長く、基本的には融資が長くとれる | 物件価格が高い傾向にあり、低利回り |
中古 | 物件価格が安く利回りも高い可能性あり | 木造物件は、長期間の融資が引きづらく、想定外の出費あり |
このように、新築にも中古にもメリット・デメリット両方あるため、実際に物件を見て、個別に判断する必要があります。
まとめ
利回りには「想定利回り」「表面利回り」「実質利回り」という3つの種類があり、経営判断の時に使われる種類は、経費を考慮して算出する「実質利回り」です。エリアや築年数によって利回りの平均値が異なり、「利回りの高い物件=収益性が高い」というわけではありませんが、収益性を判断するための数値のため、利回りについて理解を深めておきましょう。
アパート経営の利回りの目安は、不測の支出に対応するために実質利回り5%以上を目指すことが理想であり、最低でも3~3.5%は必要です。利回りを良くするためには、経費の中でも高額になりやすいローンの返済額を抑えるために、投資ローンの借り換えを行いましょう。
利回りの相場を理解し、適切な対策をとることで、自身が所有する物件に対して最大限の利回りを期待することができるでしょう。また、アパート経営の成功事例だけではなく、失敗事例もチェックすることで、着実なサクセスストーリーを描ける可能性がアップします。本記事を参考に、より高効率なアパート経営を行いましょう。
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