前提としてどんな外壁でもメンテナンスは必要
建物の外壁は塗装した瞬間から劣化がはじまるため、一切メンテナンス・再塗装が不要という外壁は存在しません。どんな素材・塗料の外壁でも基本的に再塗装やメンテナンスは必要です。
メンテナンスフリーの外壁について説明する前に、外壁の再塗装・メンテナンスの前提について説明します。
メンテナンス不要の外壁はない
前述通り、日本の建物の外壁材・塗料にメンテナンスや再塗装が一切不要になるものは存在しません。したがって、頻度の差こそありますが、すべての外壁にはメンテナンスや再塗装が必要なので注意してください。
メンテナンスフリーの名前で出ている外壁も再塗装・メンテナンスは必要です。
メンテナンスすることで外壁材を長持ちさせる
そもそもなぜ外壁の再塗装・メンテナンスが必要なのかと言うと、それは外壁のトラブルを未然に防ぐため、外壁を安全かつ綺麗な状態に保つためです。
人間の体も健康診断などを行うことで病気を早めに検知し、未然に防げることもあります。外壁も同じで再塗装・メンテナンスによってひび割れやカビ、塗膜の剥げや浮きなどのトラブルを防げます。
また、仮に外壁にひび割れなどがあっても、再塗装・メンテナンスにより対処できれば、劣化の進行を遅らせることもできます。
外壁を安全かつ綺麗な状態に保つため、そしてトラブルを未然に防ぐため、定期的な再塗装・メンテナンスは重要な要素です。
外壁材の耐用年数の違い
外壁材や塗料によって耐用年数が異なります。外壁材・塗料の耐用年数にあわせて再塗装・メンテナンスの計画を立てることが重要です。外壁材・塗料の耐用年数の目安は次の通りです。
外壁材の耐用年数
外壁材(サイディング)の種類 | 期待耐用年数 |
---|---|
木質系サイディング | 15年~30年 |
樹脂系サイディング | 20年~30年 |
窯業系サイディング | 20年~40年 |
主な外壁塗装(塗料)の耐用年数
主な外壁塗装(塗料) | 期待耐用年数 |
---|---|
アクリル塗料 | 3年~6年 |
ウレタン塗料 | 7年~10年 |
シリコン塗料 | 10年~13年 |
フッ素塗料 | 15年~20年 |
外壁塗装の一般的な再塗装・メンテナンスの周期は10年です。塗料によっては耐用年数が10年以上になっていますが、外壁塗装から10年ほど経過するとカビやひび割れ、チョーキングなど劣化による何らかのトラブルが起きていることも少なくありません。さらに深刻な外壁のトラブルを未然に防ぐためにも、10年に1度のメンテナンス・再塗装をおすすめします。
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劣化が進むとメンテナンス費用が膨大に
塗装・メンテナンスをせず劣化が進んでしまうと、こうしたトラブルもより深刻化してしまいます。外壁のトラブルが深刻化すると、それだけ補修や再塗装などのメンテナンスにかかる費用も高額になります。
たとえば外壁の劣化が進んでひび割れが起きていたとします。小さなひび割れであれば1万円~10万円ほどで補修できることも少なくありません。ただ、大きなひび割れや複数個所のひび割れになると、数十万円以上の補修費用がかかってしまうことがあります。ひび割れの深刻度によってこのように補修費用がかなり変わってくるわけです。
劣化の進行を食い止めるためにも、そしてトラブルを深刻化させないためにも、定期的な再塗装や補修などのメンテナンスは重要で、定期的に行うことで長い目で見たときに外壁にかかる費用を抑えることにもつながります。
メンテナンスフリーの外壁とは?
