世界には大小合わせて数百もの腕時計ブランドがあります。価格も数千円から数億円まで大幅な差があります。その価格の違いは原材料の違いであったり、仕上げやブランドの違いから生まれるものですが、色々な時計を見ていると、どうしてもその価格に説明のつかない時計が存在します。これがいわゆる「ぼったくり時計」と呼ばれる時計ですが、逆に、明らかにお買い得な時計も存在します。今回はハイブランドに匹敵する造り込みながら手の届きやすい、驚きのプライスパフォーマンスを誇る時計をご紹介します。
生産数が少ないレアモデル
シチズンといえば「アテッサ」などのハイテク時計を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。しかし、実はシチズンはアーノルド&サンやフレデリック・コンスタントといった高級時計ブランドを傘下に納め、機械式時計のムーブメントのみならず、時計の部品を作るための工作機械まで内製する世界有数の時計複合体です。
シチズンコレクションは同社が有する機械式時計のノウハウを結集したシリーズで、価格以上の価値を感じられる製品群として高い評価を受けています。今回ご紹介する「NB1060-12L」と「NB1060-04A」は、そんなシチズンコレクションの中でも特に高い評価を受けるモデルですが、後述する製造上の理由から生産数が少ないため、シチズンも積極的にはアピールしておらず、結果として穴場的なモデルとなっています。
では、なぜ本モデルは生産数が少ないのでしょうか。その理由は本モデルの文字盤にあります。この文字盤は真鍮製の台座に職人が漆を塗り、銀箔を散らしてボカシ塗装を施したもの。生産に手間がかかるため、大量生産することができません。
どんな腕時計?
硫化銀をランダムに散らした文字盤は、見る角度によって美しく表情を変え、職人が一枚一枚手作業で仕上げているため、同じ模様が2つとありません。
美しい白金色に輝くケースは、ステンレス製ケースにシチズン独自の硬化コーティング「デュラテクトプラチナ」を施したもの。ステンレスのポリッシュでは出せない色合いを表現するだけでなく、擦り傷に対する耐性を向上させる優れものです。
風防は人工サファイアで造られているため、傷に対して極めて強く、透明度に優れています。
バックルにはDバックルを採用しているため、着脱を容易かつ安全に行うことができます。Dバックルの中留に施された渦巻き模様は「コート・ド・ジュネーブ」という装飾です。
搭載するムーブメントはシチズンファインデバイスが製造する「MIYOTA 9015」をカスタマイズし、美観と精度を向上させた「CITIZEN 9011」。高耐久な薄型自動巻ムーブメントとして評価が高いプレミアムムーブメントです。
「NB1060-12L」はカウレザーですが、「NB1060-04A」はコードバン(馬革)ストラップが付属します。
ケース径は38.2mm×12mm、防水性能は10気圧防水。価格はNB1060-12Lが14万3,000円、NB1060-04Aが15万4,000円です。
海外のウォッチジャーナリストも注目
最後に、NB1060-12LとNB1060-04Aのユニークなエピソードをご紹介いたします。
実はこの2モデルは日本専売モデルに設定されており、海外では販売されていません。理由は前述の通り、文字盤の製造に手間が掛かり、輸出する程の数量を確保できないためです。それにもかかわらず、本モデルは海外の時計フォーラム「WatchUSeek」や時計ブログ「aBlogtoWatch」などでウォッチジャーナリスト達にたびたび取り上げられています。
シチズンは本モデルを海外で展開しない方針のため、ジャーナリストにレビュー記事を依頼することはなく、シチズンのオンライン販売も海外配送に対応していません。海外のウォッチジャーナリスト達は本モデルのあまりの美しさに感動し、海外配送対応のECサイトを探して自腹で購入し、記事を書いているようです。