外壁塗装で助成金(補助金)は受け取れる
建物の外壁塗装工事では、自治体が定めた条件を満たすことによって助成金や補助金が利用できます。本項では主に個人住宅を対象にいくつかの自治体が設置する助成金・補助金制度の具体例を紹介します。
外壁塗装の助成金(補助金)は各自治体によって異なる
外壁塗装や屋根塗装が対象となる助成金(補助金)の内容は、自治体ごとに異なります。外壁塗装の工事を行う場合は、国・都道府県・市区町村・地方自治体が実施している助成金や補助金制度について調べるようにしましょう。以下では、外壁塗装に助成金を用意している自治体の例を紹介します。
東京都品川区の助成金
- 助成金名:住宅改善工事助成事業(エコ&バリアフリー住宅改修)
- 助成金額:工事費用の10%(上限20万円
- 参考:品川区役所ホームページ
東京都品川区では遮熱性塗料を用いた塗装工事などのエコ住宅改修や、手すり設置などのバリアフリー住宅改修を目的としたリフォームが対象です。上記の助成額は、個人住宅向けの金額ですが、マンションの管理組合などが申請者の場合は、工事費用の10%(上限100万円)となります。所得制限や区内の施工業者に依頼することなど、応募条件が細かく設定されているため、区のHPなどでご確認ください。
大阪府茨木市の助成金
- 助成金名:多世代同居支援住宅リフォーム補助制度
- 補助金額:住宅リフォームに要した経費の3分の1まで(最大で30万円)
- 参考:茨木市役所ホームページ
大阪府茨木市では市外から移住してきた子世帯が市内在住の親世代と同居するためにリフォームを行う場合に補助を行う多世代同居支援住宅リフォーム補助制度が用意されています。基本的には同居を行うことが前提となっており、リフォームの内容や依頼先の業者にも制限があるため、受給を考えているのであれば条件を確認のうえ、担当者まで相談をして契約を進めましょう。
秋田県秋田市の助成金
- 助成金名:秋田市住宅リフォーム支援事業
- 補助金額:5万円(中心市街地活性化基本計画で定めた区域内の住宅は10万円
- 参考:秋田市役所ホームページ
秋田市住宅リフォーム支援事業は外壁塗装や屋根塗装以外にもバリアフリーや増改築といった工事も対象なのが特徴です。既存住宅の質の向上と建築業界への経済効果を目的としているため対象工事が幅広く、秋田市中心市街地活性化基本計画で定められた区域に住宅がある場合は上限が10万円になるなど条件が異なるのでよく確認しておくことが重要です。
福岡県久留米市の助成金
- 助成金名:久留米市住宅リフォーム助成事業補助金
- 補助金額:補助対象工事の50%に相当する額(上限は10万円)
- 参考:久留米市役所ホームページ
福岡県久留米市の助成金では対象工事のみの金額で補助が降ります。断熱や手すり、建具の交換なども対象としているため外壁と同時に施工をしてしまうのもおすすめです。さらに実際にその建物に居住していることも条件であるため申請をする際には注意が必要です。
外壁塗装の助成金と補助金の違い
助成金と補助金は、両方とも公的機関から支給されるもので返済が不要な点は共通しますが、実は以下のような違いがあります。
- 助成金:「決められた塗料を使う」などの要件さえ満たせば受給可能
- 補助金:受け取るための採択件数や金額をあらかじめ決められていることが多く、審査を受ける必要がある
補助金は支援金額は高くなる傾向にありますが、審査が比較的厳しく申請しても必ず採択されるとは限りません。一方で助成金のほうが条件は緩いため、どちらを選ぶかは一長一短であるといえます。
助成金・補助金が受け取れる外壁塗装の種類と条件
助成金や補助金を受け取るための要件には、外壁塗装の種類や目的が限定されている場合があります。以下では、助成金や補助金を受け取れる外壁塗装の主な種類について解説します。
ヒートアイランド対策/遮熱塗料
公的支援の対象となる外壁塗装工事のひとつに、「ヒートアイランド対策」用の塗装工事があります。この塗装工事は、屋根や外壁に太陽光を反射しやすい「遮熱塗料」を使うことで、部屋の温度を下げてエアコンなどの使用量を抑えられます。その結果、エアコンから外に排出される熱量も減るためヒートアイランド現象の抑制効果が期待できます。
遮熱塗料とは、太陽からの赤外線を反射して住宅を熱の影響から守る性能がある塗料を指します。住宅を守ること以外に室内温度上昇を抑制する効果があることから、省エネ対策推進にもなると注目を集めている塗料です。遮熱塗料の価格は一般的なシリコン塗料と比較すると約2割ほど高くなります。遮熱効果をできるだけ引き出したいときには、光を反射しやすいホワイト系の色を選ぶようにしましょう。