メンテナンスフリーの外壁は外壁塗装に悩んでいる方を中心にメンテナンスが不要になるのではないか。再塗装しなくていいなら楽だ。などの理由から注目を集めています。
メンテナンスフリーという名前だけ見ると、確かに外壁のメンテナンスが一切不要なタイプの外壁だろうと思うかもしれません。メンテナンスフリーの外壁とは、本当にメンテナンスが不要な外壁なのでしょうか。その正体に迫ります。
メンテナンスサイクルの長い外壁
メンテナンスフリーの外壁とはメンテナンスが一切不要な外壁ではありません。メンテナンスや再塗装の頻度が少なくなる外壁のことです。
すでに述べたように建物の外壁・塗装は劣化するからこそ、メンテナンスや再塗装が一切不要な外壁は存在しません。頻度の差こそあれ、外壁塗装やメンテナンスは必要になります。
ただ、外壁塗装・メンテナンスは住宅の所有者にとって費用などの面から負担になることは確かです。外壁塗装のたびに専門業者や塗料を選んで施工を依頼するには労力もかかります。費用面の負担や労力などを考えて、できるだけ塗装やメンテナンスの頻度を減らした外壁、メンテナンスサイクルを長くした外壁がメンテナンスフリーの外壁です。
メンテナンスフリーの外壁には大きく2つのタイプがあります。
ガルバリウム鋼板など耐久性の高い外壁材の外壁
耐久性の極めて高い外壁材を使った外壁材は機能性が高く劣化にも強くなります。劣化しにくい外壁はそのぶん耐用年数も長いため、メンテナンスの頻度も自ずと少なくなります。
ガルバリウム鋼板は金属系サイディングで、耐久性の高い代表的な外壁材です。こうした外壁材を使っている場合にメンテナンスフリー外壁と呼ばれる、あるいは名称が付いていることがあります。
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機能性の高い塗料を塗った外壁
機能性の高い塗料を使っている外壁のことをメンテナンスフリー外壁と呼ぶこともあります。たとえば外壁に光触媒の塗料を使っていたとします。光触媒の塗料は外壁の汚れを自動的に分解する機能があるので、外壁を綺麗な状態で保てる塗料です。
外壁を綺麗な状態で保つことができると、汚れによる劣化が起こりにくくなります。外壁や塗料の劣化を塗料で遅らせることができるため、こうした塗料が使われている外壁もメンテナンスフリー外壁と呼ぶことがあります。
耐久性が極めて高い、高機能の塗料を使った場合も外壁・塗料が劣化しにくくなるのが特徴です。こうした塗料を使った外壁のこともメンテナンスフリー外壁と呼ぶことがあります。
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メンテナンスコストを抑えられる外壁
メンテナンスフリーの外壁は耐久性の機能が高いことから、劣化に強い耐性を持っています。再塗装・メンテナンスが不要の外壁は存在しませんが、劣化に強いことから再塗装、メンテナンスの回数を減らすことが可能です。
外壁塗装や外壁のメンテナンスには費用がかかります。回数を減らすことで費用を抑えられる外壁がメンテナンスフリー外壁です。
たとえば、30坪の戸建て住宅の外壁をメンテナンスするためには180万円~250万円のコストがかかると言われています。10年ごとに180万円~250万円かかっていたところ、メンテナンスの期間を15年や20年にできれば戸建て住宅のかかる総合的な費用を大きく抑えることが可能です。
戸建て住宅を30年所有する場合、10年ごとにメンテナンスするなら所有期間の総合的な費用は540万円~750万円かかる計算になります。15年に1回のメンテナンスで済めば360万円~500万円、20年に1回のメンテナンスなら180万円~250万円です。30年間の所有期間で3回メンテナンスする場合と1回あるいは2回で済む場合では数百万円単位の金額差が出る可能性があります。
メンテナンスフリーの外壁にしてもメンテナンスのコストがゼロになるわけではありません。ですが、このようにかなり金額を大幅に抑えることが可能です。
メンテナンスを減らすためにできること
メンテナンスフリー外壁にしてもメンテナンス自体がゼロになるわけではありません。外壁である以上劣化とは無縁でいられません。劣化による外壁のトラブルを減らすためにも、そしてメンテナンス回数を減らすためにも、自身でできる工夫が重要になります。外壁のメンテナンス回数を減らすためにできる工夫は大きく4つあります。
- 外壁を日頃からお手入れする
- 外壁を定期的に点検する
- 耐用年数を意識してメンテナンスを行う
- 外壁塗装の塗料選びで工夫する
日頃のお手入れ
外壁を長持ちさせるためにも、そしてメンテナンス頻度を減らすためにも、常日頃からのお手入れが重要です。
お手入れすると言われると専門的な知識や技術が必要だろう、自分でできるだろうかと不安になるかもしれません。常日頃の外壁塗装のお手入れに専門的な知識や技術は必要ありません。道具をそろえることで簡単にできるお手入れ方法があります。
