マイナビニュースマイナビ マイナビニュースマイナビ
Index square
( Life )
3 大人のモノ・コト選び

フェラーリ「12チリンドリスパイダー」はフツーに乗っても大満足のスーパーカーです

MAR. 07, 2025 08:00
Text : 九島辰也
Share

スーパーカーを買ったからといって必ずしもサーキットに連れ出す必要はないし、むしろ、リゾート地で“フツー”に乗って満足できなければ、こんなに高価なクルマをわざわざ買う理由も薄くなるというもの。そこへいくと、フェラーリ「12チリンドリスパイダー」は期待を裏切らない1台だ。

  • フェラーリ「12チリンドリスパイダー」

    フェラーリの新型車「12チリンドリスパイダー」にポルトガルで乗ってきました

試乗ルートがフツーの道路だった理由

このところ、スーパーカーのオープントップモデルのステアリングを立て続けに握った。どれも700馬力、800馬力以上の車高の低いクルマだ。中でも印象的だったのは、ポルトガルで行われた国際試乗会で乗ったフェラーリ「12チリンドリスパイダー」。話題の自然吸気12気筒エンジンだけに、クルマ好きとしては興味津々である。830馬力のパワーもそうだし、12気筒エンジンならではの乾いた甲高いエキゾーストサウンドは注目に値する。しかも、スパイダーともなればドライバーズシートでそれを直接的に耳にできる。これはありがたい機会だ。

ただ、当日の指定されたコースを走るとちょっとした違和感を覚えた。というのも、ナビに沿った道は海岸線のフツーの道。大西洋の潮風を感じることはできるが、コーナーを攻めるようなワインディングはほとんどない。どちらかというと、パフォーマンスを体感するよりもオープンエアモータリングをエンジョイしてほしい、といった趣旨が伝わってくる。同モデルのクーペの試乗会に参加した人から話を聞くと、その時はサーキット走行があったそうだからまったくの別物だ。

  • フェラーリ「12チリンドリスパイダー」

    せっかくのスーパーカーなのに、フツーの道路を走らせるのはなぜでしょう?

その意図を鑑みると、やはり対象とするマーケットが異なるのかもしれない。スパイダーのような屋根開きクルマを欲するのはクルマ好きのセレブリティ。彼らがそうしたスーパーカーを持ち込むのはサーキットではなく、海沿いのリゾートである。ヨーロッパならニースやモナコ、アメリカならマリブやマイアミビーチといったところだろうか。映画のシーンのごとく、彼の地では超高級リゾートホテルのクルマ寄せにそんなクルマが押し寄せる。

  • フェラーリ「12チリンドリスパイダー」

    オープンカーに乗るセレブが集まるのは、サーキットというよりもリゾート地ですよね

といった背景を踏まえると、今回の国際試乗会の開催場所もその類に属す。試乗の起点となったリスボン郊外のリゾートはそれなりの高級感を持っていた。ゴルフコースも隣接していることから、ゴルフリゾートとしても人気がありそうだ。

  • フェラーリ「12チリンドリスパイダー」

    リスボン郊外のゴルフリゾートでオープントップのスーパーカーに乗るのも一興です

オープンカーは見た目重視の軟弱なクルマ?

それじゃ、屋根の開くスーパーカーは見た目重視の軟弱な代物なのかといえばそうではない。中身はクーペと変わらないスペックを持ち、度肝を抜くようなパフォーマンスを発揮する。その証拠に、今回の12チリンドリスパイダーの開発陣はこんなことを言っていた。「クーペとスパイダーの開発は同時」だと。つまり、スパイダーはクーペの派生モデルといったオマケではなく、はじめから独自に設計されているという意味だ。

  • フェラーリ「12チリンドリスパイダー」
  • フェラーリ「12チリンドリスパイダー」
  • 屋根が開くからといって甘く見てはいけません

よって、リトラクタブルハードトップを稼働してもボディは堅牢で、ステアリング操舵にもしっかりと対応する。前後の重量配分49:51は、ドライバーを中心に向きを変えるようなレーシーなコーナリングを見せてくれるから楽しい。さらに言えば、サスペンションのセッティングは両モデル同じ。スパイダーだから乗り心地の良さを強調するということはなく、同じようなソリッドな走りを提供する。要するに、プロのレーサーがサーキットで走らない限り、その違いはわからないといった走りの持ち主である。

もちろん、それが大事なポイントなのは言わずもがな。クルマ好きのセレブリティにとってもパフォーマンスは重要。屋根が開くことでそれが劣れば、商品としての魅力は下がってしまう。つまり、買う意味が薄れるわけだ。

  • フェラーリ「12チリンドリスパイダー」
  • フェラーリ「12チリンドリスパイダー」
  • フェラーリ「12チリンドリスパイダー」
  • クーペと比べても走りに遜色はないはずです

ということで、昔と違って堅牢なボディを手に入れたオープントップモデルはド級の走りとリゾートライフの両方を望む欲張りな願いをかなえてくれる。なので、世界中のセレブが放っておくわけがない。人気は常にトップレベル。きっと今回の12チリンドリスパイダーも、すでにオーダーはいっぱいなはず。スーパーカー業界はかなり潤っていそうだ。


Share

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

  • Pick Up
    Iapp
    PR
    未経験でも年収1,000万以上! 日本住宅ローンが“おもてなし採用”で求める人材とは?
    • PR
      Index.large
      【PR】黒一色で引き締まる洗練のスタイル - 超軽量ノートPC「FMV Zero」
    Weekly Ranking
    • 1

      Large
      脳がチャレンジしなくなる年齢が判明、「人生100年時代」のワナとは?
    • 2

      Large
      『余市』のトリビア10選!これを知ればジャパニーズウイスキー通
    • 3

      Large
      国民的ウイスキー『サントリー角瓶』トリビア5選!
    • 4

      Large
      大谷翔平、藤井聡太、井上尚弥――優秀な若者の"共通点"とは?
    • 5

      Large
      お金持ちが大型連休中に「絶対しないこと」