エコリフォーム
エコリフォームとは、エコ基準を満たした特殊な資材などを使って、窓・外壁・天井などに断熱改修を施す省エネ対策に着目したリフォームを指します。その性質上、ヒートアイランド対策との共通項も多くありますが、こちらは「エコジョーズ」や「エコキュート」といった高率給湯器の設置も支援対象のひとつで、省エネ対策全般に適用されます。
一般リフォーム
上記2つの塗装工事は省エネ対策としての特色が強いものですが、それらとは無関係な一般の工事が支援対象となる場合もあります。こうした助成は、主に地域の産業振興や定住者の増加などを目的として行われます。このケースでは、助成金・補助金の対象となる工事の条件は比較的緩く、ときにはリフォーム工事全般に対して助成されることもあります。
補助金を受け取る条件
助成金や補助金を受け取るための条件は各自治体によってさまざまですが、基本的な共通項としては以下の条件が挙げられます。
- 申請地域に居住していること(転居すること)
- リフォームする住宅の所有者または居住者であること
- 税金の滞納がないこと
- 過去に同様の助成を受けていないこと
居住地域と税金に関しては、各自治体から支援を受けるなら当然の条件といえます。そのほか、自治体によっては年収制限などを設けている場合もあるため、詳しくは各自治体のHPなどでご確認ください。
外壁塗装の一般的な費用相場
30坪の建物で、外壁のみ塗装する場合は60万~100万円程度が相場です。また、屋根も同時に塗装する場合には80万~125万程度が相場とされています。外壁塗装の費用相場は塗料の種類によっても異なり、主流であるシリコン塗料よりも高機能である遮熱塗料や断熱塗料の施工単価は割高です。
助成金を利用して金額を変えずにハイグレード
予算的にはシリコン塗料を使用して外壁塗装を行うのがベストである場合でも、助成金をうまく活用することでほぼ金額を変えずに塗料のグレードを上げることも狙えます。
遮熱塗料や断熱塗料はリフォームに関する助成金や補助金の対象となりやすいなどそれぞれのメリットやデメリットをしっかり確認し、どのような塗料なら安く済むのか、どのような塗料なら補助金審査に有利かなど、塗装業者とよく相談して選択することが大切です。
相見積もりを利用して価格を抑える
助成金の申請の際は工事費の見積書を提出する必要があるので、提出書類を揃えるついでに複数業者に相見積もりを取ってみるのもよいでしょう。相見積もりを取得することで外壁塗装にかかる費用の相場がわかるのはもちろんですが、安く工事ができる業者を探すことにも繋がります。また、金額だけでなく説明や対応力、プランを比較して自分が納得できる業者に依頼するためにも相見積もりは欠かせません。
見積もりを確認する前に自宅の劣化具合を知りたいという方も少なくありません。多くの外壁塗装業者では見積もりだけでなく無料点検を実施していることがあります。見積もりの際にはWEB見積もりを除いて実際に家の状態を見ながら見積もり作成をしてくれるので一度業者に診てもらうメリットは大きいでしょう。
助成金・補助金の申請〜受け取りまでの流れ
では、助成金・補助金を受け取るためには具体的にどのような手順を踏めばよいのでしょうか。以下では、その基本的なプロセスについて解説していきます。
- 自治体や国の助成金・補助金を調べる
- 工事前に申請
- 工事開始〜報告書提出
- 補助金を受け取る
1.自治体や国の助成金・補助金を調べる
助成金や補助金を受け取るためには、自治体がそれらの支援を用意していることが前提となります。各自治体の補助金・助成金制度は、「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」から確認できます。まずは目当ての自治体がそうした取り組みを行っているか確認してみましょう。
補助金・助成金制度が設けられている場合でも、自治体の全体の予算や採択件数、時期などの関係から、先着順だったり利用できなかったりするケースもあります。全国的に自治体の助成金や補助金の募集は、年度初めである4月からおこなわれる場合が多いです。外壁塗装工事で助成金や補助金を受けたいときには、計画を立て始めると同時に市役所などの窓口で募集時期を確認するのがおすすめです。
2.工事前に申請
希望の自治体にて、塗装工事における助成金・補助金制度が用意されていることを確認したら申請の手続きを始めます。自治体の助成を受ける際には、工事前に申請するのが基本です。工事後に申請しても助成を受けられないため、ご注意ください。なお、申請時には必要書類として、各自治体が用意する申請書や工事費用の見積書はもちろん、施工場所の現状や施工内容がわかる書類(写真・図面など)を要求される場合もあります。助成を受けるために、しっかりと揃えておきましょう。