- 外壁用のスポンジを準備する
- ホースで外壁の汚れを簡単に落とす
- 手の届く範囲でいいので、スポンジで外壁を洗う
外壁を洗うときはあまり強く擦らないようにしてください。また、洗った後の外壁は日光で自然乾燥させるので、天気の良い日にお手入れしてください。
外壁の常日頃のお手入れについては、施工を担当した専門業者からアドバイスを受けておくことをおすすめします。塗料や外壁の場所によるお手入れとの相性もあります。専門業者であれば塗料や外壁の場所に合わせてしっかりアドバイスしてくれるはずです。
定期的な点検
メンテナンスフリーの外壁に限らず定期的な点検は必要です。定期的な点検は外壁のトラブルを未然に防ぎたいときに有効な方法になります。
外壁は定期的に異常はないか、劣化状況はどうかなどを細かくチェックしてもらうことをおすすめします。定期的に点検しておくことでメンテナンス回数だけでなく修繕の回数も減らすことが可能です。
耐用年数を意識したメンテナンス
定期的な点検は外壁材や塗料の耐用年数にあわせて行うことをおすすめします。外壁材や塗料によって耐用年数が異なるので、施工した専門業者に確認しておくとよいでしょう。
家に長く住みたいか、数年持たせたいだけかによって行うべきメンテナンスが変わってきます。長く住みたい場合は将来的なことも含めて点検を行い、外壁塗装の時期などを専門業者に相談しておくことが重要です。
数年だけ住む場合は住んでいる間大丈夫かをチェックしてもらえば基本的に問題ありません。数年だけ住むことを前提にしている場合には、住んでいる間のことだけ考えれば良く、将来的なことを考える必要がないからです。
塗料選びでの工夫
メンテナンスの頻度を減らすためには塗料選びも重要です。なぜかというと使用する塗料によっても耐用年数が変わるからです。
耐用年数の長い塗料を選べばメンテナンスの頻度が減ると思うかもしれません。塗料によってどのような機能に特化しているかや、建物との相性などが異なります。一概に耐用年数の長い塗料が良いとは言えません。専門業者にアドバイスなどを受け、メンテナンス回数を減らせるよう塗料選びの段階から工夫することがポイントです。
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メンテナンスが必要な劣化症状
メンテナンスフリー外壁でも劣化によるトラブルが起こることがあります。外壁の劣化により次のような症状が出たら、10年より早い期間でも補修や外壁塗装などのメンテナンスを検討してください。外壁や家を守るためにも重要なことです。メンテナンスを要する劣化の症状は次の通りです。
- 外壁の色褪せ
- 塗装面のチョーキング
- カビや苔、藻の発生
- 塗膜の浮きや剥がれ
- 外壁のひび割れ
- 目地コーキングの痩せやひび割れ
外壁の色褪せ
外壁に使った塗料は劣化により色褪せします。外壁塗装した当初は色鮮やかでも、劣化によって色が薄くなったり、色がくすんだりします。外壁の色褪せは代表的な劣化の症状になります。
外壁塗装の色褪せがはじまる時期はケースバイケースです。外壁塗装して数年ほどで症状が出ることもあれば、10年ごとのメンテナンス時期頃になって出てくることもあります。家の立地などによってどの程度雨風や汚れに晒されるかも異なるため、一概にこの時期とは言い切れません。
また、塗料の色によっても色褪せが目立つかどうかが変わってきます。外壁の色褪せは劣化の初期症状です。初期症状を放置すると、さらに深刻な劣化の症状が出てきてしまいます。
塗装面のチョーキング
外壁の劣化が進むとチョーキングという症状が出てきます。チョーキングとは外壁に触れると手の平や指に粉が付く症状です。この粉は塗料が劣化したものです。チョーキングを放置するとさらに深刻な外壁トラブルに発展する可能性があります。チョーキングが確認できるということは、すでに塗料の劣化がかなり進んでいるということです。
雨漏りやひび割れなどの原因になる可能性があるため、早めの対処が重要になります。
![](https://news.mynavi.jp/homemaintenance/gaiheki/wp-content/uploads/sites/5/2024/02/チョーキング-塗装-160x90.jpg)
カビや苔、藻の発生
外壁塗装が劣化すると塗料が本来持っているはずの機能性を発揮できません。雨や汚れ、紫外線などから家を守れなくなってしまいます。塗料が家を守れないため、雨や紫外線の影響を受けてしまう状況です。これはメンテナンスフリーの外壁でも同じです。
外壁塗装の劣化により塗料が本来の機能性を発揮できなくなると、外壁にカビや苔、藻などが発生することがあります。外壁にカビや苔、藻などを発見した場合は外壁塗装が劣化しているサインです。家の衛生環境が悪化する可能性がある他、他の外壁トラブルの原因にもなりかねません。早めの補修、再塗装をおすすめします。
塗膜の浮きや剥がれ
