実際、多くのサロンやクリニックでは、ほくろ部分への直接的な照射は避けるケースが一般的です。とはいえ、ほくろがあるからといって、施術そのものを断られるわけではありません。
この記事では、ほくろに照射できない理由をはじめ、ほくろがある場合の施術の流れから、ほくろに生えている毛の脱毛方法、さらにはよくある質問まで、「ほくろとヒゲ脱毛」に関する疑問をまとめて解説します。
「ほくろがあるけれどヒゲ脱毛をしたい」、「ほくろの毛が気になる」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.ほくろに照射できないのはなぜ？
ヒゲに限らず、脱毛の施術ではほくろのある部分には照射を行わない施設が多いです。その背景には、ほくろへの照射がいくつかのリスクを伴うことが関係しています。
はじめに、サロンやクリニックがほくろへの照射を避ける理由をご紹介します。
リスク①火傷や色素沈着などの肌トラブルを招くおそれがある
ほくろに照射できない最大の理由は、脱毛の仕組みが関係しています。脱毛で使用される光やレーザーは、メラニン色素に反応して熱を発生させることで発毛組織にダメージを与え、脱毛効果を発揮するものです。
一方で、ほくろはメラニン色素が多く集まっている部分。そのため、光やレーザーを照射すると毛だけでなくほくろに対しても反応してしまい、火傷・腫れ・色素沈着といった肌トラブルを招くおそれがあります。
このようなリスクを避けるため、多くのサロンやクリニックでは「安全性を考慮し、ほくろへの照射は行わない」という対応を取っているのです。
リスク②医師の診断を妨げる可能性がある
前述の通り、ほくろにはメラニン色素が集まっているため、光やレーザーが過剰に反応し、焦げたり、火傷を引き起こす可能性があります。火傷を負った部分はやがてかさぶたとなりますが、そのかさぶたが剥がれると、ほくろの色が以前よりも薄くなっていたり、部分的に消失してしまう可能性があると言われています。
このような色や形の変化は、万が一そのほくろが皮膚がん（悪性黒色腫など）の初期症状だった場合に、医師による正確な診断を妨げる恐れがあります。早期発見のチャンスを逃すことにもなりかねないため、安全性を最優先して、基本的にはほくろへの照射は避けられるのです。
小さなほくろなら照射できる場合もある
基本的にはほくろへの照射は行われないことが多いですが、すべてのほくろが必ずしも脱毛の対象外になるわけではありません。たとえば、非常に小さいほくろや色の薄いほくろ、平らで隆起していないほくろなど、安全と判断されたほくろに関しては照射が可能なケースもあります。
医療脱毛では、施術前に医師による診察（肌の状態のチェック）があるため、ほくろの状態を確認したうえで照射の可否を判断してもらえるでしょう。
自分のほくろが照射できるかどうか不安な場合は、施術前のカウンセリングでしっかり相談しておくと安心です。
2.実際の施術ではどのように対応される？
ほくろがある部位には基本的に照射されないとはいえ、脱毛の施術自体は受けることができます。では、実際の施術では、ほくろがある部分はどのように対応されるのでしょうか。
サロンやクリニックによって具体的な対応は異なりますが、一般的には以下のような方法が取られています。
シールやテープでほくろを保護する
光やレーザーがメラニン色素に反応しないよう、事前に白のシールや保護テープでほくろを覆い、その周囲に照射を行う方法です。
一部のサロンやクリニックではこのような対応が一般的ですが、対応の有無は施設ごとに異なるため、カウンセリング時に確認しておくとよいでしょう。
なお、シールで覆った箇所には光・レーザーがほとんど届かないため、ほくろの上に生えている毛はそのまま残ってしまう点は留意しておく必要があります。
ほくろの部分を避けて周囲のみ照射する
色が濃い、サイズが大きい、隆起しているなど、火傷をはじめとする肌トラブルのリスクが高いと判断されたほくろに対しては、照射を避けるのが一般的です。その場合、ほくろ部分を除いた周囲のみに照射が行われます。
複数のほくろがある場合は、施術範囲が制限されることもあります。
出力を下げて照射する
医療脱毛では施術前に医師による肌のチェックがあるため、「色が薄い」、「小さい」、「隆起していない」など、比較的リスクが低いと判断された場合には、出力を下げたり、リスクを説明して了承を得たうえで照射が行われることもあります。
このような対応が取られるかどうかは、クリニックの方針によって異なるため、事前のカウンセリングで確認しておくことが大切です。
3.ほくろに生えている毛を脱毛するには？
ほくろに毛が生えている場合、どうせ脱毛するならその部分も一緒にスッキリさせたいところですよね。基本的には、ほくろ自体への照射はされませんが、実はほくろから生えている毛を脱毛する方法は存在します。
ここでは、ほくろの毛を処理する方法についてご紹介します。
脱毛する方法①ニードル脱毛（美容電気脱毛/医療針脱毛）