助成金や補助金の申請に必要な書類の一例を以下にまとめておきます。
- 各自治体の窓口やホームページで配布されている申請書
- 住宅の登記簿謄本(所有者確認のため)
- 外壁塗装工事の見積書 ・外壁塗装工事の契約書
- 設計図書(平面図・立面図・工事内容)
- 施工前の現場写真
地球温暖化やヒートアイランド対策としての制度を利用する場合には 上記書類に加えて下記の書類が求められることがあります。
- 日射反射率の測定値証明書類(第三者機関による)
- 塗料の性能が記載されているカタログ
また定住人口を増やすための制度を利用する場合にはこのような書類が必要な自治体もあります。
- 戸籍全部事項証明書(親子関係を証明する書類)
- 住民票除票(市外に居住していたことが証明できる書類)
このように自治体や利用したい制度によって必要な書類が異なります。書類に不備があると助成金を受け取ることはできないため、自治体の担当者や施工を依頼する塗装業者ともよく相談をして準備をしましょう。外壁塗装業者Naviで紹介している業者の中には助成金のサポートや申請代行をしてくれる業者もあります。見積もりの際に併せて相談してみるのもおすすめです。
3.工事開始〜報告書提出
申請書を提出したら、いよいよ着工です。工事中は特にすることがないように思われるかもしれませんが、工事範囲や使用する塗料などに変更があった場合は、自治体にそれらの変更を届け出る必要があります。
また、工事が完了後に施工前と施工後の写真を添えた「工事完了報告書(実績報告書)」と「請求書」を提出しなければなりません。施工会社の協力を適宜仰ぎながら、最後まで抜かりなく手続きを済ませましょう。
4.補助金を受け取る
必要な手続きがすべて済み問題なく事が運べば、調査の約1~2ヶ月後には補助金・助成金が振り込まれます。振込時期は制度によって異なるため心配な方はあらかじめ担当に確認をしておきましょう。
外壁塗装の助成金・補助金を申請する際の注意点
外壁塗装の助成金・補助金を申請する際にはいくつか注意点があります。以下のポイントをしっかりと押さえたうえで準備を進めましょう。
遮熱塗装が向かないケースも
外壁塗装の助成要件として「遮熱・断熱塗料の使用」が挙げられているケースがありますが、この塗料を使用する際は注意が必要です。遮熱塗料は冬場も太陽光を遮ってしまうため、屋内が寒くなりやすい建物には不向きです。そのため、いくら補助金を使えるからといって、屋根の状態を考慮せず遮熱塗装を取り入れるのは避けるべきでしょう。
自治体によっては先着や抽選となる助成金も
助成の条件をすべて満たしていたとしても、必ずしも支援を受けられるとは限りません。自治体ごとに決まった予算があるため、場合によっては助成対象者が抽選や先着順になってしまうこともあります。こうしたケースによる落選を防ぐためには、申請受付が始まる時期を事前に調べておき、早期に申し込むのが得策です。
多くの自治体では毎年同時期に同じ内容の制度で募集を始めます。昨年の情報も参考にしていつから動き始めるべきか考えておきましょう。
工事の条件が細かいケースも
一言で「外壁塗装のための助成」と言っても、自治体によって使用する塗料の種類や塗装範囲など条件が細かく設定されているケースもあります。そうした細目を見逃すと申請そのものが通らなかったり、あとで発覚して補助金を受け取れなかったりする場合もあるため注意が必要です。特に省エネ対策などを対象とした助成制度を利用する場合は入念に確認しておきましょう。
申請・認定に時間がかかる
自治体に助成金・補助金を申請する場合、申請手続きや認定までに時間がかかります。特に補助金は、申請受付や工事完了報告書の提出に期限が設けられているため、書類の細部にまで目を配りながらも、決められた期限内に提出する必要があります。また申請後も、助成金・補助金交付の認定を受けるまでには、一般的に3週間ほどの時間を要します。
外壁塗装が対象の助成金・補助金制度の検索方法
最後に、外壁塗装を対象とする助成金・補助金制度の簡単な検索方法を紹介します。お住まいの地域の助成制度について知りたい方はご活用ください。
地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