外壁や塗料の劣化が進むと、外壁材と塗膜の間に湿気がたまり、水膨れのような塗膜の浮きや剥がれが起きてしまうことがあります。
塗膜の浮きや剥がれがある場合も塗料は本来の機能性を発揮できず、家を守ることができません。雨漏れやシミ、カビなどの原因になる可能性があるほか、大きなひび割れにつながるケースもあり、深刻なトラブルの原因になる可能性もあります。
メンテナンス期間の目安である10年に満たなくても、塗膜の浮きや剥がれがあれば早めに補修や外壁塗装をした方が良いと言えるでしょう。
外壁のひび割れ
外壁塗装が劣化すると外壁がひび割れすることがあります。塗料が劣化すると建物の外壁を守れなくなります。服がなく肌を守れない人間のような状態です。外壁の服とも言える塗料の効果が機能していないと、外壁に紫外線や雨、汚れの影響が直接出てしまい、外壁自体がひび割れてしまうことがあるのです。
外壁のひび割れが起きている段階になると、かなり劣化は進行している状況だと言えるでしょう。ひび割れの箇所を増やさないためにも、そしてひび割れの規模を大きくしないためにも、早急な対処が必要です。
目地コーキングの痩せやひび割れ
施工時にできた隙間はコーキング材などで塞いでいます。コーキングの劣化が進むと隙間を塞いでいるコーキング材が痩せてしまうことやひび割れてしまうことがあります。
コーキングの痩せやひび割れがあると、その部分から雨水などが侵入してしまい、シミや腐食、カビなどの原因になってしまいます。コーキングの痩せやひび割れがある場合は急ぎの補修や再塗装をおすすめします。
メンテナンスフリー外壁と呼ばれる外壁材
補足としてメンテナンスフリー外壁の種類について説明します。メンテナンスフリー外壁には次のような種類があります。
- ガルバリウム外壁(金属系サイディング)
- タイル外壁
- 樹脂系サイディング外壁
ガルバリウム外壁(金属系サイディング)
ガルバリウム外壁はガルバリウム鋼板を使った耐久性の高いメンテナンスフリー外壁です。
ガルバリウム外壁の場合、一定期間ごとに専門業者に点検してもらうことで30年~40年交換なしで持つケースもあります。ガルバリウム外壁の費用は1㎡あたり4,000円~7,000円が相場です。
ガルバリウム外壁の代表的なメーカーと商品
ガルバリウム外壁の代表的なメーカーや商品には、旭トステム外装の「スパンサイディングS/N(金属Danサイディング)」などがあります。耐久性が高いだけでなく耐食性や防火性の高さも特徴的なメンテナンスフリー外壁です。
![](https://news.mynavi.jp/homemaintenance/gaiheki/wp-content/uploads/sites/5/2024/02/外壁-リフォーム-ガルバリウム-160x90.jpg)
タイル外壁
タイル外壁はタイルのような見た目をしたデザイン性の高いメンテナンスフリー外壁です。タイル外壁は耐久性の高さが特徴になります。普段のお手入れは水洗いくらいで差し支えありません。タイル外壁はお手入れも楽なメンテナンスフリー外壁ですが、費用がやや高額であるというデメリットがあります。
タイル外壁の費用相場は1㎡あたり13,000円~35,000円です。30坪の戸建て住宅であれば300万円以上が相場になっています。
タイル外壁の代表的なメーカーと商品
タイル外壁の代表的なメーカーや商品にはLIXIL(リクシル)の「INAX(イナックス)」などがあります。イナックスブランドのタイル外壁は耐久性の高さはもちろん、見た目の美しさにこだわっているところも特徴です。家の見た目にこだわりたい方や洋風の家にしたい方におすすめのメンテナンスフリー外壁です。
樹脂系サイディング外壁
樹脂系サイディング外壁とは、塩化ビニル樹脂を使ったメンテナンスフリー外壁です。樹脂系サイディング外壁は凍害などに強いことから、北海道といった寒い地域の外壁によく使われます。耐久性が高いためメンテナンスの頻度を減らせる外壁であり、基本的に色褪せなどもほとんどありません。
樹脂系サイディング外壁の費用相場は1㎡あたり8,000円~10,000円です。戸建て住宅の場合、150万円~200万円ほどが費用相場になっています。
樹脂系サイディング外壁の代表的なメーカーと商品
代表的な樹脂系サイディング外壁のメーカーや商品には、ゼオン化成の「ゼオンサイディング」などがあります。ゼオンサイディングは耐久性が高いだけでなくカラーバリエーションも豊富なメンテナンスフリー外壁になっています。
定期的なメンテナンスでお得に長く安心に
どのような外壁もメンテナンスは必要です。メンテナンスフリー外壁も例外ではありません。外壁は適切なメンテナンスによって長持ちする他、補修・メンテナンス費用もお得にできます。必要不可欠だからこそ、メンテナンスを意識した塗料・外壁材選びや外壁塗装をおすすめします。
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