4月3日日本時間朝にトランプ関税の内容が発表されました。各国に衝撃を与える内容であり、株式市場は急落しました。トランプ関税は10日に入り、中国を除き90日の延期が発表されましたが、今後の影響は依然として懸念されます。
トランプ関税に打ち勝つ可能性がある銘柄はどのような銘柄となるのでしょうか? 米国への依存度が低い企業などをテーマとともに取り上げました。
日本時間4月3日早朝にトランプ関税が発表
再度の大統領就任後、貿易相手国に関税を課す、と宣言していたトランプ大統領でしたが、その内容については、諸説が入り乱れていました。
貿易立国日本にとり米国の関税は重大問題ですが、同盟国に重い関税は課さないだろう、という楽観論も一部にありました。
そして日本時間4月3日早朝にトランプ大統領は各国に課す関税を発表。日本は24%という数字となり、一瞬目を疑った関係者も多かったようです。
想定シナリオの中で最悪の部類に入る、という専門家のコメントも出る程でした。
アメリカから24%の関税を課せられることは日本にとってショッキングな事態であり、今後国内経済に大きな影響を与える可能性があります。
急落でトランプ関税の発表を迎えた株式市場
トランプ大統領が各国への関税を発表した4月3日は、株式市場が大いに荒れました。トランプ大統領の発表後にオープンした東京株式市場は急落して取引をスタート。日経平均は▲1,000円を超える下げを日中見せましたが、最終的に▲989円安で取引を終えました。
米国市場も無傷ではなくダウ平均は▲1,679ドルで約4%、ナスダック総合指数は▲1,050ポイントで約6%の下落を見せました。
また週明け4月8日(月)の日経平均は▲2,000円を超える大幅安となりました。
トランプ関税に打ち勝つ銘柄やテーマを探す
トランプ関税の発表を受けて、日米ともに株式市場は大きく下落しました。その中で今後の株価上昇の可能性がある銘柄をテーマとともに以下に取り上げました。
- ニトリHD(円高銘柄)
- スズキ(米国撤退銘柄)
- 三菱重工(防衛銘柄)
それぞれ解説します。
ニトリHD<9843>:円高銘柄
家具などの製造及び小売店を展開するニトリは(上場するのはニトリHD)、海外で製品を製造し国内で販売するビジネスモデルです。輸入型のビジネスモデルであり、円高になると利益が拡大する企業として知られていますが、近年は円安が業績の重石となっていました。
トランプ関税の発表日はドル円が急落しました。年初に155円を超えていたドル円は、4月3日には145円台まで下落しており、年初比で10円の円高が進んでいます。
トランプ関税によりドル安が進むことで、ニトリなどの円高銘柄には追い風となる可能性があります。
スズキ<7269>:米国撤退銘柄
トランプ関税は、国内の主要産業である自動車産業への影響が特に懸念されています。国内自動車メーカー各社も影響が免れないと予想されますが、スズキは2012年に米国での自動車販売から撤退済です。
同社の地域別売上比率は国内24%、インド41%、アジア6.7%、ヨーロッパ13%、その他12%です(2024年3月期)。このため、国内自動車業界の中でもトランプ関税の影響は同社が最も少ないと予想されます。スズキのように脱米国をしている銘柄は、消去法的に買われる可能性があります。
三菱重工業<7011>:防衛銘柄
三菱重工は2024年の防衛銘柄への注目で、大きく株価が上昇しました。トランプ関税の発表により、今後世界情勢が更に混迷する可能性が否定できません。
また関税引き下げの交渉材料として、日本政府は防衛費の増額を行う可能性もあり、その際は、防衛省の最大の取引企業である同社の受注額増加が見込まれます。
更にトランプ関税が国際的な問題となる中で、米国製兵器への依存のリスクも各国で指摘されており、現在日・英・伊で開発中の戦闘機(日本は三菱重工が中心)が各国から注目される可能性もあります。
国内の防衛費増額の可能性やトランプ政権下での米国製兵器への信認度の低下が、同社など国内防衛銘柄の業績を後押しする可能性があります。
米国への依存度が高い企業には逆風だが様々な風向きが変わる可能性
トランプ大統領が関税についてディールの材料と考えているのか、ディールの材料ではなく米国復活の象徴として考えているのか、議論が分かれています。10日に90日延期が発表されましたが、このままの日本の24%という関税は国内企業へ大きな影響が予想されます。
米国の売上比率の高い企業は特に業績への影響が懸念されますが、中国経済の減速と中国との関係悪化の後、米国に軸足を置き国際化を進めてきた日本企業にとっては厳しい環境となりました。
ただし、失われた30年のデフレ環境下でも複数の企業は株価上昇を果たしました。トランプ関税は各銘柄への風向きを変える可能性があります。トランプ関税問題は当面続くと予想される中、どのような銘柄の株価が上昇するのか、物色されるテーマとともに注目されます。