ニードル脱毛とは、毛穴に極細の針を挿入し、電気を流して毛にダメージを与える方法です。毛を1本ずつ処理するため施術時間が長時間に及びやすく、広範囲の施術には不向きですが、肌の色や毛の色に左右されずに脱毛することができます。そのため、メラニンが多く含まれるほくろに生えている毛や白髪など、通常の脱毛では難しい部位にも対応できるのが大きな特徴です。
ただし、ニードル脱毛は「毛1本あたり〇〇円」といった本数単位の料金体系が一般的で、複数箇所にまたがる施術では費用が高額になりがちであるほか、数ある脱毛方法の中でも痛みを感じやすいとされており、痛みに弱い方や広範囲を希望する方には不向きな場合もあります。
脱毛する方法②蓄熱式の脱毛方式を選択する
蓄熱式脱毛とは、毛根ではなく、比較的浅い位置にある「バルジ領域」と呼ばれる部分に繰り返し熱を与えることで脱毛効果を得る方法です。従来の熱破壊式と比べて低出力であるため、痛みが少なく、火傷などのリスクも軽減されています。
また、蓄熱式はメラニン色素への反応に依存しにくいため、産毛や色黒肌、日焼け肌にも対応できるところが特徴です。これにより、メラニン色素が多く含まれているほくろがあっても照射できる場合があります。
ただし、ほくろのサイズが大きい場合や、色が濃い、盛り上がっているといった特徴がある場合は、蓄熱式であっても照射できないことがあります。そのため、事前のカウンセリングで照射可能かどうかを確認しておくことが重要です。
ほくろを除去してから脱毛を受けるという手段も
皮膚科や美容外科でほくろを除去することで、光脱毛や医療レーザー脱毛の照射が可能になるケースもあります。ほくろ自体に悩んでいる場合は、除去するのも選択肢のひとつです。
ただし、除去後すぐの肌はデリケートな状態になっているため、施術には十分な回復期間を設ける必要があります。脱毛までにどのくらい間を空けるべきか医師の指導に従いましょう。
4.ほくろと脱毛に関するよくある質問
ここまで、ほくろに照射できない理由や実際の対応方法について解説してきましたが、脱毛を検討している方の中には、まだ不安や疑問が残っている方も多いのではないでしょうか。
そこで最後に、脱毛とほくろに関して特によく寄せられる質問をまとめました。
Q.脱毛でほくろが増えたり大きくなることはある？
A.脱毛の光やレーザーによって、ほくろが増えたり大きくなったりすることは基本的にありません。
ただし、照射の刺激で肌に一時的な赤みや色素沈着が生じ、それが新しいほくろのように見えることはあります。
Q.ほくろに照射するとガンになるって本当？
A.現在の医学的知見において、脱毛の光やレーザーがほくろに照射されることで皮膚がん（悪性黒色腫）を引き起こすという因果関係は確認されていません。
ただし、火傷や色素沈着などの引き起こす恐れがあるほか、皮膚がんの初期症状だった場合に照射によってほくろの色や形が変化し、診断の妨げとなるリスクも考えられるため、基本的には照射は行われません。
Q.脱毛しながらほくろを薄くすることもできる？
A.脱毛を目的とした光・レーザーには、ほくろを薄くする効果はありません。
しかし、照射された際に熱刺激によってほくろが焦げ、かさぶたとなって剥がれることで色が薄くなったり、消失するケースがあると言われています。
あくまで副次的な反応であり、意図的にほくろを薄くしたい場合は、皮膚科や美容外科などでの除去を検討しましょう。
Q.ほくろがあると脱毛効果が下がる？
A.ほくろがある場合、シールで保護したり、避けて照射が行われるため、周囲の一部の毛が照射の対象外となり、完全な脱毛効果を得られない場合もあります。
ただし、ほくろの状態によっては照射可能だったり、ニードル脱毛や蓄熱式への変更など、別の方法を提案してくれることもあるため、カウンセリング時に自分の希望や不安をしっかり伝えるようにしましょう。
Q.たくさんほくろがあっても脱毛できる？
A.ほくろが多くても基本的には脱毛を受けられます。
ただし、ほくろが多い場合は、安全上の理由から一部照射できない箇所が生じるため、脱毛効果にムラが出る可能性があることは理解しておくとよいでしょう。
5.ほくろがある＝脱毛ができないというわけではない
脱毛機器はメラニン色素に反応する性質があるため、火傷や色素沈着などのリスクを避ける目的で、ほくろへの照射は行われないのが一般的です。
とはいえ、ほくろがあるからといって脱毛そのものが受けられないわけではありません。実際の施術現場では、白いシールでの保護や、ほくろ部分を避けての照射など、リスクに配慮しつつ、できるだけ脱毛効果が得られるような工夫がなされています。
また、ほくろのサイズや色の濃さ、隆起の有無などによっては、医師の判断のもとで照射が可能な場合もあります。ほくろやその周辺に生えている毛もしっかり処理したいという方は、施術前のカウンセリングで対応方針を確認しておくと安心です。
不安な点はしっかり相談し、信頼できるサロンやクリニックを選んで、安全に脱毛を進めていきましょう。
コメント