どの自治体が住宅リフォームに関する助成金・補助金を用意しているかは、先述の「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」で調べることができます。
検索方法は、まず同サイトのトップページにて希望の市区町村を選択ます。次に助成内容を選択肢から選んでください。外壁塗装の場合は、「支援分類」から「省エネルギー化」を選択して「検索ボタン」を押します。すると、青文字で対象地域が実施している助成制度の一覧が表示されるので、外壁塗装に関連しそうな名称のものをクリックして確認しましょう。
「省エネルギー化」でヒットしなくても、市区町村だけ選択して大雑把に検索をかけるとその自治体が実施しているリフォームに関する助成制度の全一覧が表示されます。そこで外壁塗装に関するものが見つかるかもしれません。ただし、同サイトに掲載されている情報は古い場合もあるため、注意が必要です。申請する自治体がすでに決まっているのなら、当該の自治体HPを確認したり、担当部署に直接問い合わせたりするなどして裏を取ると確実でしょう。
外壁塗装業者Naviでは助成金情報も掲載
外壁塗装業者Naviでは地域ごとの外壁塗装業者を紹介しています。紹介しているのは業者の情報や費用、施工事例だけでなくその市区町村の助成金情報も調査して掲載していますので、下記から自身が住んでいる市区町村の助成金情報を確認してみてください。
外壁塗装の費用を安く抑える助成金以外の方法
助成金の募集に間に合わない、助成金の条件を満たしていない。そんな方に向けて助成金・補助金制度以外に、外装塗装の費用を安く抑える方法をいくつか紹介します。
住宅ローン減税を利用する
住宅借入金等特別控除、通称住宅ローン減税をご存じでしょうか?住宅ローン減税は自宅の購入に係わる住宅ローンを利用している人の税金の控除制度と思っている方もいるかもしれませんが、実は自宅のリフォームに関わる住宅ローンにも利用可能です。適用されると10年間住宅ローン残高の1%を所得税から控除することができます。ただし、費用が100万円以上などの条件があるため、事前に確認しておくことが重要です。
相見積もりを取る
安く外壁塗装をしたいのであれば必ずやっておくべきなのは、複数の塗装業者から相見積もりを取ることです。業者によっては工事費用が数十万円異なることも珍しくありません。信頼できる業者の相見積もりをしっかり取って比較・検討・交渉することで費用を抑えることができます。
また正確な見積もりを算出するためには実際に外壁を調査することが必要不可欠なため、相見積もりを取りいろいろな業者と接することで業者との相性や信頼性も同時に判断することができます。信頼できるパートナーとなる業者を選ぶことで、工事の円滑な進行や問題発生時の対応がしやすくなるでしょう。
火災保険を適用できるケースもある
外壁塗装工事の費用を抑える方法として、助成金・補助金を受ける他に火災保険を活用することがあげられます。戸建て住宅向けの火災保険では、火災による被害以外にも自然災害による損害も適用範囲となる場合があります。自然災害によって外壁に被害があったときには、保険証券を確認してご自身の加入している火災保険の適用条件を確認しましょう。
戸建て住宅向けの火災保険には大きく分けて2つの種類があります。もっとも基本的な「住宅火災保険」では、火災以外に落雷・爆発・強風・ひょう(雹)・雪災による被害も補償の範囲内です。具体的には、台風による飛来物で外壁が損傷した場合などが考えられます。さらに補償範囲が広いのは「住宅総合保険」です。住宅火災保険の補償範囲に加えて、水害や自動車などの衝突、盗難被害にあったときの外壁への損害も補償されます。
外壁の損傷が火災保険適用となるかどうかは、損害保険会社から派遣される鑑定人による調査に基づいて判断されます。調査によって経年劣化だと判断されたときは対象外となりますので注意が必要です。外壁塗装や補修工事を依頼する原因が火災保険の適用範囲に該当する場合は、ご加入の損害保険会社へ必ず申請するようにしましょう。
助成金を活用してお得に外壁塗装を行いましょう
本記事では外壁塗装に関する助成金・補助金の内容や申請方法について紹介しました。リフォームに関する助成金・補助金は、10~20万円程度と大きな金額が動くため、それ相応に準備や手続きの手間がかかります。助成を受けるのであれば十分な準備をして申請を行うことが重要です。
それぞれの自治体の助成金情報は外壁塗装業者Naviの都道府県ページに一覧で掲載しておりますのでご確認ください。また、業者選びに役立つよう同条件で地域業者を徹底調査して比較をしていますのでこちらも併せて参考にしてください。